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求ム、馬モノ再び!―殴る騎手(森田駿輔)

 05,2009 23:51
競馬を背景にした馬モノBLにどっぷりハマり(これこれ)、以来、馬や競馬にもちょっとだけ興味を持つようになったのだけど。

ブクオフの棚を流している時にたまたま見つけたこの本は、騎手の人間くさいエピソードがギッシリ詰まっていて、立ち読みが止まらず、思わず買ってしまったのだった。

殴る騎手―JRAジョッキーたちの裏舞台 (双葉文庫)殴る騎手―JRAジョッキーたちの裏舞台 (双葉文庫)
森田 駿輔

双葉社 2006-10
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競馬は格闘技!をモットーにする現役厩務員が綴った、日本初の騎手エピソード本がついに文庫化。レース中に「どけ、どかんと殺す!」と脅す、超一流騎手の本性から、あの武豊がかます“仕返し”まで。命を張って騎乗している騎手たちの世界では、K‐1やPRIDEも真っ青のガチンコバトルが繰り広げられているのだ。

「競馬は男の世界」と言われるけれど、実は漠然としたイメージしか持っていなかった。まあ確かに騎手をはじめ、調教師や厩務員など関係者は男性が多いイメージだし、勝負の世界ではあるけれど、何がどう「男の世界」なのかは、具体的に想像できなかったのだ。

でもこの本を読みながら

――確かに、男の世界だわ――

と、何度もうなずいた。レース前後には圧力をかけあう。レース中は相手を牽制して進路を確保するために怒鳴り声が飛び交う。しかもそこには騎手同士の人間関係が微妙に絡み合いつつ、しかし時にはベテランに噛み付くぐらいの勝ち気さが必要なのだ。

例えばレース中の怒鳴り声にしても、新人が丁寧に「開けてください」と頼んでも、女性騎手が「開けてぇ」と甘えたように頼んでも通用しない。通用するのは、「どけ!」とか「開けんか!」とか、経験や年齢、性別に関係なく勝負を仕掛ける気構えと声、なんだとか。いかにも荒っぽく緊迫したムードじゃありませんか。

――重賞レース後の爽やかなインタビューや、競走馬が走る写真のイメージに、完全に幻惑されていた――!

著者の森田さんは、さまざまな騎手のエピソードを挙げながら(騎手の名前は実名の場合とイニシャルの場合がアリ。イニシャルはもちろん、ヤバめなエピソードの場合)、なにはともあれ「勝ちにこだわるレース」を重視している。それゆえ、騎手同士のケンカや、騎手がほかの公営ギャンブルをやることへの賛意、自分の単勝馬券を買うことへの擁護を唱えるのだ。「きれいさ」「安全さ」を重視しすぎて、「ただの品評会やブラッドスポーツになっては面白くない」という主張には、なるほどなぁ……と思ってしまう。

そして、競馬は生き物である馬が主役だけど、それを操る人間も生き物――という言葉に、やっぱりものすごく興味をそそられるのだ。派閥のようなものがあったり、地方と中央の温度差があったり、レースの駆け引きに貸し借りが絡んだり、騎乗依頼を受けるためにはやはり営業が必要だったり……。

一読した後、馬好きな作家さんに、また競馬を舞台にしたBLを書いてほしいなぁ……と思ったのは言うまでもない。ベテラン騎手に食ってかかる闘志剥き出しの新人騎手の挫折を、ベテラン騎手が救ったりとか――異なるタイプのレース運びをしながらも、ライバル同士の騎手が時に相手に貸しを作って……とか――義理人情に絡め取られて苦悩する騎手とか――ね(夢見がちすぎ!?)。高尾理一さんやいつき朔夜さんはもちろんいいけど、個人的には仕事描写が細かい鳩村衣杏さんや高塔望生さんでも面白そうなものが書けそうな気がするなぁ……。独特な男の絆という意味なら、剛しいらさんもよさそう。小説だけでなく、マンガででも読んでみたい!

――ぜひ読みたいわ、新たな馬モノBL。

#著者の森田さんは栗東トレーニングセンター所属のため、本に登場する騎手は関西所属の騎手がほとんど。その中にはもちろん、あの超有名なTさんも登場しているのだけど、彼はとにかくあらゆる面で別格らしい。周りの馬狂いたちも厳しく批判したりはしないのも、わかるような気がした。
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Tags:  馬ものBL

Comment 1

2010.11.25
Thu
01:29

lucinda #-

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拍手コメントRES

10/11 22:19 Mさん

本当に遅いレスになってしまって、申し訳ございません。白川道の「天国への階段」、初めて知りました。佐藤浩市ってのがよさそうですね~。馬モノ、ちょこちょこあるんだなぁと感心しました。
コメント、ありがとうございました!

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