“子”は奥が深そうだ

 21,2010 00:44
榎田尤利さんの「交渉人は振り返る」でも取り上げられていた「出し子」。「振り込め詐欺」で、口座に振り込まれたお金を引き出す役のことだ。


ニュースで「出し子」という言葉を知ったとき、


――「子」って言い方が、なんだか古風だなぁ……。今でも、そんな言い方をするものなんだなぁ……――


と思ったものだった。「●子」という言い方、なんとなく、“奉公人”とか“子分”とかいった、要するに下っ端なイメージを増強した昔ながらの表現のような気がする。

ちなみに、「子」をYahoo!辞書で調べてみると、

名詞や動詞の連用形に付いて、その仕事をする人や物の意を表す。「舟―」「売り―」「振り―」

とある。なるほどねぇ……確かに、仕事の役割を表してはいるよね。

わたしの記憶の「●子」は、

店子(たなこ)…家を借りている人
雇い子(やとぅいんぐゎ)…昔、糸満漁師のもとで年季奉公していた少年たち。 *参照ページ
色子(いろこ)…江戸時代、男色を売った歌舞伎の少年俳優 *参照ページ


なんだけど、どちらもやっぱり、身分的には低い感じだし、まさに“子ども”のイメージ。しかも、ここ10年、20年の間に登場した言葉でもない。

あと、博打でお金を賭ける人や、頼母子講で掛け金を出す人といったイメージもある。これも決して立場は強くなさそうだ。


何かの役割に「子」を付けているものって、ほかにもあるのかしら? あるとしたらどんなものがあるんだろう……と、なんだかすごく気になってきて、仕事がヒマな時、調べうる限り調べてたみたのが、これ。


舵子(かじこ)…かつて瀬戸内の小島で、潮の流れの速い場所での漁業を円滑に行うために舟を操縦していた人 *参照ページ

舟子(ふなこ)…船長(ふなおさ)の指揮下にある人。水夫。船方 *参照ページ

掛け子(かけこ)…振り込め詐欺で、電話をかけてだます役割 *参照ページ

引き子(ひきこ)…客引き。人力車・船・網などを引く人 *参照ページ

打ち子(うちこ)…ゴト師に雇われてパチンコ・パチスロの台から玉やメダルを抜く人 *参照ページ

売り子(うりこ)…雇われて、商品を店先で売ることを仕事とする人。また、列車内・駅・劇場などで商品を売り歩く人。 *参照ページ(参照ページには、“男色を売る者。若衆”という意味も解説!おおう…!)

買い子(かいこ)…同人イベントで、同人サークル代表者などにかわって同人誌などを購入して来てくれるお手伝い、補佐要員。または、偽造クレジットカードを使って買い物をする人 *参照ページ


――うーむ、下っ端感はともかくとして、なんかこう、ガテン系の仕事やダークな気配が強く漂っているよなぁ……。


そもそも、どうして「子」という言葉を使うようになったんだろう……と思うのだけど、これまで見つけた言葉を見ると、ガテン系とかダークサイドとか、結束の固さや団結の強さが背景にある雰囲気がある。もしかすると、それゆえに、血の濃い「親子」(擬似的だけど)の関係になぞらえられているのかなぁ……。

ところで、「●子」と言われてとっさに頭に浮かんだ言葉が、ほかにもある。

それは、ゲイたちの間で使われているらしい「店子」や「女装子」という言葉。

店子(みせこ)…ゲイバーの店員のこと
女装子(じょそこ)…女装する男性のこと
*参照ページ


――いや、ここで使われている「●子」のイメージは、下っ端とかガテン系とかダークサイドとかとは全然関係ない、どっちかっていうと可愛らしさを狙ったり女性性を強調したりしているんだろうなーとは思う。

思うんだけど……仕事の役割的な「●子」を調べた後にゲイ業界の「●子」を目にすると、何ともいえない不思議な気持ちになってしまう。

正直に白状すると、個人的には、「●子」は女性の名前のイメージが強い。かわいく、可憐なイメージ。そして大人ではない、幼いイメージも同じぐらい強い。

それなのに、女性の名前や子どもの意味以外で使われる、下っ端・ガテン系・ダークサイド・ゲイで使われる「●子」には大人の男性が多いイメージが強くて、そのギャップに戸惑ってしまうのだ

日本語って、曖昧で奥が深いなぁ……。
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Tags: ジェンダー 日本語 ゲイ

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