終わらない恋の約束 (吉田ナツ)

 12,2011 23:18
吉田ナツさんのこの新刊、「なんだかそこはかとなくゲイゲイしいなぁ……」と思いながら読んだ。



終わらない恋の約束 (B‐PRINCE文庫)終わらない恋の約束 (B‐PRINCE文庫)
吉田 ナツ 千川 夏味

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「君は俺だけにする気はない?」会社を経営する柏原は、取引先のバーの店長・智也を一目見て「いいな」と心を弾ませた。と同時に一生の相手を探す柏原にとって、どんなにタイプでも小悪魔のような彼は相手には向かないだろうと感じる。案の定、智也はエッチに奔放で、柏原と恋人ができるまでを条件につき合い始めるが、一緒に過ごすうちに智也の柏原を気遣う優しさに惹かれる気持ちが強くなって…。


BL的、というのとは微妙に違う、なんというか、モノホンっぽい感じといえばいいのかしら……。なにゆえそんな風に感じたのか、考えてみた。



●作中、キャラたちの言葉遣いの柔らかさがゲイゲイしい。柏原の元カレ・裕人は特に。また、智也と裕人は似たタイプ(柏原談)ということだが、二人の言葉遣いが似ているので、「似たタイプ」に説得力もある。



●ゲイバーで柏原と智也が偶然に鉢合わせしたり、智也と柏原の元カレ・裕人は顔見知りだったりと、よく言われる「ゲイの社会って狭いからさー」感が出ている



●智也が柏原に甘えたがったり、かまってもらいたがったりする様子が、ファザコンなゲイという感じそのもの。



――こんな感じかな。



個人的にとても印象的だったのは3番目の、智也が柏原に甘えたがる様子が違和感なくクドくなく、サラッと描かれていたこと。



智也は、特に年上の男性がタイプ、というわけでもなかったようだけど、惹かれるタイプは「渋い男前」「男っぽくてセクシー」で、落ち着いた雰囲気の人にヨロめくみたい……って、要素としては十分「年上」じゃん!



最初は柏原に甘えたいという気持ちを自覚していなかった智也が、柏原と一度別れてから



自分の中に、子供の頃に満たされなかった、(相手に)心配させて愛情を確かめたがる幼い男の子=自分がいる



と、ハッキリと自覚する。インナーチャイルドってやつですかね。この自覚が、ろくでなしな両親と、それゆえに早く大人にならざるをえなかった家庭環境という智也のバックグラウンドとうまく噛み合っているので、読んでいてすんなりと受け入れられる。



ファザコンと書いたけど、智也はある意味、アダルトチルドレンと言えそう。智也のように、子どもの頃に親からの愛情に飢えていたという自覚がある人は、この作品を読むとちょっとしんみりとした気持ちになるかもしれない。



インナーチャイルドとかアダルトチルドレンとか並べ立てたけど、物語の雰囲気は重苦しくなく、明るく軽快。智也と柏原が徐々に歩み寄って関係を築いていく様子が丁寧に描かれているのも、すごく良い。



たとえファザコンを満足させられるとしても、ポリガミー的傾向の智也が、柏原ひとすじになるものかどうかはちょっと疑問だけど――そこはBL的セオリーに則ったということで、いいんじゃないかな、と自分を説得しておいた。やっぱり夢とロマンは大切じゃない?

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Tags: 吉田ナツ 千川夏味 ゲイ

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