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男色を感じるBL―「はめてやるっ!」シリーズ(剛しいら)~dedicate to satoさん

 18,2009 12:00
今年に入って、「命いただきます!」から急激に、剛しいら作品にハマっていることは、以前にも書いた。

その「命いただきます!」をはじめ、わたしの“剛しいら本の水先案内人”的存在だったsatoさんが、本日をもってブログを閉鎖されたため――すごく残念で、名残惜しい気持ちはやまやまなれど、閉鎖しないで!と横車を押すのも大人気ないと我が身に言い聞かせ、せめてもの感謝の気持ちを表したいと、ここで“剛しいら作品レビュー”をsatoさんに捧げたいと思います。もちろん、独断で勝手に捧げているのです。悪しからず――。

さて、取り上げる作品は、「はめてやるっ!」シリーズ(「はめてやるっ!」「おとしてやるっ!」「やってやるっ!」の3作。版元では「やるっ!」シリーズと紹介。どっちが一般的に通っているのだろう? )。日本最大の広域暴力団・傾正会若頭の辰巳鋭二という兄貴がね、そりゃもうカッコよく、色っぽいんです! そう、ヤクザの兄貴は、受けなのだ。

ネタバレを含み、かつ長いので、ここから折りたたみます。
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広域暴力団傾正会の若頭・辰巳鋭二は、一見堅気のいい男だが、目的のためには手段を選ばず、一度狙った獲物は決して逃がさない。そして今、ある利権を手にするため、新宿のホスト・コージを手に入れ、伝説の竿師から男を虜にする技を学ばせる。コージと鋭二の関係に苛立つ鋭二の番犬・安藤。利権のため誘拐され、コージに抱かれる少年・笙。男たちの欲望が燃えるヒート・アップ・ストーリー。

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「こんなになっても、まだ王様のつもりか」 傾正会若頭・辰巳鋭二の前に強敵が現れた! 中国系マフィアの王大竜だ。安藤と中村の目の前から辰巳を拉致監禁。服従か、反抗か。ヒート・アップ・ストーリー!!

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「勝つか、負けるか」広域暴力団、傾正会若頭、辰巳鋭二に最強の敵が現れた!?数年前、傾正会会長・権藤を撃った事件に深く関わった男の死体が発見されたのが始まりだった。片腕である中村は濡れ衣で警察に捕まり、辰巳の恋人である安藤は凶弾に倒れた!辰巳の大切なものをひとつずつ確実に狙い、常に先手をうつ敵。熾烈な闘いのなか、ひとりになった辰巳は…!?闘いと愛、男たちの欲望が燃えるヒートアップストーリー。


BLでヤクザモノといえば、まあ大体80%(※個人的テキトー推測)はヤクザが攻めだと思う。確かに、「男」になることを至上課題とし、かつ「男」を売り、金と力と(組織内の)地位や名誉を持っているというその設定は、男臭さと攻めっぽさがプンプン漂う。

でも辰巳の兄貴は、敢えて受けなのだ。賢くて洒落ていて美男で、ヤクザ社会の中の「男」としての生き方にこだわりを持っているけれど、自分の中に潜む「女」の部分をハッキリと自覚している。ここがもう、最高にクール。

組織の目的=自分の使命のためには敵の弱点を巧妙に狙い、徹底的に攻撃する非情さとスマートさ。それとは裏腹に、舎弟で恋人の安藤の前でだけ、自分の中の「女」を解放する辰巳の淫靡さに、ゾクゾクする。時々、辰巳はガタイのよいイイ男にヨロめくことがあるが、それさえも安藤との関係を刺激したいがため。

そもそも、辰巳が安藤を見初めたきっかけは、肉親を何者かに惨殺されて孤独と絶望の底にうずくまっていた安藤をニュースで見たこと。カルト教団のおかげで、やはり両親を失って孤独を舐め尽くしていた辰巳は、犯人を差し出す代わりに安藤を手に入れた。この二人のなれそめだけでも、十分ドラマチックじゃありませんか!

