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【勝手に祭り】そのディテールが気になる―高塔望生祭り その2

 29,2009 23:51
思う存分、気になっていたアイテムを追求したけれど、高塔望生さんの作品の魅力は、もちろんそれだけではない。

高塔作品は、とにかく「仕事の描写が丁寧で緻密」なのが、読んでいてワクワクしてしまう。どのぐらい緻密かというと、もう、実際に高塔さんがその仕事に関わっているんじゃないかと思うぐらい。でも、一人で法曹界にも医療現場にも企業買収にも関われないし、第一関わったとしてもBL本を出版するヒマはないだろうし!――ということで、きっと取材やいろいろ資料を調べて書かれているんだろうなぁと思うのだが。

どの作品も、受け攻めどちらもきちんと働いていて、「仕事描写に死角なし!」なのだが、あえて好きな作品を3つまで絞ってみた。

■狼は蒼い月を抱く
■サテュロスの蹄
■巡り逢いからもう一度
僅差:灼熱のブラッディー・マリー

――「3つまで」と自分で言っておきながら、「僅差」ってなに!?――という突っ込みは置いておいて(<置いとくのか!)、ともかく、この4作品の感想を簡単にまとめてみます。
狼は蒼い月を抱く (アズ・ノベルズ)狼は蒼い月を抱く (アズ・ノベルズ)

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深夜、当直の外科医・浅倉は、肩に大怪我を負った男…志波を診ることに。志波は元ヤクザで今は一匹狼の便利屋だった。「先生、男を知ってるだろ」―惚れた…と臆面もなく囁き、浅倉の心の隙間にすっと入り込んでくる志波。そんな折、浅倉のかつての恋人で研修医時代の指導医、三枝が急死。遺された研究データを巡って、浅倉はいつしか抗争の渦中にいた…。

ハラハラ医療ミステリー。いやいやまったく、浅倉が巻き込まれる闇治験を巡る抗争は、医師の間の派閥や力関係がうまく織り込まれていて、これだけで1本書けるんじゃないかというぐらい濃い。

元ヤクザの志波が、またちょっと謎めいて哀愁漂う感じのいい男。服役中にヤクザ間の抗争によって帰る組を失い、アメリカから帰国した浅倉同様、孤独感を抱えて生きているらしい様子が、読んでいると伝わってくる。

志波と浅倉、少しずつ惹かれあう2人の間に、甘さはまったくない。だけど、抗争に立ち向かう「同士」みたいなつながりが、カッコいいのだ。

この作品には、香水や車などのこだわりのアイテムはあまり登場しないので、その意味でも華やかさに欠けているかも。だけどその分、ひきしまっていて「大人のBL」という感じだ。

元ヤクザ……といえば、「水に燃える月」の攻めのヤクザも、ムショ帰りの哀愁漂う男だった……。そういえば高塔作品には、現役バリバリのヤクザが主要キャラにいないなぁ……。


サテュロスの蹄 (B‐PRINCE文庫)サテュロスの蹄 (B‐PRINCE文庫)

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「お前の全部を俺に見せろ」ニットメーカーの社長・秋津は、傾いた自社再建のため投資会社を経営する羽澤に、自社への投資話を持ちかけた。だが獰猛で強かな羽澤は、秋津の話をあっさりと撥ね付け、価値があるとしたら会社ではなく、お前の身体だと言ってきた!会社を守るため、秋津は情欲に燃え上がる身体を差し出し、感じたことのない官能に乱れていくが…!?社長×社長のアダルトロマン。

こちらは、業績不振のニットメーカーが、俗にいうハゲタカファンドの投資会社に依頼して再建していくストーリー。ハゲタカって、あのドラマ&映画のハゲタカですか!? とドキドキしていたのだが、まあ、ちょっと似ているんじゃないかな。多分。

高塔作品の受けは、どんなに頼りなく世間知らずで弱々しくても、次第に成長して強くなっていくところが特徴だと思うのだけど、この秋津も、まさにそのタイプ。継ぐつもりのなかったニットメーカーの行く末を握ることになり、右往左往してメソメソしていたウサギちゃんが、次第に知恵と力を得ていく。

新たなプロジェクトを立ち上げて社員を引っ張っていこうとするくだりは、読んでいるわたしも、希望と期待にドキドキした。

ここに、羽澤との恋愛が絡むわけだが、これがまた、読んでいて無理のない絡め方で、さすがだなぁ!と唸ってしまう。しかも最後はほどよく甘く、“仕事しっかりめな働く男”系BL(今適当に命名)読者の期待に十二分に応えている。ブラボー!

