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オリスラの疑問―魔術師の鎖(ミッシェル・ポラリス)、王子は伯爵に恋をする(J.L.ラングレー)、貴族の恋は禁断の香り(アヴァ・マーチ)

 30,2011 23:58
オークラ出版から「プリズムロマンス」として、翻訳されたオリジナル・スラッシュ小説が出版されるらしい!――と知ったのは、4月でしたっけね。


以降、書店で見かけたら買ってはいたものの、しばらく積んだままにしてしまい……。


気を取り直して8月から一気に3冊読んだのだけど、いろいろと思うところがあるので、まとめてレビューをアップすることにしました。


ちなみに取り上げるのは、読んだ順番に


■魔術師(マジシャン)の鎖 (ミッシェル・ポラリス)
■王子は伯爵に恋をする (J.L.ラングレー)
■貴族の恋は禁断の香り (アヴァ・マーチ)


の3冊。この順番で読んだからこその物思いなの。


――7月以降、新刊が出ていない状況に、わたしとしては今後もオリスラ翻訳小説、出し続けてほしいなぁとハラハラしながら思っているのだけど……。


長すぎるので折りたたみます。

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ミッシェル・ポラリス 祐也

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週末を利用してラスヴェガスに来ていたジェシーは、気乗りしないものの、誘われるままにSMめいたマジックショーを見にいった。扇情的なショーのマジシャンが高校の同級生サヴィンだと気づくのと同時に、サヴィンもまた、客席にジェシーがいるのに気づいていた。ショーのあとでサヴィンと再会したジェシーは、週末だけという約束で、SMという未知の世界へと誘われるが…。


裏表紙のあらすじだけ読むと、「ふーん、SMモノなのかー」と思っていたのだけど、ただのSMじゃなかった。なんと、攻めが妖精界の王子なのだ! しかも「攻め」と書いたけど、実はひっそりとリバだった


この作品は読み始めからぐいぐいと引き込まれていったのだけど、途中から徐々に、まさかのうっすらトンチキ展開に……。


ある事情で家族や家に縛りつけられ、罪悪感と無力感とで苦しむジェシーを、サヴィンがSM的なテクニック(?)で救おうとするところは良かった。ジェシーの苦しみに、ちょっと涙しそうになったし。


やはりある事情で妖精界から人間界にやってきて人間界を愛し、仲間の妖精と対立するサヴィンに、ジェシーが寄り添うところも悪くない。互いの苦悩に共に立ち向かおうとするのは、いかにもリバっぽくてヨダレが出そうな設定だ。


でもねぇ……サヴィンの妖精としての能力をパワーアップするにはジェシーとのセックスが一番! ってあたりから、ちょっとアヤしくなってきて――


妖精との戦いシーンやら、サヴィンの妖精界の思い出シーンやら、2人が妖精界に飛んでからのシーンやらが怒涛のように展開されるにつれて、だんだんと何がどうなってるのか混乱し始め、わたしの中のトンチキ信号が激しく点滅するようになったのだ。


個人的には、物語の世界を広げすぎたせいじゃないかと睨んでいるのだけど、どうだろう?


★読了後の疑問★
うーん、まさか「妖精」という超ファンタジーアイテムがガッツリ絡んでくるとは思わなかった。これ、挿絵があったら、もっとわかりやすかったんじゃないかしら?



王子は伯爵に恋をする (プリズムロマンス)王子は伯爵に恋をする (プリズムロマンス)
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リジェレンスの王子であるエイデンは、二十五歳になるか、配偶者との式を挙げるまでは、純潔を守らねばならない。男性の純潔を重んじるリジェレンスでは、夫も配偶者も男性なのだ。けれど、城にデヴァレル伯爵が滞在することになって、エイデンは彼に強く惹かれてしまう。それこそ、純潔など、どうでもいいと感じるくらいに。しかし、その伯爵は、じつは潜入捜査中の軍人で…。


この作品は、裏表紙のあらすじで最初からファンタジー設定だとわかっていたので、ある程度覚悟はしていた。でもね、わたしの認識はちょっと間違っていた。正しくはSF設定だったのだ!


