2010年私的BLベスト10~小説編~

 10,2011 23:40
連休中にアップしようと思っていた“2010年私的ベスト10”。しかし、愛用のiPod shuffleの不調に右往左往して、すっかり後ろ倒しになってしまいました。shuffleはいまだ復活せず……涙。


気を取り直して<shuffleに振り回されすぎ、“2010年私的ベスト10”を挙げてみたいと思います。まずは小説から。


去年は、1位からランクダウンしていたので、今年は10位からランクアップしてみようかな。というわけで、長くなるので折りたたみます。
10位
夜逃げマニュアル(如月静)
夜逃げマニュアル (SHYノベルス)夜逃げマニュアル (SHYノベルス)
如月 静 石原 理

大洋図書 2010-09-29
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如月さんは新人ということで、第1作目のこの作品。実はあんまり期待していなかったのだけど、結構楽しんであっという間に読みきった。

無鉄砲でツンデレ気味なカワイイ年下受け・満と、一見素っ気ないけど優しい正体不明のオヤジ攻め・山崎。満の父親が、借金のために山崎に夜逃げを依頼したのが、二人が出会うきっかけ。最初、山崎は満を冷たくあしらい、満も山崎に噛み付いていたけれど、徐々に惹かれあって――という展開はお約束。


でも、中だるみせずテンポよく読み進められるのが、読んでいて気持ち良かった。あと、エロシーンが結構濃かったんだよなぁ……。次作も読んでみたい。


10位
御曹司の口説き方(鳩村衣杏)
御曹司の口説き方 (ビーボーイノベルズ)御曹司の口説き方 (ビーボーイノベルズ)
鳩村 衣杏 高階 佑

リブレ出版 2010-08
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どうしてこの作品をランクインさせるのを、忘れてたんだろう!? 本当にバカバカ……!!と厳しく反省したほど、2010、何度も読み返したとても気に入っていた作品(その割には追加するのが遅かったけど)。今さらですが、同率10位ということで、ひとつ。詳しいレビューはここへ。


タイプの違う御曹司同士のつばぜり合いが、読んでいて楽しい。やっぱり“ライバル同士が対等にやりあう”というのが、わたしの萌えの一つなんだな。高階佑さんのイラストに、御曹司の気品が感じられたのもナイス。


9位
恋で花実は咲くのです(久我有加)
恋で花実は咲くのです (新書館ディアプラス文庫)恋で花実は咲くのです (新書館ディアプラス文庫)
久我 有加 草間 さかえ

新書館 2010-10-09
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芸人シリーズ待ってました! の今作品。今回は、敏腕マネージャー×元芸人。攻めのヘタレ具合はともかく、ツンデレでしっかり者の受けは、久我作品ではおなじみ。


芸人シリーズは、主人公たちの苦悩する様子がことさら丁寧に丹念に描かれていると思う。今作では、マネージャーだった時田に、「新劇場の専属作家になってほしい」と誘われた元芸人の隼斗が、実家の温泉宿の仕事を続けるか、またお笑いの世界に足を踏み入れるか、散々に迷い悩む。そして作家になったらなったで、仲間だった芸人たちとの付き合い方に思い悩む。


あまりに真剣に悩むので、読んでいるこっちも一緒になって「どうしよ……」と思ってしまうほど。しかも、悩んでもままならない厳しい現実も淡々と描かれている。華々しいハッピーエンド感はないけど、それゆえに読後感がじんわり心に沁み入るんだろうなぁ……。


隼斗と時田が惹かれあう“納得感”が、ほかの芸人シリーズに比べて今ひとつ薄い気がしたのが残念なような。


ここにも「なんでやねん」の仁と土屋がちょこっと登場しているのがうれしい。もう、おかげで「なんでやねん」「月も星もない」を読み返しちゃったよ。いや、読み返したくなるんだよ!