攻めの羽澤は、最初から受けに惹かれていたという設定だけど、ちょっとそれがわかりにくいかなぁ……。まあその不器用さがカワイイんだけどね。

業績不振のメーカーが舞台といえば、「モード・アムール」もそうだ。こちらは、業績不振で倒産したオートクチュールの会社を、フランスの老舗旅行用品メーカーが買収する。奇しくも、どちらもアパレルメーカー。何か意味は……ないよね!?


巡り逢いからもう一度 (B‐PRINCE文庫)巡り逢いからもう一度 (B‐PRINCE文庫)

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大学教授の真柴は探していた香炉がオークションに出ることを知り、協力を求めて古美術商の草壁の元を訪ねる。しかし大人の色香を持つ男は、協力する代わりに金額分を身体で支払えと要求してきた。憤りながらも真柴は香炉のためだとその要求を呑むが、まるで自分を恋人のように扱う草壁に戸惑いを隠せない。そして時折見せる草壁の寂しい瞳や子供のような笑みに、いつしか興味を持ち始め―。オール書き下ろし。

高塔さんはいろんな趣味をお持ちなんだなぁ……と感心してしまったのがこの作品。古美術商×東洋陶磁が専門の大学教授が主人公なんだけど、ここで繰り広げられる陶磁器の説明が、ハンパじゃなく詳しいんですよ! もう、「はい、次は古美術商なんてどうでしょう」などと編集者に言われて必死でいろいろ調べた――なんてレベルは、はるかに超えているんですよ!

この作品の受け・真柴も、オロオロウサギちゃん系。だけど陶磁器への愛は深く、それゆえに大切な香炉を失くしてしまうのだ。

攻めの草壁は、ヤクザではないけれど、ちょっとダーティなムード。違法賭博をやるわ、ピストルを持っているわ、高塔作品の中ではちょっと珍しいタイプなんじゃないかしら。この人も考えていることがわかりにくい不器用な人。やたらと料理が上手なのが気になる。

もうもう、陶磁器についての説明が興味深くて、血のように赤いという「牛血紅」やとろりとしたアイボリーの「定窯」などなど、この目で見たくなることうけあい。そして、問題の香炉を競り落とすオークションの場面もスリリング。真柴と一緒に息を詰めて見守ってしまう。

香炉は無事に草壁が競り落とし、真柴とも気持ちを確かめ合い、めでたしめでたしなのだが、最後、ちょっとビックリするオチ(?)がついている。まあ、草壁の真柴に対する独占欲の表れというところでしょうかね。

そして「僅差」の「灼熱のブラッディー・マリー」なんだけど……。

灼熱のブラッディー・マリー (ビーボーイノベルズ)灼熱のブラッディー・マリー (ビーボーイノベルズ)
桃山 恵

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会社での峻烈な態度からは想像できない貪欲さで、夜ごと結城を溺愛する栗鷲。大手企業・興亜の上司として赴任してきてから“少年時代からの親友”は変わってしまったのだ…!「お前は俺のものでいればいい」奪い尽くすように愛する栗鷲を怖れる結城だったが、熱烈な愛撫は傷ついた心をいっそ癒すようで…!?小説ビーストで大好評、セクシャルロマンス。

これも企業モノ。こちらは大手電器メーカーの、それも環境問題に対応する部署が舞台。そう、ISOとかEMSとか、聞いたことあるけどなんだそりゃ!? な言葉がバンバン出てくる。しかも、小手先なんかじゃなく。

あらすじからは想像できないような迫真の仕事シーンが続いて、もうそれだけで読み応え十分。でもこの作品が気になるのは、受けの結城が、温和ながらも気骨があって、攻めの栗鷲に翻弄されているだけではなく、おまけに女性キャラもしっかり活躍している点だと思う。

栗鷲と結城は、中学時代からの幼なじみということで、栗鷲の執念いや愛情はまったく揺るぎないのだが、この2人、ロスアンジェルスで結婚式まで挙げちゃうのだ。でも結婚式で「めでたし」と物語が終わらないところが、わたし好み。

これまで挙げた4作品には、弁護士モノは入っていないけど、弁護士モノももちろん、キャラたちは期待を裏切らない働きぶりを見せてくれる(そういえば、弁護士として働いているくせに、キャラたちは「弁護士」にやや批判的な見方をしているところも興味深い)

そう、弁護士だろうが医者だろうがメーカー勤務のリーマンだろうが、本当に汗水垂らして一生懸命働いているという手応えを感じられるのが、高塔作品の魅力だと思うのだ。

これまでの発行ペースを見るに、大体1年に2冊ぐらいなんでしょうかね。そのペースでいいから、これからも末永く、働く男たちのBLを読ませていただきたいと、心から願ってやまない。そしてまた、おいしそうな料理とそのレシピを教えてくださーい、高塔センセイ~!
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Tags: 高塔望生 勝手に祭り 羽田共見 あじみね朔生 海老原由里 桃山恵 警検麻ヤ リーマン

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