ミス・アンの秘密の日記

 27,2011 05:09
ミス・アンの秘密の日記
原題:The Secret Diaries of Miss Anne Lister
監督:ジェームス・ケント 2010年 イギリス


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19世紀のイギリス・ヨークシャーに実在したアン・リスターの半生を描いた映画。伯父夫婦と暮らすアンは恋人のマリアーナと密会を重ねていた。マリアーナが富豪の老人チャールズと政略結婚をした後も2人は隠れて関係を続けるが、アンは次第に保守的なマリアーナに失望していく。やがて伯父の遺産で事業を始めたアンは、ビジネスパートナーの女性と親しくなるが、アンに求婚を断られた商売敵のクリストファーがアンの伯母に密告し…。(LGFF公式サイトより)


主人公のアン・リスターは、実在した人物だというのにまずビックリ。そして作品を観るうちに、アンがマリアーナに執着しながらも、友人かつ元カノと寝たり、同じ村のカワイコちゃんを誘ったりと、結構アクティブなことに、二度ビックリ。


でもとても見応えがあって、最後までドキドキしながら観た。イギリスといえばゲイ映画というイメージがあるけれど、こういう重厚な雰囲気のレズビアン映画もあるんだなぁ……
アンは非常に賢く、自立心旺盛で、はっきりと自分は女性しか愛せないと自覚している。同居している叔父・叔母のように結婚せず、叔父から領地を引き継いで管理し生活しようと決めている。


そんなアンが、もうメロメロなのがマリアーナなのだが――彼女は女性が好きだという自覚はあるものの、生活のために金持ちでかなり年上の男性と結婚する打算を働かせ、周囲に女性が好きだとバレたら共同体から爪はじきにされるという恐れと用心深さを持っている女性


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必死にかき口説くアンを翻弄するマリアーナ


まあ、そういうこともあるでしょうて――とは思うのだけど、後半になるにつれ、アンが商売敵のクリストファーに毅然と立ち向かい、ビジネスパートナーとなったアン・ウォーカーとと共に事業を進めていく姿を見ると


――彼女のズルさ、小心さ、そして身勝手さが非常に鼻につくんだよな……。


マリアーナのような人は、実は現在にもたくさんいると思う。そしてマリアーナとアンの最大の違いは、自ら稼いで生活していく意欲と能力があるかどうかで、結局、自らの経済力を持たないマリアーナは、アンを失い、夫の浮気に耐える生活を選ぶしかない。


逆にいえば、アンのような女性の方が、現在においても少ないのかもしれない。


少ないといえば、アンのパートナーになるウォーカー嬢も大胆。何しろ、マリアーナなみにおとなしそうでありながら、叔母の結婚のすすめに同意せず、アンのそばにいたいと言い放っちゃうんだもの。


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すごく内気そうなのに、迷わずアンを選ぶウォーカー嬢


あと、個人的には、アンの元カノ・ティブの報われないアンへの恋心があまりにも気の毒で、恋愛のままならなさって、こういうことよね……としみじみとした。


アンは暗号を使ってこれらのことを日記に書き残し、それを基にこの映画が作られたということだけど――昔のレズビアンについて、資料はそれほど多くはないのではないかと思うと、


――アン、Good job!


と心からの賛辞を送りたくなるのだった。院政時代に「台記」を残した頼長と同じくらいにね!<え!?


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Tags:  レズビアン クィア映画 LGBT

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