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いとし、いとしという心(かわい有美子)

 23,2009 23:49
ちょっとちょっと、ちょっと!

これ、攻めも受けも京都弁、というか京言葉のお話じゃありませんか! それも、京都には縁のないわたしのような人間が「うわぁ、京言葉だ~!」と思っちゃうような、はんなり&イケズなイメージそのままの京言葉。

昨年大いに楽しんだ「都道府県受け攻め」で、京都は堂々、受けのトップに立ったけど、実は攻め票も多かった。そんな京都の受けと攻めを、一度に味わえるこの作品。しかも、先の投票では「京都=ツンデレ」で確定じゃない?と盛り上がったのだが、なんとこの作品の攻めはヤンデレ。ああん、このスラッと期待をかわす調子が、京都って感じ!<超個人的イメージ

というか、著者のかわい有美子さんが上手を行っていると、つくづく感心したのだった。

ネタバレを含むので折りたたみます。
いとし、いとしという心 (ビーボーイノベルズ)いとし、いとしという心 (ビーボーイノベルズ)
かわい 有美子

リブレ出版 2009-06
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京都の格式ある名旅館「井筒屋」の若き当主が亡くなった。彼を密かに恋い慕っていた侑央は悲しみにくれる。一方、葬儀で帰省してきた当主の弟・千秋は、次男として当然経営を継ぐと思われていたが、旅館を売却すると言い周囲を驚かせる。かつて一途に兄を想う侑央の想いと秘めた欲望につけこみ、関係を持っていた千秋だが、今度こそその心ごと自分のものにするため、侑央にある提案を―。乱れる心と身体は誰のために…書き下ろしあり。

京都、喪服、美貌の未亡人、老舗旅館――って、これでもかこれでもか!な、設定が揃い踏み。一歩間違えれば、“この設定を並べただけで満足”てな具合に尻すぼみで物語が収束してしまう危険性もあったと思うのだけど。

かわいさんは、やはり違っていた。読み始めてすぐ、「ああ、これは“喪服の未亡人”萌えかなぁ」と思ったけれど、かわいさんの“内気なウサギ”の喪服の未亡人は、なかなかに頑固で手強く、やすやすと心を開かない。そして未亡人を落とさんとする“腹黒いキツネ”も、のらりくらりと一筋縄でいかないのだった。

あ、「美貌の未亡人」はイメージで、実際は、亡くなった幼なじみに密かに激しく片思いしていた男性です。とっくにお分かりだと思うけれど、念のため……。

嫡子じゃないからと蔑ろにされてきた千秋が、兄の死によって、老舗旅館を継がなければならない事態になる。千秋は、兄にずっと片思いしていた侑央が自分のものになるなら、旅館を継いでもいいと侑央に告げる。侑央はさんざん迷い、閉店するにはあまりに惜しい旅館の価値と、旅館によって利益を得ている家業(便箋なども取り扱う紙司)をはじめとした周辺地域のことを考え、千秋の提案を受け入れる。

読んでいるこっちには、千秋がもう長年、侑央のことを特別に大切に想い続けてきたことがわかるのだが、肝心の侑央には、どうもそれがちゃんと伝わっていない。その焦れったさ!

侑央があまりにずっと、亡くなった千秋の兄を慕い続けるので、いくらあとがきで

千秋は、好きな相手に嫌われたくないのに、ネチネチ苛めちゃうキツネタイプ

と、千秋の意地悪さに触れられていても、

――いやぁ、侑央の鈍感さからくる頑なさも、相当なもんじゃないか?――

と思ってしまう。ツンデレとかヤンデレとか俺様とかいろいろ批判(?)されても、「相手を一途に想い続け、相手を追っかける」キャラに、どうも弱いみたい、わたし。

結局、最後まで侑央の心は全力で千秋に向かず、2人の関係は「追う者・追われる者」って感じで、これはこれで終わりなのかなぁ……と思っていたら。

かわいさんのサイトによると続編があるそうですね。そうかそうか、やっぱり商業誌としては、もっとハッキリクッキリ白黒つけなきゃいけなかったか!――と、またここでも感心。

キャラたちのしゃべる京言葉が、とにかく作品に強烈な色を添えているのは間違いない。そしてそんな言葉をしゃべるキャラが、「頑固」とか「意地悪」とかいう設定なのが、

――かわいさん、わかってらっしゃいますね?――

という感じ。「都道府県受け攻め投票」じゃないけれど、京言葉をしゃべる受け、または攻め、どっちもアリだなぁと思ってしまう。

すごく昔に事務のバイトをしていた時、そこに出向していた部長がどうやら京都に近い大阪出身だったらしく、電話や口頭ででなにごとか頼まれるたび、その言葉のリズムとイントネーションの独特な柔らかさに腰が砕けそうになっていたんだよなぁ……てなことを、ちょっと思い出した。もうおじいちゃんぐらいの人だったんだけど。

「ああいう言葉は、フツーの人は使わないよ」と、かつて京都出身の友人が言っていたけど、やっぱりテレビや映画などのイメージは動かしがたい。そう考えると、ヤクザっぽい広島弁のイメージも仕方ないんだよなぁ……。

そして京都の町の描写が、これまたきめ細かく素晴らしい。あの情緒や風情が、侑央と千秋の色気をよりいっそう匂いたたせているような気がする。

南田チュンさんのイラストも、また作品にピッタリ合っていた。今風な絵柄なんだけど、ちょっと角張ったように思える線のせいか、切り絵のようにも見えて、レトロな雰囲気がジュワッと出ている。

年内には続編が読めるそうなので、今から超楽しみだ。千秋と侑央はちゃんとくっつくんだろうと思いつつも、侑央はどんな風に千秋の気持ちに気付くのかを、ぜひとも読みたい。

地方、方言、属性――どれを取っても欠けたところのない秀逸な作品だった。ああ、京都は超メジャーとはいえ、やっぱり方言がステキなBL作品っていいなぁ……!、
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Tags: かわい有美子 南田チュン 地方BL 方言BL

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