同期生 「りぼん」が生んだ漫画家三人が語る45年 (一条ゆかり もりたじゅん 弓月光 )

 09,2012 23:35
更新しようと思いつつなかなかできず、気持ち的にネガティブになっていたことも重なって、もう12月の上旬は過ぎちゃったじゃないか! ……という体たらく。


でもこの本を読んで、ちょっと気持ちがアガったような気がする。


1967年「第1回りぼん新人漫画賞」(集英社)に入賞した3人のマンガ家、一条ゆかり、もりたじゅん、弓月光が、それぞれの“マンガ家人生”について語る。もうこれだけでワクワクするよ! というか、このお三方が“同期生”ということにビックリしたよ!


同期生 「りぼん」が生んだ漫画家三人が語る45年 (集英社新書)同期生 「りぼん」が生んだ漫画家三人が語る45年 (集英社新書)
一条 ゆかり もりたじゅん 弓月 光

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鼎談ではなく、一条氏、もりた氏、弓月氏の順に半生が語られていく形式。鼎談だったらまた面白かっただろうけど、一人ずつ語ることで、それぞれの個性と作風がクッキリ色分けされている感じがした。


そしてその個性の違いから、


一条氏…少女マンガの変遷
もりた氏…夫の本宮ひろ志氏を介して見た少年マンガの世界
弓月氏…少女マンガと青年マンガの作風の違い


といったことが読めて、それもすごく興味深かった。


一条氏は、とにかく自立心と野心が旺盛なイメージ。マンガ家になりたいと早くから決めていて、どうすればなれるか、どんなものを描きたいか、長く続けていくためにどうすればいいかといったことを、一条氏の語る“鬼のプロデューサー”を内部に棲まわせて策を練り、前へ前へと突き進んでいく感じ。うーむ、一条作品のヒロインがめちゃくちゃ目の前に浮かびます。


もりた氏は逆に、控えめで受け身的な印象だ。本宮ひろ志氏を支え、家庭を切り盛りしつつ自分のマンガも描かれていたからかもしれない。「漫画家・もりたじゅんの持ち味は、あくまでハッピー。単純といわれてもいいのです」という一文を読んで、良い意味で“普通の人”なのかもなぁと思った。


何やら一条氏ともりた氏がいろいろと対照的で、読みながらかなり興味深かった。ピカレスク•ロマンに憧れ、“不良”や“強さ”を描こうとした一条氏と、ハーレクイン・ロマンスを徹底しようとしたもりた氏の、その作風もさることながら、半生も好対照な気がする。誤解を恐れずにいえば、


「ほかの何もかもを犠牲にして仕事を極めるキャリアウーマン」=一条氏 
「仕事も家庭もなんとか調整してやっていく共働き主婦」=もりた氏


という、すごくわかりやすいステレオタイプなイメージにそれぞれ当てはまっているような……。


そして弓月氏は、マイペースで柔軟な考え方をする人だなと思った。


「『りぼん』に描いている他の女性漫画家が描くものは、自分の作品の参考にはならないと思っていた」

「自分の絵を変えようと思ったことはこれまで一度もない」


といった考え方、厳しい競争にさらされている世界にいてなかなか保てないと思うもの。


おまけに、少女マンガでも青年マンガでも、「コメディでやっていく」と決めていたというのだ。青年誌だからこれまでの少女マンガとは違うもので……などと考えないところが、マイペースというか手堅いというか。「お笑いに男女差はない」という言葉は、男性で長く少女マンガを描いてきた弓月氏だからこその言葉だと思った。


作風も個性も三者三様のお三方だけど、全員が全員、「りぼん新人漫画賞」に入賞したというのに、当時の「りぼん」のマンガにまったく興味がなかったというのも面白い。3人とも「賞金20万円」に惹かれたから応募した、とかなりドライ。


でもだからこそ、お三方が入って“「りぼん」が変わった”という言葉を実感できる。“小学生の少女誌”から“中高生が読む少女誌”、それどころか読者がいつまでも「りぼん」を卒業しなくなって、幅広い年齢層の読者を獲得した――って、すごくドラスティックな変化だ。今はちょっと部数も落ちて苦戦しているようだけども。


もう一つ、お三方の共通点は「自分の描きたいものを描く」というスタンス。これが今世間では流行っているからとか、こっちの方が読者にウケるかもとか、過剰に周囲におもねらない。


お三方のように努力を怠らず、実力と人気を持ったトップクリエイターだからこそのスタンスだとは思う。しかし、世間の反応ばかり気にして作られたものは、確かにすぐに飽きられちゃうところ、あるよなぁ……。ほら、いかにも腐女子狙いっぽいと冷めちゃったりとかさ……年始めのステマ騒動も似たようなものかも……。


同じ年に同じ賞を受賞し、その後お三方とも人気作家であり続けたなんて、本当に“最強の同期生”だなぁと、心底感じ入った。


これから十数年したら、また別の“同期生”が話題になったりするのかしら……。


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Tags: 少女マンガ ゆかり もりたじゅん 弓月光

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