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「ダメBL」がまったくもってダメじゃない件

 29,2011 23:38
Twitterで出版情報をキャッチした時は、「こんな本が出るのねぇ……」ぐらいしか思っていなかったのだけど。


ダメBLダメBL

ブックマン社 2011-11-25
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ダメBLとは、なんらかの理由で「ダメ出し」をされ、発表できなかったBL作品のこと。本書は、twitterでの作家さんたちの「こんなBLは変かもしれないけど、私は好きだし描きたい」というつぶやきをきっかけに生まれました。収録されているのは、作家さんが、ダメ出しをされても「それでも描きたい!」とあたためてきた作品ばかり。今まで読んだことのない「ダメBL」、ご堪能いただけたらうれしいです。


読んでみたら、


――全然、“ダメ”じゃないんだけど! むしろ、こういうの読みたかったんだけど!!!!!――


という興奮にのぼせそうになっていたのだった。まさかの大満足


内容紹介にある通り、このアンソロジーは「なんらかの理由で『ダメ出し』をされ、発表できなかったBL作品」ばかり。


でもダメ出しといっても、この頃出版されるBLは結構バリエーションが豊かになっているように思えて、何がダメそうなのか、わたしなんて簡単に思い浮かばない。


例えば、オネエ攻めもオカマ攻めもあるし、マッチョを描く作家さんも増えたし、「30代前半じゃ“オヤジ”じゃないよなー」と思っていたらこのごろでは40代のキャラが登場する作品も出てきたし……と、「これは……」と思いつくものは、大抵手に入る。単にわたしの妄想力が貧困なだけともいえるけれど。


そんな浅くて平たいわたしだけに、このアンソロを読んでいる間、「え、これのどこがダメなの?」と思うことがたびたびあったのだが、各作家さんが「何がダメか」の「ダメポイント」を解説して下さって面白かった。なんだか予備校の問題解説みたい、と思ったりなんかして。


なるほど――商業誌として出すならば、死にオチとかはやっぱり厳しいんだなぁ……とか。ちょい女体化的なのはアウトなんだなぁ……とか。読者にとってなじみがなかったり親近感がなかったりするのも避けられるんだなぁ……とか。


――というわけで、本来なら「商業誌では読めない」タイプの作品が、このアンソロでは「商業誌として読める」というのが、とても楽しい。つか、商業誌として出すということで、これほどの粒揃いなラインナップになったのかも。


コミック12作品、エッセイコミック7作品、どれも本気で甲乙つけがたいので、各作品ごとに簡単な感想をつけてみた。いや、それぐらい気に入っちゃったんですよ!


長くなるのとネタバレを含むのとで、ここから折りたたみます。
≪コミック≫

『Be here to love me』(雲田はるこ)
足フェチの男が“神”と崇める美脚を持つ女・「うらえり」は、なんと会社の後輩だった! もう、二人のやりとりがとても軽快でお芝居のようで、ニヤニヤしながら読んだ。実はすべて、後輩の策略かも……? と匂わせてくれるオチも最高。


『劫の河』(もろずみすみとも
ミズラを結ったキャラが登場する古墳時代が舞台。コンパクトなストーリーの中に、差別や年若い指導者の成長といった重めの要素が入っているのが印象的。ラストの寄り添う人骨は、ジーンときた。


『Khaa Thoong』(えすとえむ)
ムエタイの選手が主人公。物語のしょっぱなから惹きつけられるのはさすが。強すぎるゆえに八百長をさせられている主人公がけなげで、ちょっと切なかった。最後、試合を終えた二人は逃げたと信じたい……!


『夏のさいごに寄せて』(梅松町江)
若い頃のエピソードが挟まれているものの、最初から最後まで老人×老人で枯れている。しかも攻め(多分)が受け(多分)の最期を看取るなんて、ある意味理想の終わり方。でもBLのキャラの年齢は少しずつ上がっている気がするし、老人同士のBLも出るようになるかもよ?


『!LOCAS!』(岡田屋鉄蔵)
これも出だしが魅力的。ゲイゲイしく、かつ賑やかしくとても楽しい物語。岡田屋さんの絵は色気があるよね、と改めて実感。弁護士のオネエさんは、以前読んだ同人誌にも登場してたっけ……? こんな風な、外国が舞台で外国人が主人公のお話をもっと読みたい~!


『アンドロボ』(千葉リョウコ)
アンドロイドロボットが登場する、カワイイお話だった。そうか、レンタル期間が終わったらアンドロイドの記憶は消されちゃうんだね……。こんなところが人ならぬロボットの切なさだなぁとしんみり。


『死ぬまでBL・死んでもBL』(竹内佐千子)
竹内さんがBLマンガを!? と思ったら、エッセイ的マンガでした。いや、期待通りの舞い上がりっぷりに笑ってしまった。しかし「死体×死体化粧師」って! しかも死体が攻め!? ……でも逆だと、死姦というディープすぎる世界になっちゃうのか。オオゥ……。