辰巳に男惚れして忠誠を誓い、命懸けでサポートする“二匹の狛犬”こと安藤と、右翼出身の中村の献身ぶりには、読めば読むほど、シリーズが進めば進むほど、シビれてしまう。辰巳のために龍の刺青を背中に背負い、アソコに「辰」の字を彫り込んでいるほど全てを辰巳に捧げている安藤もいいのだけど、わたしは中村のストイックさに興味津々だ。

そしてわたしがグッと心を掴まれるのは、「親子の盃」を交わした辰巳、安藤、中村の互いの絆。一たび何かあれば、何が何でも相手を守り助けようとするその絆に、羨ましさと憧れを感じてしまうのだ。そんな絆を現実で結ぶことは難しいとわかっているからこそ。

このシリーズ、安藤×辰巳(精神的には辰巳×安藤)の関係と並行して語られているのが、辰巳が“竿師”(すごいインパクト)として見出したコージと笙のカップル。

「はめてやるっ!」で、辰巳が事業の利権を手に入れようと、笙を軟禁してコージをあてがったのがきっかけで、お互いの関係を静かに着々と深めていた二人。同時に、肝は据わっているがちょっとちゃらんぽらんなコージが、辰巳や安藤、中村の姿を見て「男の修行をしたい」と、少しずつ「男」として成長していく様子も楽しめる。

そう、このシリーズには剛作品のテーマの一つと思われる、

1)一見、男らしいが、“心に女を飼っている”キャラクターの活躍
2)キャラクターの成長

の二つがしっかり盛り込まれているため、特に印象的なんじゃないかと思うのだ。そして、これまでいくつか剛作品を読んできて、とりわけ剛作品らしい!と思わしめる要素は、1)じゃないかと、個人的に思っている。

BLには時に、女性と見紛うほうど「美しく可憐な外見の男」や、はっきりと「女性のように」とは言わないけれど「けなげで一途で相手に尽くす男」(これらが特に女性的な特質ではないが、ヒーローに寄り添うヒロインにはこういうタイプが多い)が登場する作品があるけれど、ハッキリ・キッパリ「心に女を飼っている」と描写される男が登場することは、案外多くないような気がする。

でも、剛作品には、しばしば、そんなキャラが登場し――そしてそんなキャラが登場するたびに、そこに「男色」な匂いというか佇まいというかを感じてしまうのだ。

「男色」とはホモセクシュアルのことだが、そこは漢字から受けるイメージのせいか、ただ単に、ホモセクシュアルとか同性愛とかいうよりも、「情念」や「絆」といった、独特の湿り気が漂っているような気がする。同じ固結びでも、濡れた紐や布の方がよりしっかり締まるようなイメージ。女の付け入るスキは1ミリもナシ――あくまでも個人的なイメージだけど。これはもしかしたら、satoさんの男色本レビューを貪るように読んだ影響もあるかもしれない。

「はめてやるっ!」シリーズの辰巳と安藤には、そんな「男色」な風情を感じるし、そのほか、「リメイク」の、受けに時代劇俳優としての心得と技を伝授する往年の映画スター・花田なんて、しっかりと「心は女だった」みたいに書かれていて、亡き恋人兼マネージャーとの関係が気になるったらありゃしない。

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「古都の紅」でも、曰くつきの二振りの刀「紅」と「白」にまつわる輪廻転生のようなエピソードに男色の匂いを感じてしまう。

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そして、「心に女を飼っている」と自覚しているからこそ、男は自らを励まして「男」を演じ、やがて「男になる」という、妙に納得してしまう展開(これもある種、キャラの“成長”かも)に、つくづく感心してしまうのだ。人は「女になる」人もいれば、「男になる」人もいるのよ。

剛しいら作品の魅力は、もちろんこれだけではない。でもこの魅力に気付くきっかけをくださったsatoさんには、ただただ感謝申し上げるのみ。これからも、剛作品に男色の気配を感じては、身悶えるに違いない。

satoさん、お疲れ様でした。そしてありがとうございました! でもこれからもたまに遊んでくださーい!!
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Tags: 剛しいら 石原理 かんべあきら 警検麻ヤ 男色 ジェンダー 擬似家族 連作レビュー

Comment - 4

2009.05.18
Mon
17:31

sato #XFPte..g

URL

感激感涙です

lucindaさん、こんにちは。satoです。
まさかまさかこのような記事を書いて下さるなんて、ど、ど、どうしよう、今私、完全に我を失っています。
lucindaさんがわざわざお別れの言葉を書いて下さっただけでも感激なのに、わが敬愛する辰巳の兄貴のレビューと共に見送って下さるなんて!!

