ちょっと気になる男優の仕事

 27,2009 23:40
水曜日、とあるトークイベントに出かけてきた。それはこれ。

『AV業界転職セミナー・AV男優編』(雨宮まみの「弟よ!」)

もー、なんでAV? アンタAVが好きなの!?と突っ込まれそうだけど、そういうわけではない――正確にいうと、好きとか嫌いとか考えたことがない。

じゃあどうしてこのイベントに興味を持ったかというと、まずわたしが、雨宮さんのブログのファンだということ。恐らく、彼女が主催していなければ、参加してみようとは思わなかったことでしょう。

そしてもう一つは、AV男優の情報量の少なさを、興味深く感じていたから。

以前、ちょっと気になるAV女優についていろいろ検索していた時、検索されたいくつかの動画や写真がAV作品のワンシーンであることは間違いないのに、男優の顔はおろか、体も必要最小限程度しか写ってなく、場合によっては声も全然入っていなくて、なんかすごいなぁ、もう本当に「ユーザー=男性」の希望に特化しているんだなぁ……と呆然としたことがあった。

だってさ――セックスしている片方の顔や体や声だけが延々写されるって、不自然じゃないですか。

しかも、メーカーなどのAV作品の紹介では、女優の名前とか、シチュエーションとかいったことは書かれているのに、男優の名前は見当たらなくて、ここでも呆然。ウィキペディアを読んで、みたび呆然。

そんなことがあったので、イベント内容にも惹かれて参加してきたのだった。何人か友人を誘ったけどみんな都合が悪くて断られたので、ドキドキしながら一人で。

超長くなったので折りたたみます。
結論から言うと、当事者が語る仕事の話は、やっぱりメチャクチャ面白かったのだ。

イベントは、ゲストが過去に出演した作品ダイジェストを見たあと、雨宮さんの進行による男優さんとのトーク、参加者からの質疑応答という内容。

男優さんのトークは、男優になったきっかけや理由、ギャラ、現場でのエピソードなど、さまざまなことに及んだのだけど、「さすがプロ」と感嘆したのは、

カメラのフレームの中に、どうすれば女優の顔と接合部が同時に写り込むかは、指示されなくてもわかる。

という話でしょうか。もちろん、最初のうちはどうすればいいかわかるはずもなく、カメラマンや照明やADなどスタッフの指摘を、一つひとつ手帳に書き留めてノウハウを蓄積していった――という話も、ジーンときた。こういう、仕事のためにコツコツと努力を積み重ねる話は好きだ。

そんなムリな体勢でやるのに、AVでの本番は「気持ちよさを感じる」と言うコメントにはのけぞったけど

男優になりたくてメーカーに問い合わせをした時、おしっこは飲めるか、うんちは食べられるかと聞かれた――という話は、ウエーッ、マジだったのか! と思いつつ、なんだか自分のいる世界とは別世界の非日常な話だなぁと、妙に感心した。その趣味がない限り、そんなこと考えないもの、普段。昔、飲尿健康法はブームになったけどさ。

男優さんも「内心はええっ!?と戸惑った」としながらも、業界への好奇心が先に立って「できる」と答えたとかで、そんなところも実は、ある意味試されていたのかもしれない。

トークには“ここだけの話”みたいなものもあり、ここでは書けないものも多かったけれど――花岡じったさん(キャリア20年らしい!)

この仕事は体に刺青を入れるようなもの

という言葉が、印象的だった。体のすべてをさらしてセックスをして見せる仕事の特殊性とか、世間からの風当たりの強さとか、そういったことを想像させられる言葉だと思う。

話を聞いていると、ゲストの男優さんの人柄もだんだん伝わってくる。花岡さんはシャイだけど思い込んだら一直線な生真面目な感じがしたし、森林原人さんには穏やかな語り口調にも関わらず思わず話しに引き込まれてしまうギャップの面白さを、黒田さんには刺激を求めて、多分ほかの人が躊躇うようなこともわけなく飛び越える軽快さを感じた。

そして同時に、3人が一緒に話すこととで、それぞれお互いの人ととなりが明らかになっていくような気もした。

そう、話を聞いて初めて、名前も性格も個人を識別するもののない、ちょっと無機質な印象の“AV男優”にも、一人ひとり“顔”があって、仕事以外の生活があることを、初めて目の当たりにして認識できたような感じ

AV作品のシチュエーションの中でしゃべる男優は、これまで目にしたものは大抵、鬼畜だったり、偉そうだったり、さもなくば、下手に出ているけど言外に相手をバカにしている雰囲気が感じられるものが多かったんだもの。

はっきりいって、会場で見た作品のダイジェストの中にも、女優=女をバカにしてるよなぁと、心が冷めるようなものもあり、そういうところがムカつくねん――と毒づきたくなるものがあった。

