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“初めて”への戸惑い―「ナルシストの憂鬱」(西江彩夏)、「初心者マークの恋だから」(いつき朔夜)

 16,2009 23:12
わたしは、気に入った作家についてはガッポリ作家買いをする性質だけど、作家買いに至る新たな作家開発はヘタクソだ。

今、ネットでいろんなレビューを読めるからこそ、作家買い対象になりそうな作家や作品をピックアップできるわけで、もし、ネットがなければ、わたしはこれほどBLにハマってなかったかもしれない……と思う。

この作品も、例に洩れず、アラスカさんのブログで知ったもの。いやぁ、新人さんとは思えないほどこなれた感じの、期待を裏切らないしっかりした作風でした。

ネタバレを含むので折りたたみます。
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「絶対に恋になんかならない!」精悍で色男、職業・司法書士。だけど性格は、自意識過剰なナルシスト。藤中にとって山田は、外見だけは好みな尊大で横暴な隣人だ。しかも初めて出会って以来、お人好しで面倒見の良さが災いしてか、なぜか山田の世話を焼くはめになってしまう。さんざん山田に振り回されげんなりしていた藤中だが、二人の距離が縮むたびに、山田の素直で嘘を言わない真摯な言葉に心がときめいて…。

最初のうちは本当に、自己中心的で身勝手な山田の嫌なヤツっぷりにゲンナリしていた。

夜中に呼びつけるわ、勝手に人の家に居座るわ、決して自分の非を認めないわ、何様!? と思うこと数回。

これをどうやってラブに持ち込むんだろう……と首を捻っていたんだけど。

読み進めるうちに、いつしか藤中と一緒に山田のカワイさに気づき、やさしさにドギマギしてしまうのだった。上手いなぁ!

なんとなくしんみりしてしまうのは、山田自身が、他人とうまく人間関係を築けない自分の性格を自覚しているところ。藤中に「友達みたいにうまくやっていけそうな気がする」という言葉が、やけに切ない。

しかし、この作品で何よりも印象的だったのは、攻めの山田の、セックスに際しての腰の引け具合。

「丸ごと自分をさらけ出すセックス、動物としての本能を見せ合う行為で不恰好な自分を人に見せるのを、山田は無意識のうちに嫌がっているのではないか」――という藤中の推測にドキッとしつつ、同時に、受けにそんなことを考えさせる攻めって、BLでは新鮮というか斬新だなぁ! と感心したのだった。

山田は恐らく、初めてだったと思われるのだけど、いやぁ、セックスへの不安に攻めも受けもないよね、と妙にうなずいたりして。

もちろん、最後の最後で、山田はセックスの不安や戸惑いを振り切って何事も丸く収まるんだけど、そこに至るまで、かなりハラハラしてしまった。

西江彩夏さん、同人活動はされていたようなんだけど、それにしてもデビュー作品とは思えないほどのストーリーテラーぶり。次回作も買う!に即決定。しかし、同人誌から注目していた人の目利きぶりには脱帽、としか言いようがない。こうしてBL作家は生まれるんだなぁ……。

“初めて”の戸惑いや不安が上手く表現されていたと感じた作品をもう一つ。

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年上のいい男に口説かれて、ホテルに入った新米教師の謙吉。なのに土壇場で怖じ気づき、彼がバスルームにいる間に逃げてしまった。後で悔やんでも、後悔先に立たず。ところが数ヵ月後、他校の会議室でその男・達川と再会した。そして、高文連弁論部門の専門委員として、共に活動することになったのだ。男としても教師としても憧れと尊敬の念を抱かせる達川に、謙吉は惹かれていき…。

待ちに待っていた、いつきさんの新作。これ、イラストは当初、紺野けい子さんだったんじゃなかったっけ? ――いやいや、夏目イサクさんのイラストもステキだったのでいいんですけど。

あらすじだけ見ると、ありふれたBLのストーリーのように思えるのだけど、さすがにいつきさんは一筋縄ではいきませんでした。

私立学校の内情や苦労、「弁論部」の活動とその面白さを巧みに絡ませる展開に、こうきたか!と唸ってしまった。

今、マイナーな文化系部活を題材にしたコミックが注目されているけれど(かるたとか書道とか)、その波にも乗っているようで、思わずニンマリしてしまう。弁論大会への見方が変わりそうだよ!

そして謙吉の、体(というかチ●コ)の自信のなさや経験の少なさゆえにセックスに怯む様子に、これまた大いに心当たりがあってソワソワしてしまったんだけど――ただ謙吉、受けですからね。「ナルシスト…」に比べたら、斬新さよりも共感をより深く感じたのだった。

同じような不安なのに、それを攻めが感じているか、受けが感じているかで共感の深さに違いが出るなんて――興味深い。

達川の、「しばらく会うのはやめよう」発言は、年齢差への不安や嫉妬から発生したと説明されているものの、なんとなく訳の分からない感は残るのだが、それも攻めの可愛気というものでしょうかね。余裕があるようにカッコつけていたのも、最後に明らかになるし。

そういえば達川も、「ナルシスト…」の山田とともに、結構“感じる攻め”かも。

この2作がわたしの中でリンクしたのは、それもあるのかなぁ……。どれだけ“感じる攻め”が好きなんだ、わたし……。
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Tags: 西江彩夏 いつき朔夜 金ひかる 夏目イサク 感じる攻め 複数レビュー

Comment - 2

2009.09.19
Sat
13:35

アラスカ #-

URL

 >うまく人間関係を築けない自分の性格を自覚
 >丸ごと自分をさらけ出す○ックス
 >不恰好な自分を人に見せるのを、山田は無意識のうちに嫌がっているのではないか

程度の差はどうあれ、これらに多い当たる人は結構多いのではないかと思います。
私もこの辺の心理はすごく印象に残りました。

そして“いつき朔夜”さんの新刊も早く買わなくては!。

編集 | 返信 | 
2009.09.19
Sat
14:11

lucinda #-

URL

そうですね。さらりとしていながら、丁寧に緻密に描かれていたと思います。
いつきさんの新作、手堅さを感じます。

編集 | 返信 | 

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