【いとをかし平安BL】のまとめ

 14,2009 23:58
春は、あけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは――なんて、いかでか春になるとこの一節を思ひ出すからといふわけならざれど、春にはいづことなく、平安風なる雅なる感じが似合ふ気がす。

――これ、逆引き古語辞典にある、現代文を古文っぽく変換してくれるスクリプトを使ったもの。結構オモシロイ。わりと時代が新しめな古文って感じですけどね。

そしてタイトル画像を、有職文様にしてみました。これは「古代浮線綾(こだいふせんりょう)」と呼ばれる文様。浮線綾は、直衣や、狩衣の文様としてよく使われていたらしく、この古代浮線綾は、室町時代前期、熊野速玉大社に奉納された袿に見られる「臥せ蝶丸紋」文様だということです。こういう有職文様素材を揃えられている綺陽堂さんから、拝借しました。ほかの文様も美しい! きっとこれからまた何か違うものを使わせていただくに違いありません。
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さて、「Myツボな平安モノポイントを押さえた作品」、最終的には5作品アップとなりました。ちょっとまとまった感があるなぁ……と思い、今さらだけどカテゴリを特集に変更。名付けて「いとをかし平安BL」。捻りがないと、責めないで……!

今回取り上げた作品は、どれも読み応えがあるという点では共通している。そして登場人物も、帝、東宮、左大臣、右大臣、陰陽師は、大体どの作品にもお出ましになっていたかな。脇役どころか名前だけ登場……というケースもあるけど、こういう人たちが現れると、一気に平安ムードが高まるのは確か。

ただ、当然ながら、各作品での性格付けというか立場は異なっていて……。

例えば帝は、「夢にも逢いみん」「闇滴りし」では外戚の大臣に言いなりの、気の弱い人、「王朝唐紅ロマンセ」ではおっとりしているけど、芯は強そうな感じ、「陰陽師 葦屋道満」では好色で小心、「姫君の輿入れ」では癇性で猜疑心が強い――と、いう感じ。

左右の大臣も、作品によって悪役になったり、善人になったり。確か、左大臣の方が位が上なんですよね? そうすると、国政のトップを傲慢にするか、トップを狙うナンバー2を腹黒くするか――なんて性格づけることによって、ストーリーの流れが決まるかもしれないなぁ……と考えると、ちょっと楽しい。

でも攻め様はみんな殿上人です。「陰陽師 葦屋道満」の主人公・道満はアウトローだけど、それ以外は全員五位以上。そして帝を取り巻く権力者一族(作品によって右大臣だったり左大臣だったり…)に反抗心を持っている設定が多かった。家柄がよく地位が高いだけでなく、気骨もある男前――って感じかな。うーん、正統派攻め様って感じですね。

今回、レビューのために作品を読み返して思ったのは――案外、ロン毛の男たちを許容しているじゃないの、わたし? ということだ。いや、“意味もなくロン毛”には萎えるのは間違いないのだけど、例えばアウトローな葦屋道満とか、無為の日々を洛北で過ごす惟喬親王とか、何かロン毛の意味があるなら別に気にならないんだな、ということがわかった。とはいえ、やっぱりここは、イラストレーターの力を見過ごせない。せっかくのアウトローとか失意の日々を送ってるとかいった「影」が、全然感じられない絵柄だったら萎えると思うもの。やっぱり平安モノは、イラストが超重要

そして、公達同士をはじめ、成人した男性同士の設定の可能性は、結構あるような気がした。え? 5作品だけ読んでそんなことを言い切るなって? でもほら、「姫君の輿入れ」や「王朝春宵ロマンセ」の脇キャラでスピンオフ作品ができたし――作家さんも書いているうちに、イマジネーションがどんどん広がるんじゃないかしら。「平安貴族ものは、女性が登場しにくいし、男色自体は珍しくないし、BLに向いている環境なのかも」という、aya-meさんのブログの言葉に、大いにうなずいてしまうわたしだ。

それにしても、平安時代はあまりに遠く――衣食住はもちろん、生活様式とか町中の様子とか、社会のシステムとか、ありとあらゆることが現在と違いすぎ、当時と繋がっている感覚を、日常生活であまり持つことができない。わたしなんて、葵祭りのような祭りを見たり、百人一首で遊んでみたりするのが、せいぜいのところだ。

だから、各作品の作家は、想像力を駆使するだけではなく、相当、いろいろな文献を当たられて書いたに違いない。そしてそういうことができるのは、やはり時代モノが好きで、資料を調べるのが苦にならないということはもちろん、それらをまとめあげ、最後まで面白く読ませるかなりの筆力が求められると思う。そういえば今回取り上げた作品の作家は、全員“読ませる”タイプの作家じゃないかしら。

たかがBL、されどBL――でも、楽しく読みやすい平安時代モノを提供してくれる作品って、出版業界全体でどのくらいあるだろう。そう考えると、なんだかありがたくて、思わず作品に手を合わせたくなるのだった。

これからも平安モノBLには、引き続き注目していく所存でございまする!<誰!?
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Tags: いとをかし平安BL 歴史/時代BL

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