でも男優たちも、カメラアングルを意識したプロレスみたいなムチャな姿勢を取ってリードしないといけなかったり(ただの力自慢じゃないかと思うものもあり)、動物も含めたどんな相手にも、水中などどんな無謀なシチュにも、いつでもOKなようにチ○コの準備を整えて挑まないといけなかったりと、これまた女優とは別の角度から見て大変そうだよなぁと、心の底から思ったのだった。

参加者は70人ぐらいいたんじゃないかしら。男女比は6:4ぐらい。女一人で行っても大丈夫だったよ!(涙<イイ年して泣くな) 立ち見まで出て、イベントが終わったのは23時。たっぷり3時間半の長丁場。でも時間の経つのがあっという間の、笑いっぱなしなイベントだった。

これからAV作品をガシガシ見る――ということはないと思うけど、仕事の話を聞く機会があったら、また出かけてみたい。

~印象的エピソード・番外編~
#その1
「プライベートではどんなセックスをするんですか?」という質問に、「プライベートは正常位だけ。普通にセックスする方が一番感じる」と答え、あら、なんだかとってもいい話だなぁ……と、なんとなく周りはホッコリした雰囲気になった、ような気がした。

#その2
しかし、ゲスト3人のプライベートの遊びはどうもシモ系のようで、彼らのセックスに対する好奇心の強さとか執着とかを、まざまざと感じてしまった。よく体力が続くよなぁ。

#その3
トークの途中、“トコロテン”にちょこっと触れられた際、「この意味、知ってる人!」と呼びかけられたのだけど、わたしは知っていたにも関わらず、恥ずかしくて挙手できなかった。いや、ほら、BLをある程度読むと、わかるよね、アレ。BLのおかげで増えるムダな知識の典型的な例。

#その4
BLでもAV男優が主役の作品っていくつかあるけど、「春抱き」以外は、大体ゲイビデオの男優という設定のような気がする。そういえば黒田さんは「春抱き」の香藤タイプかも。なんとなく。ゲイビデオものだけど、好きなのは「イケナイ男」(神室晶 高緒拾)だな。
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Tags: イベント エロ 男という生き物

Comment 2

2009.10.02
Fri
21:18

まこと #-

URL

こんばんは。lucindaさんのブログは、内容が充実していて読み応えがあります。とても素人の書き手さんとは思えません。ということでだんだん読み下げている途中です。

AV男優さんがなぜ画面に映らないのか?ですが、
見ている男性が乗り移るためには、男優の個性が出てるとやりにくいからでしょう。

AVの撮り方で主観撮影という手法があります。男優さんの目の位置にカメラがあるのです。これだともう男優さんは胸から下しか写りません。そうまでしないとAV女優さんとHしてる気分になれないほど男性は想像力が貧困と言えるかもしれません。(ただ完全主観だとキスの映像が撮れないので、そんときだけ男優さんの顔がちょっと見えます。)

AV男優の扱いと同様なものとして男性向けエロゲームの目なし主人公があります。主人公の映像が常に前髪で目が隠れているものです。これも主人公を没個性化するための工夫です。しかし、人間の顔で一番感情をあらわにするのは目のハズです。だから目を隠すと演出上大きな損失にあたると思うのですが、とても多くのゲームで取り入れられている手法です。

それはともかくAV男優さんをずいぶんと気の毒がっているようですが、AVユーザーからすると男優さんは目立たずにきちんと仕事をしてくれていればそれでOKなんです。まず、AVを選ぶときに、一番大事なのは女優さん。いろいろわかってきたら監督さんも重要になります。しかし、この男優さんだから買うっていう人はいません。(たまにこの男優さんだから買わないっていう人はいます。)
たとえたらオーケストラのコンサートマスターです。とっても重要だけど名前は出てきません。クラシックのCDでも指揮者は外側に必ず書いてありますが、コンサートマスターは書いていないものです。(ちなみにこの比喩では監督は指揮者です。女優さんは曲になるでしょうか。)それでもコンサートマスターさんは全力で演奏しています。どんなジャンルでもプロはそういう人なんです。

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2009.10.03
Sat
12:52

lucinda #-

URL

どうもどうも、いろいろ読んでくださってありがとうございます!

>見ている男性が乗り移るためには、男優の個性が出てるとやりにくい
やっぱりそうなんですね。わたしもこの説(?)をどこかで知った時は、なるほどねーと感心したものです。というか、想像すると、わりと実用的なのかも・笑。

>たとえたらオーケストラのコンサートマスターです。
そうきたか。でも説得力が…! たしかに、コンマスの名前は出ませんもんね。ポジションは確定しているので見ればわかるけど…なるほどなぁ。女優は曲というよりは楽器かもしれませんね。

わたしはゲームをやらないので、男性向けエロゲーの絵面は知らないのですが、そこでも個性を消されているんですね。なるほどなー…徹底してますなー…。

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