頼長をついったーで語る

 14,2009 23:45
先月からtwitterを始めたのだけど、この前、エントリアップ報告をしたら、即座にレスがあってビックリした。

だって、そんなに素早い反応されることって、あんまりないんですもの。

レスをくださったのは、ゆんゆんさんという方で、BL小説サイトを運営されている腐女子。実はわたし、彼女のサイトは以前から知ってたんだけど、コンタクトを取ったことがなかったのだ。こっちが一方的に「遠くから見てる」感じの人とやり取りするのって、ドキドキするものですね。

ゆんゆんさんも「BL新日本史」を読んで院政期のあの“絡まり人間関係”に興味を持っていたらしく、

「個人的には2chの『孝標日記(仮)』というコピペがヒットしました」

という情報を得る。なんですかそれ!?

「孝標って…あの、更級日記の“菅原孝標の女”の孝標ですか!?」

と勢い込んで聞くわたしに、ゆんゆんさんはひどく申し訳なさそうに

「菅原孝標は、972年生まれで紫式部と同年代くらいなので、おそらく別人かと……。もしかしたら『孝標』という名前ではないかもしれないと思い、ググッてみたらそれらしい人に当たらず……。すみません」

と答えてくれたのだった。いえ、そんなに調べていただいてこちらこそすみません……。

しかし、『孝標日記(仮)』はかなりおかしかった! 要は、孝標が頼長に猛烈に迫られていて「キモい」と困惑しヤケクソになっているのだが、訳語も現代若者風なのがさらによろし。気になる方は、ぜひ検索してご覧ください。

孝標とヤりたいために、祈祷までさせるなんて笑っちゃうんだけど、ちょっといじらしいですよね、頼長。いじらしいというか執念というか……」

「占いとかまじないとかで恋を叶えようとする乙女みたい」

悪左府ならぬ乙女左大臣ですか! アハハハハ!」

頭が良くてイケメンだったけど性格は悪かったという頼長(BLでいえば鬼畜攻め?)、実は“魔性の受け”の「芙蓉の若殿上人・藤原成親」の兄、隆季のときも、なかなか落ちない隆季が振り向いてくれるよう祈祷したという。

「祈祷」ってのが平安時代なムード満点で、ちょっとオドロオドロしい感じがしなくもないけど、必死で祈っている姿を想像すると――やり手のエリートの“おかしみ”みたいなのを感じてしまうのはわたしだけ?

なんだか異様に長くなったので、折りたたみます。
ゆんゆんさんはすごく研究熱心で、『BL新日本史』の元ネタにも当たったらしい。

「『BL新日本史』の元ネタの院政期社会の研究には、男女関係が開放的拡散的であるのに対し、男男関係は密室的集中的であると書いてあったので、統計的に有意な差が出ないかなあとか馬鹿なことを考える私……」

「男男関係は権力争いがダイレクトに絡んでいるからなのかなぁ…と思っているんですが、どーなんでしょうね」

「私もそう思います。気になるのは、院政期の男色相手の姉妹・娘と結婚していたとして、男々関係と男女関係どっちが先行していたかということです。

男女関係の方が子供が産まれるだけ、社会的に強いつながりのような気もしますが……。親子揃って、兄妹揃ってお仕えというのはありですよね! 主君に妻妾献上する臣下というのも、意外にその前に主君と男色関係を結んでいたりして……」

――アリアリ。系図でいえば、関白家で左大臣の頼長には、源成雅とその姉が関係しているんだけど、この場合、成雅が先だったのか姉が先だったのか、微妙なところだ。成雅は頼長の父にも可愛がられていたらしいから、先に成雅の姉と結婚したのかなぁ……。

徳大寺公能とその姉の幸子も、姉弟そろって関係している人たち。幸子なんて正妻ですからね。また、兄弟ではないけど、鳥羽院には、美福門院と従兄弟の藤原家成(芙蓉の成親の父)が寵愛されている。