時は西暦4829年。舞台はリジェレンス星。ここでは、独立と秩序の維持のため、古代ギリシャのスパルタ軍的な軍隊を作り上げ、その結果、男同士が結婚する「男系社会」を築き上げていた(サラッと解説しているけど、冷静に見ると超トンデモ世界よね)――


――はい、この世界観を頭に叩き込まないといけません。ついでにいえば、ちょこっと出てくるエングロール星は、ヨーロッパの貴族社会に理想を見出しその社会を模倣している、ということも頭の片隅に入れておかなければならない。


こうした世界観に慣れるまで、何度も最初の「主な登場人物」一覧を読み返すことになる。ええ、それはわたしなんですけれども。


もともとSFはあまり読まないので非常に難儀をしながら読み進めたのだけど、リジェレンスの王子・エイデンと、エングロールの貴族にして銀河連合海軍フリゲート艦の艦長・ネイトが、一目合ったその瞬間に恋の火花がバチバチと散った辺りから、グッと読みやすくなった。


結局、本を読み進められるかどうかは、頭の中で物語のシーンを想像できるか否かということなのかもしれない。ネイト×エイデンのエッチシーンは、かなり激しくねっとり濃く、読みながら「うわー!!」と床を転げまくりたくなったほど。年上攻め×純情受け、かつ、スパンキングと言葉攻めがほんのりSM風味という感じ。


うん、具体的に書かれていると、ほんとわかりやすくてどんどん読めますね<ゲンキンすぎ


だがこの作品、いろいろな伏線を張っているわりにはそれらを回収しないまま終わっちゃうのだ。こんなのアリなのか!? と愕然としていたら――実はこれ、続きがあると、訳者あとがきに書かれていて納得した。


★読了後の疑問★
オリジナル・スラッシュって、まさか妖精とか天使とかいう想像上の存在や、SFみたいな架空の世界設定じゃないとダメ、というルールがあるわけじゃないよね? そういう物語がたまたま続いたのかしら?


それにしても、SFだということを差し引いても、えらく読みづらかったんだけど、もしかして翻訳がマズいんだろうか? プリズムロマン、同じ翻訳者はいないんだっけ?



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アヴァ・マーチ 寿たらこ

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侯爵家の次男同士であるオリヴァーとヴィンセントは、寄宿学校時代からの親友だ。何をさせても優秀なヴィンセントと違って落ちこぼれのオリヴァーは、ずっと友人に思いを寄せてきた。ある日、ヴィンセントが同性愛者だと知り、彼との一夜に焦がれたオリヴァーは男娼をよそおうことに決めた。そして、友人を待つために入った娼館の一室で、鞭や玩具が用意されるのを目にしてしまい…。


「王子は…」が読みづらかったのは翻訳がイマイチだったのか? とちらっと思ったのだが、一番最初に買っておいたこの作品が、同じ翻訳者・美島幸さんによるものだった。


そうと知ってから早速読み始めたら――この作品はあっという間に読み終わりました。うん、「王子は…」の読みづらさは翻訳者のせいじゃなかったね。あのSF設定になじめないのが原因だったんだね、明らかに。


こちらは19世紀初めのイングランドが舞台。オリヴァーとヴィンセントはどちらも貴族だけど、ヴィンセントは羽振りのよい金持ち貴族、オリヴァーは没落貧乏貴族という設定。


えー、この作品も、軽くSMです。でも興味深かったのは、一応攻め&Sのヴィンセントが、受け&Mのオリヴァーに心理的に絡めとられていく様子がうまく描かれていたこと。


そしてエッチシーンも、一瞬、リバかと思うような際どい描写に、前のめりになった。“リバ=対等な関係”ということばかりじゃないと思うけど、それでもオリヴァーとヴィンセントの関係性が、どっちが上とか下とかではない、という感じが伝わってきたのは良かった。


ヴィンセントは俺様攻めから最終的にヘタレ攻めになりつつあり、オリヴァーは心理的には完全に下剋上を果たした、って感じかな。


時代考証もわりとしっかりされている印象で、同性愛者は罰せられるという当時の風潮や、物語のラスト、ヴィンセントが将来家のために結婚する可能性もあるとオリヴァーと二人で認識しあうところは、現実的で悪くない。「モーリス」のクライブみたいな感じね。


★読了後の疑問★
ようやく人間同士で一応現実世界のカップリングだったけど、でも時代設定が現代じゃない。オリスラには現代が舞台の人間同士のカップリングって少ないんだろうか?





