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is in you (一穂ミチ)

 02,2011 23:49
Twitterで、絶賛のtweetをいくつか見て、初・一穂ミチ作品にトライ。


――なんで今まで読んでなかったのかって? なんとなく「高校生が主人公」で、プラトニックなイメージが強かったのよ。プラトニックはさておくとしても、この作品は高校時代からストーリーは始まるものの、高校生モノというわけではない――という点でも、読んでみる気になったのだった。


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一穂 ミチ 青石 ももこ

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香港からの転校生・一束は、日本にも教室にもなじめずに立入禁止の旧校舎でまどろんでばかりいる。そんな一束だけの世界を破ったのが、二つ先輩の圭輔だった。まっすぐな圭輔にやがて心を許し、どうしようもなく惹かれていったのに、向けられる想いを拒んでしまった一束―十三年後、新聞社香港支局長になった圭輔と仕事相手として再会し…。


これは……! キュンキュンというより、ジンジンきた……! 低温ヤケドをしてしまったように、ジワジワと炙られて、気づいたら結構深い傷を負っていた、みたいな。つまり、読後しばらく、物語の世界に浸らずにはいられなかったという感じ。


高校時代、いろいろとコンプレックスのある一束が圭輔に惹かれていく気持ちや、大人になってからの一束とボスである佐伯との関係、一束と圭輔が再会してからのやりとり、一束の圭輔への微妙な気持ちといったことが、丁寧に、でも淡々と描かれる。


しかし、佐伯が嫉妬心を露わにし、圭輔を挑発しつつ、一束をうろたえさせる辺りからのドラマチックな筆致が、もう!


――ちなみに、佐伯は圭輔の前の香港支局長で、佐伯と圭輔は以前、同じ部署で上司と部下の間柄だった。圭輔は佐伯を尊敬していて、佐伯も圭輔を気に入っているようだ。この二人の間柄が、ドラマチックさに拍車をかけているような気がする。


佐伯に煽られた圭輔が、一束に自分の気持ちを必死に告白してかき口説くと、一束は13年前――つまり高校時代に圭輔の気持ちを受け入れられなかった秘密を暴露し、二人は結ばれる。そのセリフの応酬が良い。


だけどこのクライマックスがビリビリとわたしの胸に迫ったのは、一束と圭輔の、お互いに想い会う気持ちだけが描かれているからじゃない。


「なぜ佐伯さんは良くて俺はダメなんだ」という圭輔の言葉には、憧れ尊敬している上司・佐伯への競争心というか対抗心がにじんでいるように思えてならない。仕事ができて出世も順調で、相思相愛の妻(一束と佐伯は不倫関係)までいる佐伯に、自分もいつか追いつこうという野心を抱いているんじゃないか――と想像してみたり。


そして佐伯が、「あいつが、俺より若くて健康で、階段を駆け上がっている最中の男だからだ。俺はそれを、踊り場から眺めてるしかないからだ」と激白した圭輔への嫉妬は、圭輔の気持ちと対称をなしているかのようだ。もうあとは上級管理職として現場に出ることもなく、残りのサラリーマン人生の先が見えることに諦めを抱きつつも、圭輔の若さと可能性にまぶしさを感じて歯噛みするような。


二人のそんな、いかにも組織に属する者同士の複雑な感情が、一束の取り合いの背後に透けているようで、わたしはゾクゾクしてしまったのだ。


あ、わたしは圭輔の佐伯への競争心にも、佐伯の圭輔への嫉妬心にも、どちらにも共感した。けど、どっちかというと佐伯の嫉妬心により共感したかな。アラフォーだからさ……<寂


佐伯は病弱ゆえ、圭輔の健やかさにもコンプレックスを刺激されていたようだが、佐伯と圭輔の間に流れる感情がいくらでも妄想できるので、いっそ圭輔×佐伯でもイケるんじゃないかと一瞬血迷った。が、いやいやいや、圭輔と一束が結ばれるこの展開で文句はございません!


圭輔と佐伯のお互いへの気持ちばかり語ってしまったけど、一束の圭輔への想いも、あまりにも密やかで切なく、胸が痺れそうになった。


一束はちょっと難しそうな人だけど、こういう人には圭輔のような、大らかで素直な人がいいんだろうな――と思った。「is in you」の後日譚「is in me」を読んで。


ストーリー全体を通して、スパイシーなセリフを吐きまくる美蘭が、かなり好きだ。良質のBL作品には、良質の女性キャラがいるような気がする。美蘭だけでなく、キャラたちのセリフのやりとりが軽快なのもお気に入り。


想像以上に仕事シーンの描写が細かく、「新聞記者」という仕事のリアリティがあちこちで感じられたのも良い。一気にわたしの中で一穂作品の株が上がってしまった(ゲンキンすぎ)。


一穂作品、周りで人気なのもわかるわぁ……<今ごろか!

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Tags: 一穂ミチ 青石ももこ

Comment - 3

2011.04.08
Fri
23:56

茉莉 #-

URL

萌えないけど…

こんばんわ。一穂 ミチさん私も結構好きなんですが、高校生が主人公というのにはハードルを感じる今日このごろなので(はじけた話ならファンタジーとして読めるけど…)、今度はこの本を読んでみます。
BLなんできゅんきゅんするにはこしたことはないものの、きゅんきゅん無しでじんじんとしたラブもあって良いですよね。
デビュー作にして代表作(?)「雪よ林檎の香のごとく」のスピンオフの「Meet Again」(小説Dear+掲載)、は萌どころかラブのかけらも(苦笑)感じられない作品だったのに、なぜか自分では気に入って読み返してしまいました。人気作品のスピンオフでなければ掲載は難しいのではと思わず心配したほどです。

編集 | 返信 | 
2011.04.12
Tue
06:23

lucinda #-

URL

コメントありがとうございます

茉莉さん、どうもです。
一穂さんは、別に高校生モノばかり書いているわけじゃない、と今頃知るわたしもどうかと思うのですが、なんだかそのイメージが強かったんですよね。代表作の「雪よ…」のせいなのかしら。

>萌どころかラブのかけらも(苦笑)感じられない作品だったのに、なぜか自分では気に入って読み返してしまいました。
こういうこと、ありますよね。それは確かに、きゅんきゅんじゃなく、じんじん、だったのかもしれない(微笑)
この作品、楽しまれることを祈っております。

編集 | 返信 | 
2011.04.14
Thu
15:08

lucinda #-

URL

拍手コメントRES

>04/07 21:26 mさま
コメントありがとうございます。こう、組織にいる男同士の微妙な感情を、こうまでうまく書くなんてすごいと、思いました。ハイヒールのところ、そんな上司がいたらほれてまうやろー!って感じかもしれません(笑)。おとぎ話…はよく分からないのですが、コンプしている友人に聞いてみます!


>04/11 17:00 Mさま
コメントありがとうございます。この作品を読んでから、高校生モノじゃない作品を読みあさってますw 木原さんも好きですよー! でも、読む前に心の準備が必要ですけどね…ええ…。

編集 | 返信 | 

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