今頃アノ特集批評を読んで思うBLのエロ
特集自体には食指が動かなかったのだけど、特集の批評コラムでは面白そうなものを見つけてしまった。
まず最初に見つけたのはこの記事で、腐女子についても考えられるんじゃないかと思ったのだけど。
セックス特集続報(雨宮まみの「弟よ!」)
「続報」とあるように、この記事は、雨宮まみさんがメンズサイゾーに寄稿された記事への反応(はてなのブクマ)にレスポンスしつつ、その中でちょこっと引き合いに出されていた別の批評コラムへの見解などがまとめられたものなのだ。
よって、メンズサイゾーの記事と別のコラムを読んでから、この「続報」を読むと、「なるほどなぁー」感がいっそう増す感じがする。
■「an・an」セックス特集のナマナマしい中身とは?(メンズサイゾー 雨宮まみ)
■アンアンのセックス特集(LPC WEEKLY 北原みのり)
いやぁ、実際にセックス特集を読んでいないし、物議を醸しているDVDを見てもいないのでナンですけど、2つの記事を読む限り、す、すごい内容なんですね、特集……!
テクニックについての解説(イラストつき!)もすごいと思うが、違う意味ですごい、というかヤバいと思ったのは、避妊方法や生理中のセックスなどについての“本当はNG”な発言へのフォローの薄さや、セックス感染症のページの薄さ、でしょうか。
テクニックとかー、感じることとかー、大事だと思いますけどー、セックス特集でー、しかも「an・an」ならー、リスクについてもわかりやすくスタイリッシュ(???)に説明してほしいと思いまーす。<学級会の意見発表風
今、日本でのエイズ感染者が増えていることだしさ。
そして付録のDVD。北原さんのツッコミがおかしすぎて、読みながら大笑いしたものの(最高爆笑地点>足並みそろえて! 彼のもとに、す・み・や・か・に! そして身を委ねる!!!!)、確かにこりゃ大変そうだ……と、ゲンナリしてしまう。
というか、この批評から想像すると、ここで設定されている男性、マグロなんじゃ……。DVDのテーマが「女性がリードするセックス」で、「草食系男子をいかにその気にさせるか」をコンセプトにしているといわれても……そんなもんなの?
これに対して雨宮さんの「メンズサイゾー」での記事は、DVDへのツッコミはあまりない。主演の女優がカワイイと絶賛していて、なんだか、かわされたような気持ちにならないでもないのだけど。
「続編」を読むと、ツッコミ以前に、「女性が女性のために作るAV」にまったく期待していないゆえの諦観が根底にあったんだなぁとわかる。
私は自分が求めているものがかなりえげつないエロだということは自覚してますし、その感覚が一般の女性とは違うであろうということも自覚してます。 <中略> けど「女性向けに~」という言葉が「女性向けだからソフトにね」っていう意味で使われる世界には興味がないし、今まで何度もだまされてきた分、だまされねーぞーという気持ちがあるので、最初から期待してませんでした。 |
いわれてみれば、「女性向け」≒「ソフトな表現」というのは思い当たる気がする……とうなずくと同時に思ったのは、じゃあもしかしたらBLは、「女性(男性もいるけど)が作る女性向け作品(一応)」ながら、かなりハードコアなエロ表現を描いてみせてくれる数少ない媒体(ジャンル)かもしれない――ということだった。あ、最近こんな記事もあったので、レディコミもそうかもしれないけれど。
BLは男同士じゃん!――って突っ込まれそうだが、逆に言えば、男同士で描いているからこそ、AVやハーレクインとは違って、男性から見られる姿(=女性≒自分)を意識せずに、いろいろあれこれ描ける部分もあるんじゃなかろうか。
それこそ、「積極的になりすぎるな」とか「はじらいを持て」とか、いろいろ要求されないし、そういうことを自分から気にしなくても、文句は言われないものね。
小説もマンガもBLは読み散らかしているので頭の中は麻痺状態だけど、あそこで描かれているエロ、冷静に見るとかなりどぎつくきわどいと思うよ。もちろん、作品によって幅はあるけども。
ただ、BLは男同士で描かれているゆえに、「男同士」の部分に引っ掛かって乗り越えられないと、全然楽しめない――という点で、読者をすごく選ぶと思う。
百合作品も、今までわたしが読んだものはほとんど微エロだったしねぇ……(「男性向け百合/レズビアン作品」は、また違うんだろうけど)。それにこれも、エロ以前に、「女同士」に引っ掛かって乗り越えられるか否かが前提には違いない。
しかし、BLでも「もっとエロがほしい」という意見があるかと思えば「濃いエロはなくてもいい」という意見もあったりするからなぁ……。「あのひととここだけのおしゃべり」(よしながふみ)じゃないけど、「男の人の抑圧ポイントは一つだが、女の人の抑圧ポイントは一人ひとりバラバラ」だからこそ、いくら女性が女性向けに、いろいろと過激で大胆なエロを描いたとしても、大勢の人が納得するものは、なかなか出てこないかもしれない。ちょっと悲観的。
an・anのセックス特集、今度ちゃんと買って読んでみようかなぁと、この批評コラムを読んで思わされた。そしてあれこれとツッコミを入れて楽しむ、と<間違い。読まずにあれこれ言うのは、卑怯だもんね。
