スポンサーサイト

 --,-- --:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

遊郭モノで百合とは[1]― 花宵道中(斉木久美子)

 22,2011 23:18
miriam先輩に、「これ、面白いの」とオススメされた「花宵道中」。実は以前、twitterで、


「遊郭モノって、BLにはあるけど、百合ではどうなんだろ?」


とツイートした時に教えてもらった作品でもあった。


花宵道中 1 (フラワーコミックスアルファスペシャル)花宵道中 1 (フラワーコミックスアルファスペシャル)
斉木 久美子 宮木 あや子

小学館 2010-02-10
売り上げランキング :

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

明日散りゆく運命でも、叶わぬ恋に身を焦がす。江戸・吉原を舞台に遊女たちの悲恋を描いた官能純愛絵巻。
江戸時代後期、幕府唯一公認の遊廓だった吉原。小見世・山田屋の遊女・朝霧は、美形の職人・半次郎と出会い、生まれて初めて恋をする。しかし、ふたりの再会は、遊女と客としてだった――。女性らしく鮮やかな官能描写が話題を集めた同名小説を、斉木久美子が瑞々しいタッチで完全ビジュアル化。遊女たちの切なくも華麗な恋物語が幕を開ける!


全5巻。完結済み。原作の小説(宮木あや子 著)も評判がいいみたいですね。


吉原の遊女が主人公かぁ……と、読み始める前はちょっと斜に構えていた。男に惚れたとか、女同士の確執とか、不幸な身の上とか、哀れな末路とか、そんなドロドロした話がいっぱいに詰め込まれているんでしょう?と、高を括っていた。


実際、予想したドロドロの話は全てあった。けれど、不思議と生臭さや粘つきは感じない。むしろ哀れで残酷で悲惨な話が語られているのに、透明感があった。


絵柄が綺麗で儚げだからかもしれない。でも、それぞれの物語の主役である遊女たちがみんな凛として、それぞれの悲しみや苦しみを一人で抱えて消え、あるいは消化しているので、生臭くもなければ、粘つきも感じなかったのでは……と思うのだ。


物語は大きく4つの話が展開し、朝霧、霧里、八津、緑、の4人の遊女がそれぞれ主役となる。そして、4つの話には重要な脇キャラが登場し、その脇キャラが4つの話にまたがって登場して、4つの話がそれぞれにリンクしているという構成。


この中で、百合展開を見せるのが、5巻に登場する「緑」の話。紹介しているあらすじはこんな感じ。


花宵道中 5 (フラワーコミックスアルファスペシャル)花宵道中 5 (フラワーコミックスアルファスペシャル)
斉木 久美子 宮木 あや子

小学館 2011-02-10
売り上げランキング :

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

貧しい南方の村で生まれた緑は抜群に美しい容姿を気味悪がられ、“白鬼"と疎まれて育つ。山田屋へ売られた緑は姉女郎の桂山としか話すことができないが、気さくな三津に恋心を抱き始める。


臆病で自分に自信のない緑に、姉女郎の桂山以外で何かとやさしく鷹揚に接するのが、三津。ただ、三津の直接の姉女郎は桂山ではないので、別に三津が緑の面倒を見る必要はない。この関係、無理やりに例えると、職場の違う部署やチームの先輩が、気にかけてやる感じかしら。


緑は、次第に三津への恋心を自覚する。違う部署の優しい先輩が、ダメッ子の自分に優しくしてくれたら、そりゃあ、嬉しいだろうし、憧れの気持ちを抱くのも無理はない。それが、“恋”へと昇華するかどうかは人それぞれだろうけど。


ある日、一人前の遊女としてのデビュー前だというのに、相変わらず他人としゃべれないことを桂山に叱られ、緑は病に伏している三津のもとに駆け込む。そこで、緑は思わず三津にキスをするのだが、緑の気持ちに気づいた三津は、


「何がしてほしいのかいってごらん? 気持ちいいなら声をお出し。そしたら、もっとさわってあげる……」


と緑を抱くのだ。――緑、ここで声が出て話せるようになり、無事にデビューできるのだけど――三津と緑のこのシーンは、エロティックさよりも、ひたすら切なくて悲しい。それは、緑と三津の気持ちが、微妙に別方向に向いているからじゃないかと思う。


三津は自分の死を予感しているのだが、緑は恋する三津と抱き合える嬉しさでいっぱいで、三津の死への無念や、生への未練に気づかない。


また三津は、自分の実父が、貧しさゆえに村の娘を誘拐して売り飛ばしており、自分の姉女郎・八津の実姉もそうして父が売り飛ばしたという悪夢のような記憶に、死を前にして苛まれていた。このことも当然、緑は知らない。


もちろん、三津は緑が可愛かっただろうし、キスをしてきた緑を邪険にできないほどの情を抱いていたと思う。でも、見世の看板遊女になると期待されている緑の将来と、もう余命いくばくもない自分の将来とを思い比べて、どんな気持ちだっただろうか――と、読みながら想像してキューンとなってしまったのだった。年のせいかしら……。


レビューが長くなったので、続きます。

関連記事

Tags: 斉木久美子 宮木あや子 百合

Comment - 0

Latest Posts

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。