レッドクリフ Part2
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Part1を一緒に見たKさんと、ワクワクしながら日にちを決めて、新宿に向かったのだが――。
なんと日曜12時前の時点で、新宿ピカデリーは18時まで満席状態! 「入れなかったら、1回くらい待ってもいいよね」どころじゃない。慌てて新宿バルト9に移動すると、なんとかすぐに見られることがわかり、ホッとした。
ロードショー公開でよかった……!
だがすぐに見られたといっても、開演20分前の時点で、「お席は前側か端っこしか空いていません」という状況。「わたし、一番前で映画見るの結構スキなの」「わたしもですー!!」と一番前のど真ん中を意気揚々と指定したのだが、開場とともに座席に座ってみると、一番前の端っこまでビッチリ満席になっていて呆然としたのだった。
――どれだけ人気なんだ、レッドクリフ!?

まさにクライマックスの赤壁の戦いシーン。熱そうだよ……!
さてさて、最前列で鑑賞した「Part2」は、そりゃもうすごい迫力で――そしてもちろん、突っ込みどころにも事欠かなかった。今回も、ハートを打ち抜かれた数々のポイントは、ネタバレも含むため折りたたみます。
>今回、一番笑いを堪えるのが苦しかったのがここ。あ、いや、笑うところじゃないんですけどね?

つまんなそうに団子を作るオヤジ武将たち
せっかく手を組んだのに、劉備ったら「むざむざと部下を死なせたくない」なんて言っちゃって戦線離脱するのだが、オヤジ武将3人は、いずれもそれが不本意な様子。慣わしに従って冬至の団子作りをする姿は肩が落ち、背が丸まって、いかにもどんよりしているのだ。
「あのシーン、オヤジたちの顔に一文字ずつ「し・ょ・ん・ぼ・り」って書かれているみたいじゃなかったですか!? オヤジと団子作りのギャップが、なんかすごくおかしかったんですけど!」
「全然楽しそうじゃなかったもんね。みんなで作ってるっていうあの絵面が哀れっぽすぎて、逆に笑えたっつーか」
そう、ここは撤退した劉備たちが「やはり仁義を通さねば!」と、前線にいる孫権軍に戻ることを決める重要なシーン。そんなところで笑いがこみあげるなんて、Part1の張飛の特攻シーンともども、わたしたちは不謹慎すぎかしら。
しかし、この劉備軍撤退は、団子シーンの後の周喩のセリフのおかげで、わたしたちの大きな謎となってしまう。それについては後述。
■しかし復帰したオヤジ武将たちは驚異の不死身ぶりを見せつける
>とくに張飛。だってねぇ、矢が3本ぐらい刺さって、致命傷になったかのように、グラついていたんだよ? それなのに最後までバッタバッタと敵をなぎ倒す!

あ、矢は2本だったみたい……
「わたしはあそこで死ぬのかと思ったのに、全然平気だったじゃない? もう超人だよね!?」
「獅童の甘興は死んじゃいましたけどね」
「あ、なんか甘興は原作にはいないオリジナルキャラなんだって。だからちゃんと始末をつけとかないと、後から大変になると思ったのかもね」
甘興の死のシーンは、傷を負い、部下を抱きかかえて炎を浴びながら敵陣へ襲いかかるという、なかなか壮絶なもの。「いろいろあったけど、頑張ってるって感じだったよね、獅童」と、Kさんも感慨深げに言っていた。さすが細マッチョ。
■甘興はしゃべらずに終わりかと思ったら、しゃべったシーンで思わず笑いが
>登場はするけど、いつも口を結んでいた甘興。こりゃ中国語が難しいからしゃべらずにすませるのかなぁ……と思ったら。
爆薬を試すシーンで、「(炎の立ち上がりを)もっと大きく!」と叫んでいた。ここでしゃべったか、獅童、いや甘興……!

炎にたじろがない甘興
しかも、盛大な炎の勢いによろめきながら、「よしっ!」と強がるようにうなずいた甘興に、わたしたちだけではなく、周りからもクスクス笑いが漏れていた。あれは、ジョン・ウーの日本向けサービスだったのかなぁ。
■尚香のスパイ活動の成果に口あんぐり
>曹操軍に男装して潜り込んでいた孫権の妹・尚香。曹操軍の陣容や地図を、白いてぬぐいぐらいの布に描いているなぁ……とは思っていた。しかし、その情報はいつの間にか、1枚のものすごい長い布にまとめられ、腰に何重にも巻きつけられているとは、どういうことなんだ!? 手ぬぐいぐらいの布を縫い合わせたんだろうか? それにしてもムリがありすぎじゃなかろうか?