『隣は何をする人ぞ』(宇野ジニア)
まさか受けが扇風機だったとは……! と最後まで気づかなかったのは、このわたしです。しかし切なく悲しい物語だった。手当てをしたと思ったら乱暴に取り扱って捨ててしまうという展開がやりきれないのは、扇風機が擬人化されてたからだよね? きっと。


『透黒』(ZIN)
ナチスの収容所が舞台の、収容されたポーランド人×ナチ軍人の物語。軍人はポーランド人を知ってたのか!? と大きな謎を匂わせたまま、それなのに物足りなさを感じさせずに終わる。耽美……! しかしナチって、作家の想像力をかきたてるアイテムに溢れているんだなぁ……歴史的な観点ではアレな存在だけど。


『無法の少年』(モチメ子)
なんだか不思議な感触の物語だった。対抗組織のヤクザの組長の息子を拉致したものの、少年は実に鮮やかに主導権を奪い……って、これも一つの“下剋上”なのかな。最後、あの気の弱いダメな男は、少年についていったのかしらね?


『今どうしてる?』(六多いくみ)
イケメン×カワイイ系ポッチャリとはいえ、オタク同士のカップリング。でもキュンとするキュートな物語だった。書店が主要な舞台ゆえ、イケメンヲタ書店員のそばには腐女子書店員が! うーん、こんな二人がそばにいたら、たとえ自分好みの属性じゃなくても気になるだろうなぁ……とニヤニヤ。


『it must be』(桃山なおこ)
自転車ロードレースの選手たちが主人公。これの何がダメなのか、本気でわからなかった。無自覚な妻子持ち男と、競技のマイナーさ加減がダメなんだとか。私、結構好きなんだけどなぁ……。エロなし&「もしかしたら……!?」ぐらいのほのかなラブ感が、心のED状態のワタクシには心地良かったの。



≪エッセイコミック≫

『モブdeダメ』(青山十三)
いやー、わたしは「モブ×モブ」、面白いと思うなぁ……! まあ、彼らが主人公になった時点で、モブには見えないだろうけども。


『執愛 偏愛』(佳嶋)
陰影のついた耽美なイラストと詩のようなテキストとで、うわーっと妄想が広がる感じ。マンガになっていないからこそ、耽美な雰囲気が増しているのかも。


『恐怖! カッパ沼』(草間さかえ)
タイトルはおちゃらけ風味なのに、内容はちっともおちゃらけてなどいない、ある意味痛ましい物語。たった2ページなのに、なんだかズッシリとした読後感がすごすぎる。


『ブルブル大胸筋』(ケビン小峰)
BL界において、いまやマッチョは珍しくなくなった。しかし攻めが受けを抱きしめている時に大胸筋をブルブルビクビク動かすのに萌えるって! 担当さんの「攻めの思想がほぼチカン」というコメントに爆笑。


『エロなしBL』(ことり野デス子)
わたし、ことり野さんの作品を読んだことがないんだけど、そんなにエロシーンがすごいのかしら!? でも実はことり野さんはエロなしが好きだというのが業というものじゃなかろうか。このエッセイ、最初から最後まで笑えました。


『オナベBLプレゼンテーション』(彩景でりこ)
オナベが主人公……って新基軸! というか、あっても悪くないよね! と思ったら、担当さんの「ジェンダーの問題になってBLじゃなくなっちゃう」というコメントに、ああ……とガックリ。ま、オナベで男好きってのはニッチだけどさぁ……。


『ダメと言われたい』(ヨネダコウ)
ヨネダさん、これまでダメ出しされたことがないそうで、必死でダメ出しされそうな設定を考えるところがおかしい。オカマ×オカマはダメなのかーと、ここでもまたジェンダー的問題に残念な気持ちに。でも、リバはぜひ描いていただきたいです!



以上。“ちょっと”といいながら、結構書いちゃいましたね。しかも感想を書くのに苦労した作品が一つもなかったというのが、我ながらビックリ。どれだけこの本丸々1冊満足したのか、これで察してつかぁさい……!


あえて一つだけ残念なのは、わたしがうっかり、この本の上に読みながら飲んでいたワインをこぼしてしまったこと。おかげで裏表紙がしっとりしてしまって、うっすらワインのにおいまでするのだ……ええ、全部わたしが悪いんです。ワインを飲むたびにこの本を思い出せるかもしれないけれど、そんな自分が残念でならないよ……!


ま、結局、「ダメBL」自体に残念なところは、わたし的には何一つないということなのだ。わたしにとっては全然ダメじゃないので、ここに掲載されているような作品を今後読める機会はほぼない、というのが寂しいけれども


この企画、Twitterから盛り上がったということで、Twitterがなければこういう本も出なかったのかと思うと、ちょっと興味深い。


これが大ヒットしたら、「ダメBL」第2弾が出るのかな? それともTwitterから別の企画を作ろうと試みられるのかな? いずれにしても、ワクワクする。


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Tags: アンソロジー

Comment - 1

2011.12.02
Fri
04:39

lucinda #-

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ブログ拍手RES

> 12/01 02:26 fさま

コメントありがとうございます~。fさんもお気に入りなんですね! わかる……ほんと、もうちょっとレンジを広げてほしいですよね~。

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