現在、プリズムロマンスから出ている作品は4作品。まだ手に入れていない「守護天使に恋して」は、タイトルはもちろん、内容紹介を読んでも明らかに人間同士カップリングではない。


うーん、現代設定&人間同士カップリングのオリジナル・スラッシュ小説、少ないのかしら? 人気がないのかしら? 作品が良質じゃないのかしら? それともオークラ出版の編集者のお眼鏡に叶ったのが、たまたまファンタジー設定なものばかりだったのかしら?


――そんな疑問が、どうしても頭から離れない。


そして、ファンタジー設定だったからこそ余計に、物語に入り込みやすくするために、作品内に挿絵が入っていたらよかったのになぁ……と思う。作品自体のボリュームも結構あることだしね。


逆にいえば、普段BL小説を読んで作品世界に浸るのに、どれだけ挿絵の力を借りているかを思い知らされたような。


挿絵を入れると、本の単価も上がってしまうのが危惧されたのかしら? 翻訳に際しての契約で挿絵は入れないということになっているのかしら? ――ここでも疑問だらけである。


そこんとこ、どうなんでしょう、オークラ出版さん?


トンチキ展開やSF世界観に戸惑いはしたけれど、プリズムロマンス、日本のBLにはない魅力があるなぁ! と思っている。


まあ、一番わかりやすいのは、エロシーン。<え!? そういう風に展開するのか! と結構新鮮だったし、どれも大概ねっとりと濃密なのに唸ってしまった。


エロシーンでやることは結局同じなので、どうしても「どこかで見たな」感が漂うのは仕方ない面があると思うのだけど、そんなマンネリ感が払拭された感じ。


印象的だったのは、睾丸の描写ですかね。どの作品にも、“感じすぎて、睾丸が体の中に入り込みそうになる”という非常に具体的かつ刺激的な描写が入っていた。こういう描写というか表現は向こうでは定番なのかしら?


あとはなぜかSM的なシーンが必ず入っていたのも興味深い。実は当初、以前巡回先のブログで紹介されていた、アメリカのSMゲイポルノ小説「ラヴェンダーロマンスシリーズ」作品とプリズムロマンス作品を、読み比べてみようかな、と思っていた。


なぜ読み比べを思いついたかというと、どちらも海外(アメリカ)小説の翻訳だし、同性愛を取り扱っているから。それに、「ラヴェンダー…」の方は読者ターゲットがゲイっぽいけど、「プリズム…」の方は女性のようなので、その違いを比較できたら面白いかなと思っていたのだ。


しかし「ラヴェンダーロマンスシリーズ」がどうしても手に入らず、泣く泣く断念。


ただ実際に読み比べられなくても、「プリズムロマンス」のSMシーンは、「ラヴェンダーロマンスシリーズ」のかなりハードでバイオレンスらしいSMシーンとは全然違うんだろうなぁ……ということは想像できる。少なくとも、BL映画とゲイポルノ映画のラブシーンの違いぐらいには。


個人的にはSF設定で苦労したものの、「プリズムロマンス」の翻訳は悪くないと思う。キャラたちのセリフの言い回しなどに翻訳モノ特有のぎこちなさがあって、「そこは意訳でもいいんじゃない?」と思わないでもないけれど、別にそこで読めなくなるほどひどいわけじゃない。


――うーん、これはやはり、可能であれば挿絵についても検討していただいて、細く長く、レーベルを存続させていただきたいなぁ……と、新作を待ちながら思うのだった。


そのあたり、いかがでしょう、オークラ出版さん? 5作目の翻訳小説、お待ちしています……!


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Tags: ミッシェル・ポラリス J.L.ラングレー アヴァ・マーチ 美島幸 高垣えりか 祐也 椎名ミドリ 寿たらこ オリジナルスラッシュ 複数レビュー

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