腐男子は身近にいた!

 03,2011 23:04
先日、久しぶりに友人と電話で話した時のこと。


その友人は、以前、今でいえば“オトメン”だと思い当たった人。40代男性。ここでは仮に、弦さんと呼ぶことにする。なぜなら彼は学生オケ時代、弦楽器を担当していたから。


弦さんは料理やお菓子作り得意で、裁縫も上手く、言葉遣いも物腰も柔らかい――という、今や稀少種となりつつある大和撫子のような人。彼との会話はいつも、料理やおいしい店の情報、共通の友人のことや、この先の不安についてなどなど、およそ女子同士で弾む内容で盛り上がるのだけど、この日も、最近わたしにいろいろと降りかかってきた変化について、不安を聞いてもらっていた――はずだった。


それが、どうしてそんな話になったのか――話題がいつの間にかマンガのことになり――


「前にさー、lucindaに教えてもらった『オトメン』ってあったでしょ? あれ、まだ読んでないんだけど、まだ続いてるんだよね?」


と、弦さんが切り出した。2年前に会った時、弦さんのオトメン度の深さに感じ入り、弦さんみたいな男の子を主人公にしたマンガがあるんだよ、と「オトメン(乙男)」をオススメしたのを覚えていたらしい。


興味はあるんだけど、忙しくてなかなか読めなくて……という彼に、


「そういえば、ちょっと方向性は違うんだけど、弦さんにオススメしたいマンガがまだあるんだよ」


と、わたしは切り出したのだが。


「『きのう何食べた?』っていってね、えっと…………その……ゲイカップルが主人公なんだけど……」


――話している内に、内心焦った。タイトルを口にした直後に、以前弦さんが、「オレ、こういう感じだからか、勝手にゲイだと思われることがちょくちょくあってさ。すごい迷惑なんだよね」と、グチっていたのを思い出したからだ。


オトメンな弦さんだけど、ゲイフォビアだったらどうしよう!? マズったかも!――とハラハラしていたら


「あー! 知ってる知ってる! オレ、読んでるよ! 料理のこととか参考になるし、あのマンガ好き!


と、晴れやかに言うじゃありませんか! 弦さん……!!<感激


「わかるー! 読んでたら料理、作りたくなるよねぇ?」

「うんうん。なんかあの雰囲気も好きなんだー」

「そっか。 あれを描いてるよしながふみってさ、前はBLを描いてたんだけど…………」


――なんてこと、わたし! 痛恨の連続ウッカリ発言いくら弦さんが「何食べ」ファンだとしても、そして仮にゲイフォビアじゃなかったとしても、BLがOKとは限らないのに!――とドキドキしていたら


「あー、オレもさ、読んでたよ、BL。てか、結構スキ」


と、まさかの反応を見せてくれたのだった。弦さん……!!<しんみり


BLを好んで読む男性、つまり“腐男子”で親しい人は、みんなブログなりTwitterなりで知り合った、オンライン上の人だった。オフではこれまで気づいていなかっただけかもしれないけれど、唐突に「腐」について話しかけるわけにもいかないし、そもそも、ここしばらく男性と、マンガや小説についてじっくり話す機会がなかったのだから知りようがない。


それが、身近なオトメンが、腐男子でもあったのだ。この衝撃! まあ、弦さんがBLを好んで読むことを想像しても、さほどの違和感は感じなかったけどね。


わたしはさっそく、「BLを読み出したきっかけって、なんだったの?」と聞いてみた。


「高校の時の先輩が、よく面白い本やマンガを教えてくれたんだけどさ。その中にBLもあったんだよね」

「先輩って……女性?」

「うん。『タクミくんシリーズ』とかオススメされたわけよ」


――ああ、弦さん、高校時代も音楽をやってたしねぇ……! ストーリーに何か共感できるところがあったのかもね……って、違うか。


「けど、弦さんって前に、ゲイだと思われることがあってイヤだって、言ってたじゃない? BLは男同士だけど、その辺、屈託はなかったの?

「ないね。それとこれとは別でしょ?

(キッパリした物言いに感心しつつ)そうねぇ……。とはいえ、男の人ってさ、男同士で固まって、ホモソーシャルっぽい関係を築くくせに、男の同性愛についてはびっくりするぐらい嫌う人、多いじゃない?

「あー、そうだよね。まあ、そういう人たちはさ、自分の中の同性愛的感情に気づくのを恐れてるんだと思うな。だからゲイを毛嫌いするんじゃない?」


――なるほどねぇ……。これまで同じような主張をしているコラムや発言などを、「文字」から目にしてきたけれど、リアルな友人から「声」で聞くと、なんだかストンと納得してしまう。友人としてよく知っている「声」と「話し方」だから、ダイレクトに脳に響くのかしら?


弦さんの腐男子カミングアウトを受け取ってから、一気に気持ちが高揚してしまったわたしは、今でもBLを読んでいるのか確かめたのだが


「今はね、例の先輩にあんまり会わないから、BLは読んでないんだよね。読みたいんだけどねぇ……。ちょっと前に、アマゾンでBLを検索してみたんだけど、なんかもう、すごい世界が広がってて、ヨメさんに見つかったらヤバいと思って、慌てて閉じちゃった


とのことらしい。んもー、そんなのわたしに言ってくれたら、いくらでもオススメ作品をお知らせしちゃうのに!


「BLじゃないマンガも、忙しくて『オトメン』をなかなか読めないぐらいだから、あんまり読んでないんだよね。『きのう何食べた?』のほかは『ジャイアントキリング』ぐらいかな」


――ジャイキリは、vivian先輩が二次でもハマっているマンガですよ! なんだかちょっとのきっかけで、ディープな腐男子になりそうな予感。


「オレね、高校生とかの青春!って感じのが好きなんだよね。ほのぼのしてるのもいいかな。過激なエロシーンはちょっとダメだと思うけど。ああ、なんかそういうBL読みたいなぁ! 」


としみじみとつぶやいた弦さんに感想を聞きたくなって、「同級生」(中村明日美子)や「八月の杜」(TATSUKI)、「椿だより」(イシノアヤ)など、「爽やか・ほのぼの・キュンキュン」だと思う作品をいくつかメールで知らせておいた。


そうしたらすぐに

「ありがとう。読んでみるね! ヨメさんに内緒で」

と返事が届いて、思わずニヤついてしまったわたしだ。フフフ……感想が届いたら、いろいろ突っ込んじゃおうっと<怖い。


弦さんが気に入ってくれるといいなぁ……。

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Tags: 腐男子 ジェンダー

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