ま、男男関係も、親子または兄弟で仕えていたようだけどね。

「攻めが受けの姉と結婚するのは、BL的には制約があってだめかもしれないけど、現実には姉弟両方とよろしくやっていくとか大いにありそうだし……」

――たしかに、今のBLでは、「姉妹の恋人(婚約者、夫、元夫の場合もあり)を好きになった受け」という設定はあるけれど、受けとの関係の同時進行で姉妹ともしっかり関係を深める、というものはとっさに思い浮かばない。

BLに女性キャラはNGという傾向はあると思うけど、それ以外に、よく言われる「BLはモノガミー」の表れなのかもしれない。あるいは、ロマンティック・ラブの夢を守っているのか。

例外的に、『夢にも逢いみん』(かわい有美子)は、受けの姉と結婚して子どもまでもうけるけれど、姉は死んじゃうしなぁ……。しかし今回系図を起こしていて、『夢にも…』の攻めと受け姉弟のつながりは、わりと現実的だったんだなぁ、と感心した。

この流れでゆんゆんさんとは、「木曽義仲と今井兼平がガチだと思う」「wikiで調べたら、今井兼平は義仲の妻・巴御前と兄妹だった! しかも義仲とは乳兄弟!」「兄妹揃って仕えるキター!」と、プチ盛り上がりしてしまった。

twitter、やりとりはフォローされている人みんなに見えるのに……何やってんのかしら、わたしたち(いや、それもまたtwitterの面白いところなんだけど)

ところで頼長たちの時代、セックス込みの人間関係がパワーゲームに直結していたようだけど、打算だけで男男関係を築いていたばかりじゃなかろうて、と思わせるのが頼長と随身・秦公春の関係。

頼長は公春をかなり寵愛していて、公春が病気になった時は祈祷だの禁欲だので快癒を願い、その甲斐なく公春が亡くなった時は、日記に数十ページも公春への思いを書き連ねたという。やっぱりほんのり乙女だな、頼長。つか、二人の関係に微笑みを隠せないわたしは、ある意味、ロマンティック・ラブを求めているのかしら!?

仕事にテンパっていて反応できなかったのだけど、ゆんゆんさんはその後も、「頼長たちの大河ドラマ、配役を考えるとすると誰かなぁ」とつぶやいていた。あああ、わたしもそれ、チラッと考えていましたよ! 頭良さそうな二枚目で、でも性格悪そうな感じ……伊勢●友介とかどうかなぁ(彼が性格が悪いというわけじゃありません)などと考えたと、この場でお伝えします、ゆんゆんさん。

※ゆんゆんさんとわたしのtwitterの発言は、読みやすいように若干編集しています。


先月から始めたTwitterは、今のところ、けっこう使っている。

勝手につぶやけばいいというスタンスと、使っているクライアントのおかげでログインしなくても使えるという気楽さがいいのかもしれない。あと、面白そうな情報に行き当たることが多いのも楽しいところ。

というわけで、始めてから1ヵ月ぐらい経つけど、Twitterのウィジェットを貼り付けました。

今はたまたま、PCの前に貼り付いているので結構つぶやいているんだけど、この先、仕事の状況が変わったら今みたいにつぶやけないかもしれない。ま、その時はその時さ。

Twitterの特徴や使い方のコツについては、リンクさせていただいている「押して押して押し倒されろ!」のゆうさんの記事「ついったーを楽しむ8の方法」が素晴らしいので、興味のある方はご参照を。

BLや腐女子関連のことばかりつぶやいているわけじゃないけど、もちろん、フォロー歓迎ですよ!
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Tags: 歴史 同性愛 院政期 twitter 日々の妄想

Comment 6

2009.09.20
Sun
21:22

ゆんゆん #JalddpaA

URL

こんばんは、素晴らしい収録をありがとうございます!
『台記』は、関係の複雑さが、まさに院政期版『H(ホモ)の世界』ですね。
研究熱心というのはほめすぎで、『院政期社会の研究』の研究は途中で挫折しました。「男男関係は男女関係に比べて密室的・集中的」というのはご紹介のブログかどこかで『院政期社会の研究』の引用として書いてあったと思います。
公春のエピソード、いいですね。頼長も血も涙もない人間でないことがわかってホッとします(だからどうしたという感じですが……)。
BLはモノガミー、というのあると思います。
それと、欧米発祥のゲイ・カルチャーでバイセクシュアルがマイノリティなのも、欧米文化のモノガミー指向と大いに関係があると思っています。
前近代の日本人のポリガミー&バイセクシズム指向については、男女を用途によって使い分ける「別腹感覚」があったのでは、という仮説をいまのところたてとります。
……取り止めがなくなって申し訳ありませんが、このあたりで失礼します~。

