鬼畜攻めとツンデレ攻めはイコールか? ― 「恋情に濡れる夜」(音理雄)

 20,2012 02:52
負け犬腐女の大好物・ツンデレ<勝手に断定。でもBLでツンデレというと、受けのイメージが強いと思う。少なくともわたしはそうだ。


ところがこの作品では、攻めがツンデレだった!


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音理 雄 乙里 玲太朗

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バーテンダーの吉野悠也は、長いあいだ付き合っていた彼氏の八重樫と別れたばかり。関係はセフレでも、悠也なりには未練のある別れ方だった。そんな悠也の前に同僚として現れたのは、見た目は美形だが性格は傲慢、しかもかつて高校時代に悠也をこっぴどく振った過去がある男、名村柊二だった!さらに、八重樫はヨリを戻そうとしてきて、ひょんなことから悠也は名村に抱かれてしまい―。

攻めの名村は、デフォルトで傲慢・ジコチュー・ワガママな困った男ではあるのだけど、頭が良くて仕事ができ、おまけに見た目も良いせいか、周りからハブられるどころか一目置かれてさえいる、トクな人。


何しろバーテンダーとして採用されたくせに、「バーテンダーなんてやったことがない」と言い切り、シェイカーを振るのもカクテルのレシピも、「1日あれば覚えられる」と豪語しちゃいますからね。いやそれは地道に修行しているバーテンダーの皆さんに失礼だろう! プロのバーテンダーさんに謝れ!! と、読んでいてツッコんじゃったよ。


それはともかく、物語では名村、実際に1日でアレコレを覚えてそれなりに仕事をするようになる。しかも、決して愛想の良い接客ではないのに女性客の心を掴み、どうやら売り上げに貢献している様子。


そんな名村の不遜な態度に、悠也はムカつきつつも少しずつ惹かれていくようになる。そしてある日、たまたまコンビニで見かけた名村の後をつけたことから名村と言い争いになり、どういうわけか名村と寝てしまうのだが。


名村がとにかく、コトの最中でも凌辱の言葉を吐きながら悠也を乱暴に扱うのだ。甘さゼロで上から目線。「もっと楽しませろよ」とか「ホモはみんなそうなのか? オナニーするときも、自分でケツ弄ったりしてるんだろ」とか「どうせひとりの男では満足できなくて、何にも銜え込んできたんだろ」とか。


――読んでいた時も「ヤメテー!!」という感じだったけど、こうして自分で文字に起こしても、「ヤメテー!!」って思っちゃうものですね。このエラそうなやりとり、ちょっと男性向けエロ作品っぽい。


コトが終わると、さっさと悠也を帰らせようとするのも酷い。もちろん、思いやりの言葉など一切ナシ。音理&乙里コンビでまさかの凌辱系……!? と、がく然としていたら――


実は名村、高校時代から悠也のことがずっと好きだったんです――という安心のオチがついていた。セックスの後に悠也を急かして帰らせていたのも、悠也がそばにいると、本業のデイ・トレーディングの相場を読み誤るから。


いえ、読んでいる途中で、名村の悠也への気持ちはうすうす勘付いてはいましたよ? でも諸々解決したラストで二人きりでいる時、名村が優しい目をして悠也に「俺もずっとおまえを見てた」と言うわけです。「おまえとふたりだしな」と嬉しそうに酒を飲むわけです。


あの傲慢不遜な名村が! “優しい目”をして! 悠也と二人きりだとカワイイことを言うなんて!! 


これをツンデレと言わずして何と言おう!?


あとがきで音理さんは、名村のことを「鬼畜攻め」と書かれていて、ふと、ツンデレな攻めとは鬼畜攻めということなのかと考えてしまった。確かに鬼畜攻めも、凌辱的なことを言いつつ受けを乱暴に扱うイメージ。冷淡で傲慢な感じは、名村にも当てはまる。


けどなー、この作品の名村は、なんだか「鬼畜攻め」というよりは「ツンデレ攻め」というのが、わたし的にはピッタリくるんだよなー……。ラストのあのデレっぷりが強烈だったせいなんだろうか? 鬼畜攻めだったら、決してデレたことは言わない気がするんだけど、どうなんだろ?


鬼畜攻めとツンデレ攻めがイコールなのかそうでないのかはわからないけれど、ツンデレが攻めるとこうなるのか! という新境地を見た気がした。


そうそう、名村に酷く扱われても振り切れない悠也については、「この人……ドMだわ……!」としみじみ思ったことを付け加えておきます。音理さん、SMモノが案外向いているのかも……?


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Tags: 音理雄 乙里玲太朗

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