ベルリン・ラブ・パニック

 20,2012 23:57
今年も東京国際レズビアン&ゲイ映画祭(LGFF)に行ってきた。


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――行ってきたけど、実は今回、ギリギリまで行こうかどうしようか迷っていたのだ。映画祭の日程を直前まで把握していなかったのと、上映作品のラインナップに去年ほど食指が動かなかったという理由で。


しかし、結果的には行ってきてよかった! 連休中にvivian先輩と会うことになり、それならLGFFに行こうかという話になり、先輩に会う日時から観る作品を決めるという、非常に消極的かつ受動的なチョイスだったにも関わらず。


今回観てきた作品はこれ。


ベルリン・ラブ・パニック
原題:Men to Kiss
監督:ロベルト・ハスフォーゲル 2012年 ドイツ

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お堅い銀行員のエルンストと自由奔放なトビアスは、正反対の性格ながらも深く愛し合っているカップル。付き合って一年半、二人はどんなカップルにも付き物の“忍耐”と“信頼”という課題に直面していた。そんな時、二人のアパートにエルンストの幼なじみのウタが転がり込んでくる。実はウタには、エルンストをモノにしようとする邪悪な計画があった。あの手この手で二人の仲を引き裂こうとするウタに、トビアスは勝てるのか?(LGFF公式サイトより)

※なぜか主人公の一人の名前が「エルンスト」になっていますが、作品中は「アーニー(アーネスト)」でした。だって実際、作品の中で「アーニー」「アーネスト(誠実)」を連呼してたもの! 「エルンスト」は「アーネスト」のドイツ語読みなのかな


作品紹介ページを見て、「もうこれは絶対コメディだろう」というわたしの予測は、裏切られなかった。でも、「恋人の男性と幼なじみの女性との間で、主人公の気持ちが揺れ動くのかな」という予想は、ちょっとハズレ。
確かに、主人公・アーニーの気持ちは二人の間で揺れ動いてはいた。けれども、“恋人と幼なじみに両方への恋心に悩む”という桃色的な方向ではなく、“幼なじみの独占欲に振り回されて恋人への思いと信頼を失いかける”という方向だったのだ。


ビターだなぁ……。


アーニーの恋人・トビアスは、自由奔放でちょっと風変わりなタイプ。少々内気で常識を重んじる“普通の人”っぽいアーニーは、そんなトビアスと一緒にやっていくことに若干不安を感じてはいた。


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風船を纏って花に水をやるトビアス、超キュートだったな!


ところが、突然現れたアーニーの幼なじみ・ウタは、トビアス以上にエキセントリック。トビアスがアーニーの恋人にはふさわしくないと判断し、トビアスを密かに脅迫してアーニーと別れさせようとするのだ。


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いかにも邪悪強そうで負けなさそうなウタ。演じる女優さんはものすごく内気なヒトらしい


ウタのトビアスに対する脅迫がまた、笑えるけどエゲツなく――二人がイチャついている様子を盗撮したり、クルミ割り器らしきものをトビアスのアソコに押し付けたり、見ていてゾッとした! チ●コはないけどさ。


そんなウタに対抗すべく、トビアスは友人や母親に協力を仰ぐのだけど、この友人たちや母親もまた変わった感じの人たちでねぇ……。


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これはマリファナをキメてみんなでラリってるシーン


母親なんて、女装している父親かと思いきや、トランスジェンダーだもんね! しかもウタをとっちめるために怪しげなレシピを披露したりして、やっぱりちょっと凡人じゃない感じ。


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真ん中の女性がトビアスのママン。経緯の説明なくシレッと登場していた。この作品にはトランスジェンダーがちょいちょい登場していて、左右の方たちもそう。トークイベントで、ベルリンでは珍しくないって、ラッツ氏は話してたけどホントかな


――トビアスといい、ウタといい、アーニーはなんだかんだいって、エキセントリックな人に惹かれるんだね。そしてどういうわけか、エキセントリックな人を引き付けるナニかがあるのよ。きっと――


