小説とマンガの間=ラノベ

 14,2006 02:37
BL小説にはイラストは欠かせないものだけど、「小説にイラスト」というスタイルは、10代のころによく読んだコバルト文庫系のライトノベル文庫を思い出させるなぁ……と、以前から常々思っていた。

コバルトでは、氷室冴子さんが好きでねぇ……。藤本ひとみさんや図子慧さんも好きだったな。そういえば氷室冴子さんの新刊って、今は出てるんだっけね?と思って調べていたら、面白いものを発見した。

特別対談:夢枕獏×氷室冴子 ヤングアダルト小説の現在・過去・未来(一部抜粋)」。白泉社の「花とゆめ増刊 小説花丸」1号(1991年11月1日発行)に掲載されたものらしい。1991年って、もう15年前だよ。

これを読むと、小説とイラストの組み合わせについて、当時の出版業界がどう考えていたのか、作家がどう感じていたのかが、ちょっとだけうかがえる。

マンガはマンガとして面白いんであって、マンガであそこまで小説のキャラクターをはっきり書かれたらぼくは困っちゃう」と話す夢枕さんに対し、「だから私たちは古いのよ。最近の22、3歳の若い書き手だと、イラストはこの人ってはっきりあるって」と答える氷室さんは鋭い。15年前当時の22、3歳というと、わたしと同じ年くらいですね。イラストレーターへのこだわりは、たしかにあったと思う。人気マンガ家(イラストレーターじゃないところがポイント)のイラスト集なんかも出てたし、「小説は読まないのにマンガばっかり読んで!」と、エラい人たちからあちこちで批判されていた気がするし。

「昔、久美沙織さんが、小説を書くときにイラストを描くマンガ家も決めて、プロデューサー的にやりたいって言っていたんだけど、それをマーケット理論と合体してやったのは花井愛子さんなの」

なるほどねぇ…。そうだよ、あのころ花井愛子さんて、めちゃくちゃ売れてたよな。読んだことはなかったけど、彼女の名前はテレビや雑誌でもよく目にしたことは覚えている。

「私たちは古いのよ」といいながらも、「非常にコミック的なのが、イラストとの相乗的効果になっているのよ。で、面白い」とコメントしていて、氷室さんの柔軟性や先見性にも感心する

コメント欄に「一人称で改行が多い恋愛小説がほとんど姿を消したのは事実」と書かれたあと、追記で「ボーイズラブ小説には『一人称で改行が多い恋愛小説』が残ってます」と指摘されていて、ちょっと笑った。BLは恋愛小説かぁ……まあ、たしかにあっちでもこっちでも、好きだ惚れたと言いまくってやりまくっているんだけど、「恋愛小説」と言い切れないような気がするような――なんだろう、主人公2人の間に、「恋愛」だけじゃないものを求めているからなのかしら。たとえば友情とか、ライバルとか。

まあとにかく、管理人の指摘どおり、ライトノベルにおいては現在、「イラストは2割の重み」どころか、5割以上の重みを持っているんじゃなかろうか。現にわたしも、奈良千春さんだから、とか、山田ユギさんだから、というところで、作品を選んでいるもんね。イラストの重みが5割なのかそれ以上なのかは、作家の力量によると思う。

いやー、しかし、「小説花丸」もBL小説ばっかりになってるしなぁ……感慨深い。夢枕漠さんの「陰陽師」は、腐女子の手で二次創作作品が出てるし。

それにしても、氷室冴子さん、現在は作家活動はあまりなさっていないご様子で、ちょっと悲しい。しかし氷室さんがライトノベルで書き続けていても、BLモノは書かなかったような気がする。初期作品には、ちょっとビアンぽいものがあったけど。でも、思い込みかもしれないけど、「ざ・ちぇんじ!」とか「なんて素敵にジャパネスク」で平安モノを氷室さんが手がけてから、あの時代を舞台にしたラノベ作品がたくさん登場するようになった気がするのだ。氷室さんにしても、花井愛子さんにしても、あのころのライトノベルで大活躍していた作家さんたちは、いろんな意味で、パイオニア的存在だったのかもしれない。ああ、氷室冴子さん、カムバック!

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Tags: 氷室冴子 夢枕獏 サブカル 百合 歴史/時代BL

Comment 7

2006.11.14
Tue
20:54

乱菊 #pMXl.iIs

URL

上に挙がっている方々「氷室冴子」「藤本ひとみ」「久美沙織」「花井愛子」。
私もlucindaさんとそんなに歳は変わらないと思うので分かりますが、周りでも非常に流行っていました。
でもあの頃は、ラノベを軽視していたため、意地でも読まなかった記憶が・・・。
逆に純文系や古いものを中心に、ちょっとカッコつけながら読んでましたねー。
それはそれで面白かったので良かったのですが、若い感性でラノベの類いも経験すれば良かったかなあと。
今になってそういうものを読み、初めて娯楽としての文章を知りました。
何でも食わず嫌いはいかんですね。

