かくも強引な彼に俺は(義月粧子)

 22,2011 00:00
この表紙絵はステキだなぁ……とかねがね思っていたにも関わらず、どういうわけか読みはぐれていたこの作品。


かくも強引な彼に俺は (リンクスロマンス)かくも強引な彼に俺は (リンクスロマンス)
義月 粧子 朝南 かつみ

幻冬舎コミックス 2009-06
売り上げランキング : 234246

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

小さな広告制作会社に勤める塚越は、同業大手の営業で、やり手で有名な川埜に突然呼び出され、コンペから手を引くよう忠告される。反発する塚越だったが、結局そのコンペは諦めざるをえなかった。引き換えに、川埜から別の仕事を紹介され、複雑な思いのまま引き受ける塚越。だが、川埜の仕事に対する真摯さに、彼への想いは少しずつ変わっていった。その矢先、川埜から告白され…。カメラマンと広告代理店営業のせつないラブロマンスも同時収録。

読み終わって、いろいろ複雑な気持ちになってしまった。なぜ複雑な気持ちになったのか――それは、私も塚越とちょっぴり似たような仕事をしているから。


塚越の、仕事への愛憎半ばする思い――仕事は好きだけど時々どうしようもなく嫌になるクライアントとのやりとり、選んでいる場合じゃない仕事状況、憧れと嫉み、焦りと屈折――そんなこまごまとしたことが、びっくりするほどリアル。


もちろん読んでいて飽きないように、多少はデフォルメしているところや、単純化しているところもあると思う。でもだからこそ、読みながら「わかるわぁ~」と、何度もほろ苦くしんみりとした気持ちになれたのかも。


その一方で、「やっぱり“小説”やね」と苦笑させられたのが、大手広告代理店の営業・川埜と、同時収録で連作の「かくも冷淡な彼に僕は」の川埜の部下・二階堂。だって川埜も二階堂も、お目にかかったことがないほどステキ営業なんだもの!


塚越のような制作側の立場や思いを大切にしてくれるわ、それでいてクライアントからの信頼も篤いわ、アクシデントがあっても投げ出したり逃げ出したりしないわ、まぁ、絵に描いたような頼れる営業さん。Twitterでちょこちょこつぶやいてるんですけどね、日々、彼らには内心ボヤきまくっているわけですよ、はい。


「こんなヤツ、いねーよ!!」と毒づきつつも、「あーあ、クライアントにヘイコラしてばかりじゃない、こんな営業がいたらねぇ……」と、ため息交じりに思わずにはいられないわたし。これこそ、フィクションならではのドリームですかね。いえ、わたしの知らないところでは、こういう素敵な人が本当にいるのかもしれないけどさ。


こんな風に、覚えず複雑な気持ちにはさせられたけれども、楽しく最後まで読めた。「冷淡」の方、二階堂に対するカメラマンの小曾根の豹変振りが、ちょっとあんまりじゃないかとあ然としちゃったけど。


――ふと、今になって思い当たった。川埜も二階堂も、何くれと心を砕いていたのは、塚越と小曽根という、それぞれの意中の相手を守るためだったからこそ、か。そうかそうか、愛のためか……やっぱり、ちゃんと“BL”なんだな、と妙に感心。


愛………………。<自分の周りの殺伐さに絶句した模様

関連記事

Tags: 義月粧子 朝南かつみ

Comment 0

Latest Posts