初恋ドレッサージュ (いつき朔夜)

 23,2012 23:06
馬が絡むBL作品はすかさず読むようにしているわたしが、単行本化を待ちかねていた作品。しかも“馬=競馬”とか“馬=テキサス”という王道パターンではなく、馬術だもんね! しかもしかも、主人公はドレッサージュ、つまり「馬場馬術」競技に挑むんだもんね!


ちなみに、馬場馬術とはこんな感じ。



エレガント……! 馬と人とのダンスという感じですね。


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いつき 朔夜 周防 佑未

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大学の馬術部に所属する耕太が出会ったのは、学外の乗馬クラブに通う若宮。大病院の息子である彼は金持ちで意地悪で傲慢だったが、耕太には親切だった。部の馬を一頭処分しなければならなくなった時、彼が買い上げて馬の命を救ってもくれた。そんな若宮に憧れ始めた時、彼の幼馴染みの登場に住む世界の違いを思い知らされる。なのに、その若宮から耕太はキスをされてしまい…?乗馬が結ぶユースフル・ラブ。


馬設定(今勝手に作った)としてはレアだったけど、物語は王道だったと思う。でも、だからといって退屈というわけじゃない。最後までワクワクしつつ、ほのぼのしながら読んだ。


受けの耕太は、純朴でちょっと鈍感。自分に対する悪口を聞いても、自分が悪いと思ってしまうほど内気。馬をとても愛していて、馬術部の馬を骨身を惜しまず世話する。


耕太のこのキャラ設定、物語の馬設定が競馬ではなくて馬術だからこそだなぁと思う。


これが競馬だったら、もっと勝ち気な、自分の悪口を聞いたらその場で抗議するか後日に報復するかぐらいの、アグレッシブさが前面に出たキャラになっていたと思うもの。テキサスならアリかもしれないけど、それでももっとワイルド方向に味付けされていたような気がする。


そしてそんな耕太に一目惚れし、何かと構ってくるのが、お坊ちゃまでイケメンで成績も良いらしい若宮。でも傲慢で意地悪なのが玉にキズ。――と思いきや、実はそれは世間の「お坊ちゃま」に対するイメージを演じることで、傷つくことなく生きていくための、彼なりの処世術なのだった。


意地悪キャラを演じている時の若宮は、若干ツンデレっぽく、ちょっとニヤニヤしていたのだけど、耕太と気持ちを通じ合わせてからは、「耕太以外の人間にどう思われたっていい。俺を傷つけられるのは耕太だけ」と、意地悪キャラ仮面を脱ぎ捨ててしまい、デレデレキャラになってしまった。


――いや、いいんですけどね。意地悪キャラ仮面と耕太との関係の変化が、しっかり結び付けられていて素晴らしいと思うし。ただ個人的に、ツンデレ攻めも面白くていいなぁと思っていただけで……。


耕太が、若宮への気持ちを空回りさせて煮詰まってしまう様子は、いつき作品ではよく見かける受けのパターンかも。そんな耕太を包み込むように寄り添う若宮は、物語が進むにつれてどんどん王子様キャラになっていったような気がする。物語の中では、「若様」と呼ばれていたけどね。


――ここまで書いて、耕太と若宮のキャラ設定、都会に出てきたばかりの田舎娘を見初め、真っ当になる金持ちのボンそのものじゃん! と気づいた。<遅


人物設定やストーリー展開は定番ではあるかもしれないけど、そこに絶妙に馬が絡み、しかもなみなみならぬ存在感を示すのが、さすがいつき先生の馬モノ作品。


特に、耕太と競技に出場する老馬のマンサクや、若宮に買われて障害競技に出場するトルネードなど、馬ごとにキャラがしっかり設定され、時に馬の気持ちに触れらているのが良い。マンサクと耕太が会話しているかのようなシーンなんか、読むたびにホッコリしたもんね。そして馬モノを読むたびに毎回思う、馬と人間の強い絆が羨ましくなっちゃったよ……


周防佑未さんのイラストも甘すぎず、スタイリッシュで、馬術部の一見ノーブルな雰囲気に合っている。表紙絵にはマンサクもしっかり描かれてナイス!


馬モノBLへの欲求がしっかり満たされて、これでしばらくは生きていけそうです――でも叶うならば、いつき先生にはまた馬モノを書いていただきたいわ……競馬でもテキサスでも馬術でもその他なんでもいいからさ!



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