8位
愛の報復(仔犬養ジン)
愛の報復 (B‐PRINCE文庫)愛の報復 (B‐PRINCE文庫)
仔犬養 ジン 鬼塚 征士

アスキーメディアワークス 2010-01-07
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徹頭徹尾ヨーロッパが舞台の物語。ヘンな表現? いや、日本人がやたら出てこず、南欧やマフィアのムードというか空気感というかがムンムン漂っていたのが、もうブラボー! 詳しいレビューはここへ。


外国が舞台のBL作品は数々あるけれども、どうも日本人や日系人(ハーフとか)が主要キャラに据えられることが多いのは、“BLの決まりごと”みたいなものなんだろうか。まあ、それも悪くはないいんだけど、そうじゃないものも読みたいのよ――というわけで、仔犬養さんの次回作も外国が舞台なのか、期待増量中。


7位
叶わない、恋をしている(凪良ゆう)
叶わない、恋をしている (SHYノベルス)叶わない、恋をしている (SHYノベルス)
凪良 ゆう 水名瀬 雅良

大洋図書 2010-11-30
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あとがきによると、この作品は「正統派路線」を目指したそうなのだが、しかし、ちょっと捻りが加わっているのが凪良さんの上手いところ。


確かに、金持ちでワケありの攻め×けなげな受けの組み合わせや、元恋人の身代わりのはずが少しずつ惹かれあい、受けのおかげで攻めが生まれ変わって――というのは、王道なハーレクイン的ロマンスだと思う。


でも、攻めの神谷の荒みっぷりやダメダメさ加減が描かれているのが、好感が持てるといいましょうか……。傷ついた人が復活していく物語は、凪良作品のモチーフの一つなのかもしれない。


受けの志貴が、弟たちより恋愛を取ったり、そのせいで弟たちを不安がらせたり……という失敗をするものの、若いのにできすぎないい子なんだよなぁ……。弟たちも、しっかりと性格が書き分けられていて、それぞれにカワイイ。特に末っ子の仁貴ね。神谷に「おっちゃん」と呼びかけた挨拶は秀逸。将来、やんちゃな攻めになるだろうて。


6位
溺れる人魚(いつき朔夜)
溺れる人魚 (ディアプラス文庫)溺れる人魚 (ディアプラス文庫)
いつき 朔夜 北上 れん

新書館 2010-08-10
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理系っぽいキャラたちの職業が胡散臭くない、いつき作品。この作品は、鍼灸師×水泳選手。鍼灸師は理系とはいえないかもしれないけれど。


原因不明の足の痛みに悩む、有望な水泳選手の眞生。その痛みの原因を突き止める鍼灸師の桂。しかし原因を突き止めるまで紆余曲折ありまして――色恋に節操のない桂が眞生を無理やりモノしたり、眞生が桂を拒絶したりと、読みながらジリジリしてしまった。


桂があまりに節操がないので、眞生の真面目さやストイックさが際立つこと際立つこと。桂に怒って引越しまでしたり、桂と心を通じ合わせたのに、手術後の足を桂に見せるのをためらったり(敬遠されるのを恐れていた)、復活のレースで桂を喜ばせたり、いやぁ、眞生はとても可愛い受けだよ! 2010年のMyベスト受けだな。


うん、わたしは、いつきさんの書く“勝負に生きる男”がとても好きなんだな。競馬の騎手とか、パチンコの釘師とかね。


5位
愛の謎が解けたとき(斉藤まひる)
愛の謎が解けたとき (幻冬舎ルチル文庫)愛の謎が解けたとき (幻冬舎ルチル文庫)
斉藤 まひる 竹美家 らら

幻冬舎コミックス 2010-08-18
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Twitterで教えていただいた作家さんなんだけど、本当に良かった! BLでは新人作家なんだけど、別名義では、すでにプロの作家として活躍されているらしい。


実は、もう一つの「色褪せた世界で君と出会い」と、どっちを入れようか本当に悩んだ。「色褪せた…」は、再生の物語。「愛の謎…」も、ある意味では主人公が“再生”するのだが、こちらは色恋だけじゃない、大きな意味での愛の物語かな。


でも「愛の謎…」をランキングに入れた決め手は、攻めがとっても好みだったからなのだ。最終的にそんなことで選んですまない、広瀬<「色褪せた…」の攻め


若くやり手の実業家・北村の欠落した部分を、少しずつ埋めていく、板前の谷。谷も、若いくせに達観したところがあって、ある意味では欠落しているのかもしれない。でも北村を「子供」だと大切にし、料理をふるまい続けることで、かつてない感情を抱くようになる。


北村の子供の頃の境遇に、不覚にも涙しそうになった。そんな境遇だから、北村がどんなに歯を食いしばってがんばって生きてきたかが、想像できる。そして、そんな北村を支える谷の姿を見て、良かったわぁ……と幸せな気持ちになるのだ。二人の絆が深まる様子が、丁寧に描かれているのが良し。