lucindaさんのレビュー、いつも全文同意なので、莫大な量引用しないと感想が書けないのですが、ちょっと長くなってしまって申し訳ないけど、以下の部分、よくぞ言って下さった! それだよそれなんだ! と、踊り出したいような気持になったので、引用させて下さい。

>ハッキリ・キッパリ「心に女を飼っている」と描写される男が登場することは、案外多くないような気がする。でも、剛作品には、しばしば、そんなキャラが登場し――そしてそんなキャラが登場するたびに、そこに「男色」な匂いというか佇まいというかを感じてしまうのだ。
>「男色」とはホモセクシュアルのことだが、そこは漢字から受けるイメージのせいか、ただ単に、ホモセクシュアルとか同性愛とかいうよりも、「情念」や「絆」といった、独特の湿り気が漂っているような気がする。同じ固結びでも、濡れた紐や布の方がよりしっかり締まるようなイメージ。女の付け入るスキは1ミリもナシ

剛さんの作品は、決して暗くはないと思いますが、昭和の木造家屋の湿り気や黴の匂い(懐かしくて良い匂いの意)のようなものがあって、これは他の作家さんには、あまり見られない独特なもののように思います。
男色の匂いも同じようなところから発生していて、フンドシを締めていなくても兄貴と呼びたくなるし、女言葉を使ってなくても、オネエやネコって言葉の方がしっくりくるような、ちょっとBL離れした感じがするのです。そしてそこに「情念」や女の付け入るスキのない「絆」が見える気がして、猛烈に惹かれます。
だけど、「萌え~」と言ってるだけで、何にどう萌えているのかもよくわかってなかったので、それをこんなにも明確な文章で教え示して頂いて、本当に感激しました。
それから、
>「女になる」人もいれば、「男になる」人もいる
という締めの言葉も格好良かった!
あと、私も中村さんに興味津々デス。(あのストイックさは充分変人の域だと思う)

ではでは、長々とたいへん失礼しました。
これからもlucindaさんのブログに通うのを楽しみにしています。
ぜひぜひまた、お話ししてやって下さい!

編集 | 返信 | 
2009.05.18
Mon
21:25

lucinda #-

URL

温かいコメントありがとうございます!
驚かせてすみません。ただもう、このシリーズといい、剛しいら作品開拓では本当にお世話になったので、本当にありがたかったなぁと思っているのです。ありがとうございます。

そう、剛さんの作品は、暗くはないんですけど、おっしゃるとおり、湿り気や黴の匂いみたいなもの、感じますよね。それに、
>女言葉を使ってなくても、オネエやネコって言葉の方がしっくりくるような
まさに! 辰巳の兄貴はその典型だと思います。それがあんなにカッコイイというところ……やっぱり、独特だなぁと思います。
同人誌でも他作品のキャラと交流していて、それも楽しいですよね。中村が活躍するスピンオフ、読んでみたいなぁ……(もうあるのか!?)

本当にお疲れ様でした。でもこれからもよろしくです!

編集 | 返信 | 
2009.05.29
Fri
13:22

月読 #-

URL

ワタシも「辰巳」にはめられちゃったクチです。
今まで(あんまり読んでないけど)読んだ極道もので一番クールだと思います♪
激しい抗争やアクションのシーンはないけれど、兄貴たちはそうとうヤバいぞ?と思わせられるのはなんででしょ。
密かに「中村」がお気に入りなワタシ。
同人誌、このシリーズは買っちゃいますね。

ところで「剛しいら」独特のキャラだと思うんですよ。
この心に「女」を飼ってる男って。
他であまり描かれているのを読んだことがないような気がするなあ・・・。
たしかに「男色」。
そうですよね。BLじゃなくて男色。
納得!です!

編集 | 返信 | 
2009.05.29
Fri
18:14

lucinda #-

URL

ヤバいですよね~、辰巳の兄貴たち。このヒトたちも現実にはありえない感じながら、ほかのBLのヤクザの「ありえなさ」とは違う感じなんですよねぇ……。なんでしょうね。なんとなく昔のヤクザ映画の雰囲気も感じさせるような……って、いいすぎですかね。

剛しいら作品のキャラの魅力にハマったら、なんかもう読まずにはいられないという感じですね。やっぱり「心に女を飼ってる」男って、あんまり見かけないですよね!?

編集 | 返信 | 

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