恋する遺伝子~嘘と誤解は恋のせい~(小林典雅)

 03,2010 00:26
小林典雅作品、まさかの連作! ……とワクワクしながら読んだ「恋する遺伝子~嘘と誤解は恋のせい」。

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小林 典雅 小椋 ムク

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高額謝礼の一万円につられ、精子を提供しに向かったザザ・バース・ラボラトリー。そこで尊敬する人気劇作家(故人)の受精卵が廃棄される危機に出くわした騎一は、男前に「俺が産む」と名乗り出て!?


“攻めが妊娠する設定”に思わず膝を叩いたのはわたしだけ? 男なのに妊娠なんてありえない! のは当然だとしても、そんなことよりもわたしが萎える設定が、受けが妊娠すること。


そりゃ突っ込まれているのは受けですから、男女の関係になぞらえるなら、「受けが妊娠」と設定するのがムリのない流れなのかもしれない。


でもわたしは、男女の関係の代替物のようなBLには興味がないのだ。だから受けが妊娠するという設定は、平凡すぎるように思えて食指が動かない。いや、冷静に考えると、そもそも“男が妊娠”という設定は決して平凡ではないのだけども。


そして、読んでいくうちにどんどんうれしくなったのが、騎一のセリフ。「あんた、もしかして美男塾の講師もしてるんじゃないの?」と思いたくなるような、キレのいいセリフがばんばん出てくるのだ。


例えば

「親子って血が繋がってればいいってもんじゃないでしょう? それに女性だったら必ず母性が備わってるとは限らないし、二親揃ってなくたってシングルでも頑張って懸命に育ててる人だって大勢いるじゃないですか」

とか

「よく『つわりは病気じゃないんだぞ、ダラダラしてないで、ちょっとは部屋片付けろよ』なんて妊婦の奥さん叱る夫がいるっていうけど、おまえも一回やってみろって感じですよ」


とか、これが舞台なら、「よく言った、騎一!」と、思わず掛け声をかけたんじゃなかろうか。典雅節絶好調!


だが、そんな「世の一般論」を一蹴するような鋭い発言をする一方で、「嘘と誤解は恋のせい」の結哉&和久井をおちょくったり、微妙に一方的なモノサシを振りかざして尚をゲイかバイじゃないかと指摘したりしているせいで、説教くさい感じや正論に鼻白む感じはしないのが、絶妙だ。


「嘘と誤解は……」では、いい加減でテキトーなくせに強引、という騎一のキャラにあんまり惹かれなかったのだけど、この作品を読んでいくうちに、騎一がやけに男前でカッコよく思えてくる。騎一に煙に巻かれて振り回された気分だよ――。


騎一がいかにして妊娠したのかは、「妊娠しているブタの胎児の子宮を人工的に破壊して、そこに再生作用のある人間の幹細胞を注入し……」とかで、妙な説得力がある。本当に、この先男性が妊娠できるようになるかもしれない! と思わせるような。さすが、ナースだなぁ……と感心してしまった。


最後のオチ、賛否両論あるみたいだけど、わたしはこれはこれでアリだと思った。うーん、実際に出産、という流れもあったかもしれないけど、オチがしっかりついている感じがするのは、この締め括りじゃないかな。


この作品が出たということは、「嘘と誤解…」がかなり売れたってことなんだろうなぁ……と思う。でもわたし、はっきりいってこの「恋する遺伝子」の方が断然好み! 久々に典雅節の全開っぷりを堪能できた気がする。


裏表紙のあらすじのところ、「もともと小林典雅に正統派は期待していない」の一文に思わず笑ってしまったのだけど、読み終わって「こういうの待ってた、典雅さーんっ!!」と思ったわたしこそが、要するに典雅さんに正統派を期待していない、ということ……なのかしらね?


#同時収録されている、結哉と和久井のバカップルは、楽しそうにエッチしてました。和久井、どんどんアホになってる気がする……。
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Tags: 小林典雅 小椋ムク

Comment 1

2010.11.25
Thu
01:32

lucinda #-

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拍手コメントRES

10/26 00:54 Fさま

拍手コメントをいただきっぱなしになっていてすみません。。
攻めが妊娠するからこそ、私の好きな典雅節が炸裂したんだと信じてやみません。
団長×尚ですか…なるほど…ありかもw
コメントありがとうございました。

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