4位
恋する遺伝子―嘘と誤解は恋のせい(小林典雅)
恋する遺伝子―嘘と誤解は恋のせい (白泉社花丸文庫)恋する遺伝子―嘘と誤解は恋のせい (白泉社花丸文庫)
小林 典雅 小椋 ムク

白泉社 2010-09-17
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はい、典雅作品、久々のハート鷲掴まれ作品。典雅節も絶好調。詳しいレビューはここへ。


攻めの騎一が妊娠、というのが、でかした! という感じ。そして、騎一のセリフに、何度うなずき、何度笑ったか。オチに評価が分かれているようだけど、わたしは、このオチでうまくまとまったように思う。本当に出産しても楽しかったかもしれないけど、「良い舞台を見た!」というようなスッキリ感は、このオチなんじゃないかなぁ……だめ?


3位
サーカスギャロップ(崎谷はるひ)
サーカスギャロップ (ダリア文庫)サーカスギャロップ (ダリア文庫)
崎谷 はるひ 今 市子

フロンティアワークス 2010-10
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崎谷作品は、なんとなく合わない……と思っていたけれど、これは別。食わず嫌いをせずに読んで良かったと、心から思った。


婚約者・美久の浮気をメールで知って憔悴する会社員の日下が、ある日、その浮気相手に呼び出されたものの、実はその男・阿東も、恋人・美久の浮気とわかるメールに悩まされていたのだった。つまり美久は、日下と婚約し、阿東ともつきあい、さらに第3の男とも遊びまくっているという、とんでもないビッチ。


第3の男の姿はラストになるまで、品のない誤送信(実は第3の男による確信犯的行為だったのだが)メールでしか垣間見られないため、ちょっとミステリっぽい構成。でもテイストはちょっとコミカル。


美久と第3の男による嫌がらせなどにより、日下と阿東は、最初から意気投合。そして徐々に阿東は、日下の誠実さに惹かれ、日下を口説き始める。その過程の進み具合が、急ぎすぎず間延びさせすぎず、絶妙だった。


美久のバカさ加減がハンパではないので、最後までどんなふうにカタをつけるのか、ドキドキしながら読んだ。タイトルの「サーカスギャロップ」は、こんがらがった登場人物たちの関係をうまいこと表現したなぁと思った。


エロ濃い目のイメージが強い崎谷作品なのだが、この作品は薄めなんじゃないかな。そして、こんな作品も書く人なんだなぁ……と今ごろ感心したのだった。


2位
獣の月隠(つごも)り (沙野風結子)
獣の月隠(つごも)り (リンクスロマンス)獣の月隠(つごも)り (リンクスロマンス)
沙野 風結子 実相寺 紫子

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「獣の妻乞い」の連作。まさか連作を読めるとは思わなかった。そして、もう読みながら、何度も泣きそうになってしまった。


犯罪者の処刑手段として人工的に作り出された「猟獣」の悲しみと怒りは、前作以上に伝わる。人間の都合で作られ、イヤな仕事を押し付けられ、最後にはあっけなく捨てられる「猟獣」たちは、深読みすると、現実世界のさまざまな物事の暗喩のような気がしないでもない。って、BLを読みながらそんなことを思うなんて!


小柄で弱い睦月が、過酷な競争を勝ち抜けたのは、憧れの月貴のそばにいたいから。睦月の受ける試練が、あまりに苛烈で、読んでいて心折れそうになる。「妻乞い」では、ちょっとツンケンした生意気そうな睦月だけど、ここでは、月貴に対してあまりにけなげで強がりで、もう可愛くて仕方なかった。睦月もMyベスト受けの一人だな。


一見、遊んでいる風の月貴も、実は猟獣ゆえの苦悩を抱え、睦月への愛をひた隠していたのだ。ラストにかけ、月貴が睦月を救い出す行動は、あまりにもカッコ良い。月貴はヒーローそのものだなぁ……。ラストは意外な展開だったけどハッピーだったので、胸をなでおろすとともに、沙野先生に手を合わせたくなったのだった。


同時収録されている、新タイプの猟獣の「朋」の物語も、良作。個人的な好みは、月貴×睦月だけどね!