でも尚香の活躍ぶりはすごかった。しかも男装姿が似合っていてグッド
腰から布を外すシーンは、時代劇の悪代官と姫の「よいではないかよいではないか」みたいで、ちょっと笑えたかな。
■そして相変わらず小喬はエロい
>曹操が横恋慕している周喩の妻・小喬。Part2でも、むやみやたらと色っぽかった。「なーんか、小喬の周りだけピンクの空気が流れてたよねー」とKさん。ええ、本当に。小喬の前での曹操は、本当にヤニ下がっていたもんね。さすが絶世の美女。
ところで小喬は連合軍を助けるため、曹操の陣営に一人で向かうのだけど、このエピソード、三国志では有名らしい「苦肉の策」のアレンジだったんでしょうかね?
「苦肉の策」の主人公・黄蓋は、「私を鞭打ちの刑に処して曹操軍に送り込んでください」と一応申し出ていたけれど、周喩に「老将軍にそんなことはさせられない」と却下されていた。うーん、黄蓋の「苦肉の策」シーン、ちょっと見たかったなぁ……残念。

年を理由に活躍の場を失っちゃった黄蓋。結構シブくていい感じだったのに……。
■そしてそして、周喩と孔明の会話シーンは、やっぱり顔が近すぎる
>なぜあそこまで顔をつき合わせて話すのか、周喩と孔明よ――。ま、腐女子的にはちょいとオイシイけどさ。
■もちろん白鳩も大活躍
>Part1で白鳩を見たときは、「もー、ジョン・ウーったらー!」と突っ込んだけど、Part2では、さらに白鳩の登場回数がアップ。さすがに白鳩に偵察させていたわけじゃなかったけど、偵察の手段には使われていたもんね。
おまけにラスト、周喩と曹操が対峙するシーンでは、ジョン・ウーお得意の二丁拳銃な演出が! さすがにピストルではなく刀の突き付け合いだったけど、いやー、ジョン・ウーの“様式美”は健在なのねん。
映画を見終わった後、「やっぱり突っ込みどころはいっぱいあったわねぇ!」と映画を思い出しながら、大笑いしていたKさんとわたしだけど、
「でもさー、劉備たちが団子を作っているシーンの後、周喩が『劉備たちが撤退したのは計略だった』みたいなことを言ってたじゃない? あれ、びっくりしなかった?」
とKさんが言った。
「わたしも、へ!?と思いましたよ。撤退する時は、全然話し合いとかなくて決裂してましたよね?」
「もしかしたらその辺も撮影してたのかもしれないけど、でも編集しすぎよねぇ? もうちょっと説明が欲しかったわ」
あれから何度か思い返しても、どうしてもわたしたちは、劉備軍撤退時の「計略の気配」に気付けないままなのだが、誰か気付いた方はいらっしゃったら、教えていただきたい。
そうそう、Part2では孔明の見せ場が結構多かったのが印象的だ。カカシを使って3日で10万本の矢を集めたり、風向きを読んだり、劉備軍が撤退しても残ったり――「孔明、カッコいいじゃん!」とちょっと見直した。

今週発売の週刊文春によると、三国志のキャラクターのうち、中国で一番人気なのは関羽、アメリカで一番人気なのは曹操、日本での一番人気は孔明なんだそうだ。なんだかPart2の孔明を思い出しながら、これでまた孔明ファンが増えるのかもなぁ……と思ったりして。
突っ込みどころは満載だけど、しかし、凄まじい戦いのシーンでは、もう何が何やら、誰がどっちなのかわからなくなり、次々と倒れ、累々と広がる死体のシーンに、胸が詰まりそうになった。戦いの恐ろしさだけでなく、虚しさや絶望感も伝わってくるような感じというか。
また曹操が、疫病で死んだ兵士たちをも戦いに使うシーンや、部下の裏切りを疑って殺害するシーンには、思わず震えそうになるほどの恐ろしい緊張感に圧倒された。冒頭のストーリー解説のシーンで、曹操の顔がアップになったとたん、「脂ぎったホシノカントク……」と思い出し笑いを噛み殺していたわたしだけど、ごめん、曹操(そして「引き締まったピエール瀧、とやはり思い出し笑いをしてしまった孫権もすまない。曹操を仕留めようとしながらも迷うシーンは悪くなかったよ)。
最前列で見たおかげで、重低音が腹に響くわ、決戦の火による攻撃の炎の熱がスクリーンを通して伝わってきそうになったわ、俳優さんたちの肌の毛穴まで見えるわ、久々に「映画を見た」という満足感でお腹いっぱい。というわけで、「レッドクリフ Part2」、見て損はない、かな。
※こんな「成分解析」を発見。レッドクリフによる占い解析、らしい。わたしの結果はこれ。

映画「レッドクリフ」
――あながち、間違ってはいない感じだわ……。
