「オオカミの血族」(井上佐藤)「好きというのになぜかしら」(阿部あかね)

 06,2010 01:36
「エンドルフィンマシーン」の表紙に惹きつけられて、フラフラとレジに持って行ったその時から、わたしは井上佐藤さんの作品が好きだ。去年の「子連れオオカミ」にも、ものっそい萌えた。チャットでも取り上げたくらいに萌えた。


だから、次の新刊だって絶対に「イイはず!」と予感していたし、萌える自信があった。


果たして、その予感と自信に狂いはなかった……。
※ネタバレを含みます。


オオカミの血族 (バンブー・コミックス 麗人セレクション)オオカミの血族 (バンブー・コミックス 麗人セレクション)
井上 佐藤

竹書房 2010-07-27
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なんでおまえ、俺の秘密を知ってんだ…この気持ち、墓まで持ってくつもりでいたのに!! バツ一子持ちのふたりの男とその子供たちで形成された奇妙な家族。子供たちは成長するにつれ、自分たち家族の不自然さに気がついて…!?
「子持ちパパBL」として大好評を博した前作「子連れオオカミ」が主人公を子供たち世代に移し待望の続編として登場!! 他、アイドルおたくのカタブツ税理士と正体不明のショーパブオーナー(ハーフ&オネエ)の運命的な出会いとその後の顛末を描いたシリーズ3作を収録した読み応え満点の作品集☆


「子連れオオカミ」の子どもたち編は、雑誌で読んでいた(読ませてもらっていた)のと同じ。だから展開も知っているのに、ああ、何度読んでもジーンとくるなぁ……。


あっくんの「墓場まで持っていこう」と思っていたチッチへの想いと意地、そんなあっくんを小さい時から見守っていたのんの視線が、なんかこう、うまく組み合わさっているなぁとしみじみしてしまうのだ(そしてチッチのちょっと鈍感なところも)。


父親のように一人息子のシングルファザーになって、しかも男同士で心を通わせるなんて、なんという因縁。でもそれが、読んでいて安易に感じられない。


今回も子どもがとてもラブリーで、のんに抱っこされてパパを出迎える正ちゃんにキューンとなった。井上さんは、子どもを描くのがうまいなぁ……お子さんがいらっしゃるのかしら。


そして、これまでのコミックスでも、同時収録されている作品にもれなくヤラレていたのだけど、今回も例外なく――


ちょっと、わたし、こういうマッチョなおネエ攻めが読みたかったんですよ!!(鼻息)


と、読みながら激しく興奮してしまったのだった。あとがきの「マッチョビッチ女装攻め」って言葉にも、超そそられる!


幼い頃、あまりにかわいくて、美少女「愛沢シェリー」(この名前もちょっと歌謡曲歌手っぽいベタなムードがあって絶妙だと想う)としてCMモデルをしていた溝口ジュリアン宗一郎。


テレビの中のシェリーちゃんに恋をし、溝口がそのシェリーちゃんだったと知っても怯まず、溝口に改めて恋をしてしまう、会計士の塚本。


塚本が溝口を追いかけまくり、次第に溝口が塚本にほだされ――という展開なんだけど、溝口のイラつきや戸惑いなどが想像できて、どんどんストーリーに引き込まれてしまった。


途中で登場する、溝口のかつての恋人で、遊び人のマックスが絡んだ展開もよかったなぁ……。マックス、アンタほんとに、若いバリタチを求めて旅立ちそうだよ……。


塚本は家族や部下に横柄な態度を取るようなイヤなヤツで、溝口への恋ゆえに家庭を捨てるような身勝手な男。それなのに、溝口と一緒にいると、妙にけなげで可愛く見えてくるのが、これが恋のマジックというものなんでしょうかね。


そんな塚本を、乱暴にイライラしながら気味に抱く時よりも、やさしく甘くささやきながら抱くラストの溝口の方が、妙に男くさく思えた。


これを読んでいていいなぁ……と思ったのは、息子は女になりたいんだと思いこんでいる母親に言う、溝口のセリフ。

今もカワイイ物もキレイな物も大好きだし 女の子と買い物にいくのも楽しいわ
ママにもあるでしょ? 男らしい時とか女らしい時とか
他の人より振り幅がちょっと広いだけなんだけど…


とても優しくてストンとのみ込みやすい言葉だと思う。


このおネエ攻めといい、前作の攻め×攻めといい、おネエ×おネエといい――なんだかねぇ、「いいなぁ、読みたいなぁ」と思うものを読ませてくれる井上佐藤作品がとても好きだ。というか、「いいなぁ」と思うものが同じなのかと想像すると、嬉しすぎて倒れそうだ。


おネエ攻め、いいと思うんだけどなぁ……あんまり見かけないよねぇ……と思っていたら、Twitterでこんな作品をすすめられた。

好きというのになぜかしら (ディアプラス・コミックス)好きというのになぜかしら (ディアプラス・コミックス)
阿部 あかね

新書館 2010-07-30
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押しに弱くて惚れやすいシェフの由一(ゆいち)は、武久(たけひさ)にくどかれまくった結果、彼の店に移って同棲中。だけど、武久は誰にでも優しくて、誰にでも「好き」と言う。本当に愛されているのか、不安になる由一だが……?
のほほんオーナー×ツンデレシェフ、ちょっと過激なラブ・ドルチェ!! 「奪われることまるごと全部R」も収録!


レストランオーナーの武久、確かに物言いはやわらかめ。でもおネエとまでは言えないかなぁ……。


うん、世に「おネエ攻め」の作品はあるけれども、わたし好みの、というか、わたしのイメージの中の「おネエ」に叶っている作品はあんまりないということなのかもしれない。


でもニコニコとやわらかな口調ながら、ここまで攻め攻めしいのはあっぱれ。


阿部あかねさん、初読み作家さんだったけどなかなか面白かった。この作品は、「奪われることまるごと全部」のスピンオフ作品のようですね。そっちも読む予定。かつ、阿部さんはこれからもチェックしたい作家さんに決定。


それにしても……わたし好みのおネエ攻め作品がもっと読めるようになるといいなぁ……<自分勝手
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Tags: 井上佐藤 阿部あかね 複数レビュー おネエ

Comment 1

2010.08.26
Thu
23:56

lucinda #-

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拍手レス

08/16 10:37 mさま
レスがおそくなってすみません…!
雲田はるこさんの「窓辺の君」、知りませんでした。今度チェックしてみますね。わたし好みのオネエかしら…
ありがとうございます~!

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