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切ない幼なじみ―「それが愛だとするならば」(ひのもとうみ)、「ぼうや、もっと鏡みて」(樋口美沙緒)

 26,2011 06:00
幼なじみってだけで、どうしてこう切ない物語に仕上がるんだろう……!



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ひのもと うみ 小椋 ムク

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顔もよく仕事も優秀、常に人の中心にいる大崎哲也は、同期の中でも出世頭のエリートコースを歩んでいた。そんな哲也のもとへ、転職のため上京してきたふたつ歳下の幼馴染、野田透が居候する事に。頭が悪く頼りない透を放っておくわけにもいかず、心底面倒だと思いながらも、哲也を一心に慕ってくる透との生活は不思議と哲也を和ませた。だがある夜、酔った勢いで透を抱いてしまった事から二人の関係は一変し――。



哲也は、器用でソツがないゆえに、「自分はデキる」と自信を持っているし、「デキる自分が他人にどう見えるべきか」を意識している男。ハッキリ言って、こういう男性が近くにいるとウザくて仕方ないだろうなぁと思わずにはいられない。



実際、哲也は非常にイヤな奴だ。一途に自分を慕ってくる透に、「他人からどう思われるか」という一点に囚われて酷い仕打ちをする。酔った勢いで透を犯すわ、透がパワハラで悩んでいる時に話を聞いてやらなかったわ、自分が居心地が悪いからと透を追い出すわ……いや、まだまだあるんですけどね。



しかし哲也は透のことを気にかけてもいて、ちょっと不器用でのんびりやさんな透を守ってやらないと、と思っている。しかも、同僚の奥園が透に親しくすると、嫉妬したりもする。だからこそ透への仕打ちは、読み進むだに、ますます酷く感じられるのだ。



ただ、哲也の身勝手ぶりは、読んでいてまったく想像できない! という類のものではないのがクセモノだ。わたしの中にも世間や人目を気にして取り繕う部分があり、親しい人を蔑ろにした記憶もあり――哲也に腹を立てつつも、どことなく刺されたようにキリキリする。



そんなわけで、読むのが非常にしんどい作品だった。文章が読みやすく巧いために、苦しく切ないながらもどんどん読み進められるという意味でも。



哲也の身勝手さに、いちいち憤りを感じていたのだけど、そんな哲也をひたすら一途に慕う透の様子も、あまりに気の毒で切なくて、こちらはこちらで「読むのしんどい~!」と思ってしまった。透のあの一途さも、難儀な性格といえるのかもしれない。



透が哲也を慕う根っこには、子どもの頃にいじめっ子から守ってくれたから――というのがあるようだけど、そういうものなんでしょうかね? 読み終わった今でも、個人的には透は、奥園と一緒にいる方が幸せなんじゃないのかと思っているけれど。



哲也は交通事故で入院したことをきっかけに、出世のために勝ち取ったポストも婚約者もすべて失い、そこで初めて透のかけがえのなさに気づく。ここからはハッピーな方向にストーリーが進んでいくので、しんどさはどんどん減っていくのだが、これがなければ、多分読み終わったあと、数日はどんよりしていたと思うわ、わたし。



ところで、この作品を読んでいて、何度となく、この作品を思い出していた。



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樋口 美沙緒 小椋 ムク

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いつも駄目な男とばかり付き合い、傷ついては縋ってくる幼なじみの望。俊一は、そんな望のことを、愚かでかわいそうなヤツだと思っていた。そして、望の自分への恋情を知りながら、ずっと気づかないふりをし続けてもいた。だが、そんな望がある事件をきっかけに変わり、俊一に頼らなくなった。望の気持ちに応える気はないのに、いざ距離を置かれると苛立ってしまう俊一は、望を傷つけては、その気持ちがまだ自分にあることを確かめずにはいられず…。「愛はね、」から一年。俊一の出した結論は。



やはり幼なじみモノで、おまけにイラストがこちらも小椋ムクさん。そしてやっぱり、受けがひたすらに攻めを恋い慕うのだ。



こちらの攻め・俊一は、別に受けの望に対して非道な仕打ちをするわけじゃない。いや、この作品を読んだ直後は、俊一の傲慢さにムカつきを感じていたのだ。でも、「それが愛…」の哲也に比べたら!<哲也、どんだけ……



俊一は、高校生の頃に望が一大決心をして打ち明けてきた自分自身のセクシュアリティについて、「俺を好きになるんじゃないならいい」と言い放ち、無意識のうちに望の恋心を拒絶してしまう。でも同時にこれが、自分の望への気持ちに蓋をしてしまうことになる……というのが、うまい。



俊一は、望が自分に頼ってこなくなったことで苛立ち焦ってしまって、望を傷つけ、望の気持ちを確かめる。ある意味、自傷行為的。望にはいい迷惑だけども。



俊一が自分の気持ちを最終的にすんなり受け入れるのは、望が仕事で福岡に行ってしまい、あるインタビューに同行してから。それまでに、俊一の気持ちを徐々に揺さぶりをかける出来事が波状攻撃のように起こって、そこでストンと俊一は納得するのだ。



実は、俊一が自分の気持ちを受け入れたところで涙を流すのだが、わたしも泣いてしまった。俊一に共感したというよりは、「バカね、ようやくわかった?」という安堵感で。



「同じ男のアイツを好きだなんて、そんな!」というノンケ・俊一の気持ちの変化を、こうまでねっとりきめ細かく描く樋口美沙緒さんって……恐ろしい人……!



この作品でも、受け・望がひたすらに痛々しいほど攻めを恋慕う。そしてやっぱり、わたしは望の気の毒さに「しんどいな~」と思いながら読み進めたのだった。



幼なじみモノは、ちょっぴりorたっぷり切ない物語が多いけど――なんなんだろう、ノスタルジーの一種なのかしらね? あるいは現実にはありえないから余計に盛り上がるというものなのかしら?


もしかしてこの二つの作品に限っては、イラストがほんわかした淡い感じの小椋ムクさんだから、切なさが倍増されてる部分もあるんじゃないかしらね。



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Tags: ひのもとうみ 樋口美沙緒 小椋ムク 幼なじみ 複数レビュー

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