と、映画を見ながら深く納得したのだった。


ウタの恐ろしくも滑稽な行動は、確かに“大好きな幼なじみを取られまいとする独占欲”丸出しではあるけれど、なんだかそれが、意地悪な姑・小姑のイビリのように見えて可笑し哀しい。


多分ウタは、アーニーの恋人がどんな恋人でも、きっと納得しないんだろうなぁ。かといって、アーニーがゲイだと知っているため、自分はアーニーの“恋人”にはなれないこともよくわかっている。……うん、ウタはやっぱり姑・小姑みたいなポジションにいるな、と確信した。


でもさ……恋人や親友という特別な絆を感じている人が、自分以外に大切にしている人間がいると知ると、ちょっと複雑な気分になるの、わかるなぁ……と思う。


この作品では、“ゲイである幼なじみの恋人に嫉妬する”という設定だったけど、当然、“ノンケである幼なじみの恋人に嫉妬する”というケースもあるわけで――むしろ、こちらの方で悶々としている人、案外多いんじゃないかと思った。


一度はトビアスと別れたアーニーだけど、ウタの策略を知って激怒し、ウタを部屋から追い出してトビアスのもとに駆け付ける。


トビアスはアーニーと別れた後、茫然自失の日々を送っていたのだけど、しかし、アーニーがやって来たからといって、ホイホイとアーニーを許し受け入れたりしません。


アーニーはトビアスの好きな風船を使って仲直りしようといろいろいろいろ頑張って、アーニーの想定を大きくズレはしたものの、どうにかトビアスと仲直りする。


その結末にもホッコリしたけれど、二人の仲をハラハラと見守り、どうにか仲直りさせようとする友人たちの様子にも、ハッピーな気分になったのだった。


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アーニーとトビアスのやりとりを、固唾を飲んで見守る友人たち。この人たちは全員、もともとはトビアスの友人。ウタも彼らのような気持ちを持てたらよかったんだけどねぇ……!


あんなにもウタに強く影響されていたアーニーが、ああまであっさりとウタを切り捨てられるものだろうか――という疑問と違和感をちょっぴり感じたけれど、ままま、終わり良ければすべて良し、ですかね。


ところで、上映後、今年も偶然にも主演俳優のアニー役のフランク・クリスチャン・マルクスさん、トビアス役のウド・ラッツさんを招いてのトークイベントに居合わせた。


去年と似たような感想で恐縮だけど、もうほんと、お二人ともハンサムで美しくて素敵でねぇ……! キラキラオーラにほわぁぁぁとため息が出た。


「二人が登場した時、思わず『カッコイイ!』って声出ちゃった!」と、vivian先輩も言ってったっけね。先輩、どんどん脳内のつぶやきがダダ漏れしてきていますよ……?


プロデューサーなど製作も兼ねているというお二人だけど、マルクス氏は陽気でよくしゃべり、ラッツ氏はちょっと控え目な印象で、なんだか映画の役どころの印象が逆な感じ。はたして、実際役柄とは逆なんだとマルクス氏は話していた。


なんでも、この作品が世界各国で上映され好評を博したため、続編も考えているという。また、セクシュアルマイノリティに特化した映画会社も立ち上げたのだとか。


ブラボー!


続編が完成して上映された暁には、ぜひ見に行きたいなぁ! ……と強く思ったのだった。


いやその前に、この作品の日本でのDVD化が実現されるようにお祈りしております!



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Tags: ゲイ トランスジェンダー クィア映画 LGBT

Comment 2

2012.10.18
Thu
03:04

職務履歴書 #-

URL

とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。

編集 | 返信 | 
2012.10.23
Tue
13:08

lucinda #-

URL

コメントありがとうございます

>職務履歴書さん
コメントありがとうございました。また遊びにいらしてください。

編集 | 返信 | 

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