“昼は淑女、夜は娼婦”の裏を邪推(2)

 04,2009 23:33
さてさて。

――“昼は淑女、夜は娼婦”な世界にいる男性たちの関係は、なんだかホモソーシャル的……!――

などという思いつきを頭にかすめさせた本はこれ。

敗戦と赤線 (光文社新書)敗戦と赤線 (光文社新書)

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昭和三十三年、戦後日本を象徴する歓楽街「赤線」が消滅した。この空間は、戦後、自然発生的に生まれたものだったのか? 気鋭の研究者が、膨大な資料とフィールドワークで、その誕生の謎に迫る。

「敗戦と赤線」は、第二次世界大戦後に全国的に出現した赤線地帯の成り立ちについて考察した書籍なので、フィクションではない。

でも、「進駐軍から日本女性の純潔を守るため」(!)などと称して娼婦を集めて体制を整えたり(それも超ッ早で)、そんなことを言っておきながら、実は戦前から公娼を廃止して私娼化を画策していたフシもあったりと、なんだか読んでいると、「女や売春が、モノ並みに軽々しく考えられていたんだなぁ……」と複雑な気持ちになってしまう。

そして、そういったことを画策していた軍や官僚や政治家や遊郭の経営者やらは、ほぼ男性であり、彼らが一つの企みを実現すべく連帯したり牽制したりしていた経緯を読み、想像してみると、

――ホモソーシャル的――

と感じてしまったのだ。

もちろん、新たな花街が建設されるときに婦人団体が抗議するなど、“娼婦”でない女性の存在にも触れられてはいる。だが、結束した男たちの前では完全に“外野”な感じ。せいぜい、“ささやかな抵抗勢力”程度。

また、男たちの企みの中心にいるのは女性(娼婦)なのに、彼女たちは男たちの“手駒”に過ぎず、存在感がまったくない。彼女たちの苦しさや辛さに、男たちはどれほど関心があったのかしら……。

この辺り、「沈まぬ太陽」の女性たちの存在感の薄さに、ちょっと通じるところがあるような気がするなぁ……。

大体、進駐軍が駐留して真っ先に心配することが「女性の純潔」ってどうよ?……とツッコミたいところだけどね。それに、娼婦を進駐軍にあてがっておけというその考えも、なんだかなぁ……。「娼婦なら平気」って、娼婦を見下してない?

女性の純潔を心配する根底には、

娼婦ではない女性が進駐軍のヤツらに蹂躙されたら、みんなキズモノになり、結婚できなくなる

結婚する女性(妻)は貞淑で処女でなければならない

処女でない女性は貞淑ではない

みたいな、度し難い偏見が居座っているんじゃないかと邪推したくなる。

そんな、偏見や上から目線っぷりも、ホモソーシャル感を印象づけたように思えたのだった。

――考えてみれば、ホモソーシャルの特徴は、ホモフォビアとミソジニーということなので、女性が完全に脇役だったり、外野にいたり、存在感がなかったり、男たちの手駒に過ぎないように見えたりするのは、当然なのかもね。

しかしそれなら「沈まぬ太陽」で、やおい脳が活発に働いてもよさそうなものなのになぁ……ま、キャラやらストーリーやらが、わたしにはピンとこなかったということですかね……。
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Tags: 加藤政洋 ホモソーシャル フェミ? ジェンダー

Comment 3

2009.12.05
Sat
18:44

ヒトコ #R9CtlIRY

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こちらにはお久しぶりです。
「沈まぬ太陽」私も観ましたが、あの絵に描いた様な良妻賢母ぶり、今となっては違和感がありますね。ドラマ「不毛地帯」の主人公の妻や「白い巨塔」のライバル医師(?)の妻もそうなんですよね。原作者女性なのにどうしてこんなステレオタイプの妻ばかりなんだろう、と疑問に思っているところでした。だって彼女たちの幸せって家族の団らんなんですもの。
何でだろうと思ってたんですが、作者が書きたかったのは男社会を生きる男達だからなんですね。女は書きたくなかったんでしょうか…。男女の関係よりライバル同士の関係が濃いですが、私もやおい脳は発動しなかったです(^^;)

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2009.12.06
Sun
16:36

うづら #nVpprKDk

URL

こんにちは、ツイッタでは御世話になっております。
いや~、沈まぬ太陽、わたしも見終わって「なんとホモソーシャル的な…」と思ってしまったのですが、やはり見た人は皆感じる部分だったのですね(笑)。(特に正月早々クルージングしてるシーンなんて、女性も一人いるとは言え、お前らそれで楽しいのかよ…とぼんやりしてしまいました。まぁ、楽しいんでしょうねぇ、ホモソーシャルだからw)
わたしも、やおい観点ではピンとこなかったのですが、女性が交換財として描かれてるシーンが思い当たらなかったので、その辺でホモソーシャル度合いが弱まってたのかな~とも思ったり。
(試しに、もしも恩地妻が行天妹だったら…という架空設定を妄想してみたら、それなら案外萌えられそうでした/苦笑)。

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2009.12.07
Mon
00:29

lucinnda #-

URL

>ヒトコさん
テレビドラマの方は、ちょこっとしかみたことがないんですが、そこでも良妻賢母でしたか。でも想像できるなぁ…。そして、ステレオタイプな妻ってのは、首を傾げるばかり…ですが、

>作者が書きたかったのは男社会を生きる男達だから

っていうのを読むと、納得いきます。なんか原作者には、腐属性はあるような気までしてきました(笑)。でもねぇ…女性がおざなりすぎなのは、BLじゃあるまいし、なんだかなぁ…と思います、はい…。

>うづらさん
こちらこそ、Twitterではお世話になっております~!
ホモソーシャル的ですよねぇ、あの世界。クルージングのシーンも、確かに。あの女性、行天の愛人だと思うのですが、あれも存在感なかったですねぇ…。でも、

>もしも恩地妻が行天妹だったら…

うん、萌えられる気がしました!つか、それ、●薫っぽい…!(笑)

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