1位
世界の果てで待っていて~嘘とナイフ~(高遠琉加)
世界の果てで待っていて ~嘘とナイフ~ (SHYノベルス)世界の果てで待っていて ~嘘とナイフ~ (SHYノベルス)
高遠 琉加 茶屋町 勝呂

大洋図書 2010-10-22
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「世界の果てで待っていて~天使の傷痕~」の新装版が出ると聞いた時、内心で、「でも前の、持ってるしなぁ……」と思った。また同じのを買っても仕方ないじゃん、と。


しかし、続編は読んでみようと手に取ったら最後、もうノンストップで読みきった! ミステリアスなストーリー、黒澤と櫂谷の関係、危うい距離感、静かだけど何かが起こりそうな波乱含みの雰囲気、などなどこの物語のすべてに酔っぱらってしまった。


過去に一度だけ関係を持った黒澤と櫂谷の関係は、前作と変わらず、しかしお互いに特別な感情は抱いているらしい。束の間、激情に流されそうになるのだが、危うく踏みとどまる。


黒澤と櫂谷だけじゃない。脇キャラたちも丁寧に緻密に描かれているからこそ、ミステリとして十分楽しめるストーリーだと思うのだ。こんなBLもあるんだよ! と、誰にともなく叫びたくなった。


これ、まだ続くようで、黒澤の妹の死も、徐々に明らかにされていくんだろうなぁ……そうすると、櫂谷との関係はどうなっていくんだろう……と今からドキドキしてしまう。ちなみに、書き下ろしが読みたくて、新装版の第1作も買っちゃいましたよ、ええ。高遠先生、正座してお待ちしてますから!



――以上10位。なんですが……このランキングには入れなかったけど、特別だと思った作品をいくつか。


★2010年の私的神作品
交渉人シリーズ(榎田尤利)
スウィーパーはときどき笑う 交渉人シリーズEX. (SHYノベルス)スウィーパーはときどき笑う 交渉人シリーズEX. (SHYノベルス)
榎田 尤利 奈良 千春

大洋図書 2010-12-25
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榎田作品の大ファンのくせに、どうしてランキングに入れていないかと思われた方もいるかもしれない。


もうね、2010年の榎田尤利作品は、わたしの中ではほかの作品とは別格だった。「さすが榎田さん!」と何百回唸っても唸り足りない。重々しいテーマを軽妙に語り進める展開、ストーリー、モチーフ、キャラ造形、すべてがほかを圧倒していた。


スピンオフの「スウィーパーはときどき笑う」も含めて、「交渉人シリーズ」は、特に「別格」さを感じるシリーズ。榎田作品、最近はとみに、「限られた生を丁寧に生きよう」みたいなメッセージを感じて、それがまたアラフォーのわたしの胸を打つのよ。センチですまん。


そんなわけで、榎田作品をランキングに入れたら、1/3はランキングを占領しそうなため、ランク外・神作品としたのだった。



★今後に期待賞
ダブル・バインド〈1、2〉(英田サキ)
ダブル・バインド 2 (キャラ文庫)ダブル・バインド 2 (キャラ文庫)
英田サキ 葛西リカコ

徳間書店 2010-12-01
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英田さんの新シリーズ。こちらもミステリ。硬派路線系のこの作品、まだ序の口で面白くなるのはこれからのような気が。というわけで、今後に期待賞。



★お疲れ様でした賞
疵―スキャンダル〈1~4〉(かわい有美子)
疵―スキャンダル〈2〉 (B‐PRINCE文庫)疵―スキャンダル〈2〉 (B‐PRINCE文庫)
かわい 有美子 杜山 まこ

アスキーメディアワークス 2010-08-07
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新装版ということで、毎月の刊行されるのがうれしくて、待ち遠しかった。90年代のエリート大蔵官僚同士の物語は、傷つけあいつつ、少しずつ歩み寄り、しかしまた突き放し――というメロドラマ的展開で、ドキドキしながら読み進めた。


でも、4巻の雰囲気の違いに、一瞬、タイトルを確認したのはこのわたし。いや、3巻までがあまりにシリアスだったから……いやいや、幸せになってよかったんだけどさ……。


なんとなく、4巻のあったか幸せムードに唐突感を感じ、ランキングに入れかねたのだけど、のめり込んで面白く読んだのは間違いない。毎月毎月、ありがとうございました……という気持ちを込めて、お疲れ様でした賞。余計なお世話か。


小説部門はこれにて終了。次はコミックにまいります!
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Tags: MYベスト

Comment 1

2011.01.26
Wed
00:13

lucinda #-

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拍手コメントRES

>01/12 08:23のAさま

いつもコメント、ありがとうございます。
そしてしょっぱなからレスが遅くすみません。

ベストは人によって本当に違ってて、それが面白いですよね。マンガの方は、Aさんとどれくらいかぶっていたでしょうか。
今年もよろしくお願いいたします!

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