今は逆に普通の小説から遠ざかっているので、また読まなきゃなあなんて思いつつ、次々と出版されるBLに翻弄されまくる日々ですよ~。

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2006.11.14
Tue
22:16

もと #4pDgvQA2

URL

どれもこれも懐かしい。ジャストミートは氷室冴子と新井素子だなぁ~。
当時、やはり既にお絵描きしてた私は、なんでこんなに小説の挿絵ってのはダサいんだろう?って思ってましたね。
確かそれより少し後に、non-noで、赤川次郎の小説が連載されてたんですけどね、その挿絵が吉田秋生だったのに狂喜した覚えがありますよ。コレを待ってたんだ~!って。確かその作品は、単行本化されたときも、そのまま吉田秋生が表紙イラストも描いてたな。
思うにその辺からなんでしょうね、挿絵が変わり始めたのは。
あの頃までは、小説用イラストと、マンガの絵には明確な違いがあったように思いました。今は一般小説でもあまり差がなくなりましたよね。
文章とかで検証されちゃうと、ははぁ~って気分になりますね。面白かったです。

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2006.11.15
Wed
00:40

lucinda #-

URL

>乱菊さん
あの頃、ホントに流行ってましたからね。まさかその半分くらい(推定)が今、BLになっていようとは、当時は想像もつきませんでしたけどね。

乱菊さんの気持ちも、わかるなぁという感じです。わたしも、記事にアップした対談が行われた頃には、ラノベは読まなくなっていました。理由は、あまりにも内容が幼稚で、つまらなく思えたから。こんな風に思っていたのも若気の至りだったのかも(笑)。ただ、氷室さんも90年代初頭からラノベっぽくないものを書いていたし、藤本ひとみさんは、今や完全にラノベを離れて面白い作品(しかもエロい)を出しているし、90年代に入ってから、作家さんたちの世代代わりみたいなものが、あったのかもしれません。

わたしもぜーんぜん、普通の小説が進んでません。BLに振り回されっぱなしです(笑)。

>もとさん
新井素子さんも人気でしたねー。わたしは、あまり読んでいないのですが、それは、SFやファンタジーが得意じゃないからかもしれまへん。

たしかに、最初のころのラノベの挿絵はダサかった。でも、小説は読ませるものが多かった気がします。過去が美しく思えるだけ!?
吉田秋生さんはわたしのダイスキなマンガ家なのですが、赤川次郎さんの小説の挿絵もされてたんですね…。栗本薫さんの「終わりのないラブソング」の挿絵を担当されていた時は、おお!と思ったのを覚えてます。作品は、途中から読んでないんですけどね。読んでハマってたら、もっと前から腐女子だったかもしれませんな。

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2006.11.15
Wed
23:17

ようこ #onVA9wqc

URL

一人称多改行少女小説、中学の頃大流行していたので、よく読んでました~。
藤本ひとみとか、折原みと とか。
私は結構好きでしたよ~。
読むのに時間もかからないし(笑)
前田珠子さんのファンタジー(続きが出ない…)も好きでした~。
前田さんが出てきてから、コバルトにファンタジーの嵐がやってきたような気がします。
で、ミラージュの大ヒットで、少女小説にも男がメインの小説がありになって、やがてBLメインの本も出るようになった…という気がします、今のコバルトの流れ(笑)
ミラージュ一巻、男がメインの表紙って、当時はめずらしかったのでインパクトがありました。

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2006.11.16
Thu
00:09

lucinda #-

URL

>ミラージュの大ヒットで、少女小説にも男がメインの小説がありになって、やがてBLメインの本も出るようになった…という気がします

そうなんですね。そうそう、コバルトなどのラノベって「少女小説」と括られ(今もなんですかね?)、明らかに少女が強く元気に活躍するイメージが強く、当然表紙も、女子がバーンと前面に出ていたと思うのですが、なるほど、そういうところから……。

折原みとさん、懐かしい名前だー! 前田珠子さんは、文章はウマいと思ったものの、どうにもファンタジーにのめりこめず(ファンタジー全般にのめりこみにくいのです)、進みが遅かった記憶があります。多分、前田珠子さんがガーッと売り出されたころから、わたしは読まなくなったのかもしれないなぁと、思いだしました。

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2006.11.17
Fri
01:16

もと #4pDgvQA2

URL

>栗本薫さんの「終わりのないラブソング」の挿絵を担当されていた
あ~、思い出した! 私もそれでその本持ってたんですよ。(吉田秋生ファンなんで)
全巻そろえてます。ドキドキしながら読みました。たいそう好きでしたよ。

な の に

腐女子になったのはそれから10年くらい?後とは。何でなんだ!(笑)
あまりコレは関係ないかもしれません(^^;

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2006.11.18
Sat
01:13

lucinda #-

URL

>腐女子になったのはそれから10年くらい?後とは。

えー、そうなんですか! うーむ。では、あれを読破したか否かは、腐女子リトマス紙とはいえないってことですね。
そーなのかー。やっぱ、タイミングですかねぇ。不思議…。

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