編集 | 返信 | 
2009.09.22
Tue
01:59

lucinda #-

URL

コメントありがとうございます~! twitterではお世話になりました(笑)

「台記」が「Hの世界」は、たしかにそうかも。歴史小説とかBLとか大河とかになったら面白そうなのに、と思うけど、うーん、でも登場人物(ってみんな実在したんだけど)がポリガミーだわ、女性とも関係を持つわじゃ、難しいでしょうねぇ…その、いろんな方面でタブーな感じです。

>欧米発祥のゲイ・カルチャーでバイセクシュアルがマイノリティなのも、欧米文化のモノガミー指向と大いに関係があると思っています。
なるほど。アメリカはともかく、ヨーロッパもモノガミー傾向が強いんでしょうか。前近代の日本人の指向についての考察も興味深いです(指向というか嗜好かも)。支配層はともかく、庶民もそうだったのかなぁ…。日本に限らないですが、女性の同性愛の歴史的な手がかりがもっとあれば、また見方も変わってくるかもしれない…と思ったりしました。

編集 | 返信 | 
2009.09.22
Tue
17:47

ゆんゆん #NkOZRVVI

URL

レスありがとうございます~。

>…その、いろんな方面でタブーな感じです。
前衛的なものが評価される映画なら「Hの世界」も出来ますかねえ。しかしあの人間関係の複雑さ、できればテレビドラマシリーズでやって欲しいのですが……。

>アメリカはともかく、ヨーロッパもモノガミー傾向が強いんでしょうか。
婚姻をモノガマスなものとして、宗教的に規定している文化は私の知る限りキリスト教文化圏だけなので、ヨーロッパもアメリカも同じだと思います(逆に非キリスト教徒のアメリカ人は違うかもしれません)。
日本も江戸時代は一応正妻は一人でしたが、妾を囲うこと自体は宗教的に咎められるようなものではなかったですしね。氏家幹人の本を読んでいると、男妾を奥さんと共有していた庶民の話とか出てきます。
現代でもイスラム教徒なんか正妻は四人まで許されるとコーランで定めてありますね。ただ、「対等に扱うこと」という条件がついているので、実際に二人以上の奥さんとうまくやっていくのは難しいと東南アジアに詳しい知り合い(笑)が言っていました。

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2009.09.23
Wed
00:50

lucinda #-

URL

わざわざありがとうございます。

アメリカはキリスト教原理主義、というか、すごく厳格あるいは厳密というかなイメージがありますが、アメリカに比べたらヨーロッパはそうでもないのかな…と、塩野七生や林望などを読んでいて感じたことがあったので、モノガミー傾向、どうなんだろう…と思ったわけです。もちろん、地域や宗派によって事情は異なるとは思いますが。まあ、それをいったらアメリカだって地域や宗派によって違うってことになりますから、キリがないですね。

編集 | 返信 | 
2009.09.23
Wed
21:41

ゆんゆん #JalddpaA

URL

確かにアメリカのキリスト教原理主義は極端ではありますが、ヨーロッパではユダヤ人や旧植民地からの移民をのぞいて、大多数がが生まれながらにどこかの教会に属しているので、やはり日本人とは比較にならないくらいキリスト教的価値観の影響を受けていると考えられます。
ヨーロッパのキリスト教がアメリカに比べてリベラルだったとしても、モノガミーを否定するまでには至っていないのが現状だと思います(聖書の授業など)。
一昔前のモルモン教徒みたいな一夫多妻制はヨーロッパ人にとってもかなり異端に感じられるんじゃないでしょうか。

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2009.09.23
Wed
23:40

lucinda #-

URL

何度もコメントありがとうございます。

そうですね。キリスト教、わたしの中でも厳しいイメージがあります。リベラルに見える面があるとしても、ポリガミーを認めるということはないでしょうね…。

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