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闇滴りし( かわい有美子)【いとをかし平安BL】

 11,2009 23:27
Myツボな平安モノポイントを押さえた作品は、3作しかストックがなかったのだけど――先日まんだらけに行くチャンスがあり、「平安、平安……」と念仏のように唱えながら棚をあさっていたら、こんな本を見つけたのだった。

「闇滴りし」 かわい有美子

「夢にも逢いみん」のかわいさんの、平安モノ! 表紙絵の雰囲気も、ちょっとおどろおどろしく悲壮なムードながら、そこはかとなく典雅な感じ!……と思ったら、笠井あゆみさんのイラストじゃないですか! ビバ耽美!<?――と、大興奮して購入してきた。

ネタバレを含むので折りたたみます。
闇滴りし (パレット文庫)闇滴りし (パレット文庫)
かわい 有美子

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yami.jpg
平安時代中期―宮中での謎の凶行により廃太子とされた惟喬親王の苦悩、権力欲渦巻く都の夜闇―二つの闇滴る深淵を重ね合わせて描く渾身作!! 賀茂依亨は、今はすっかり力の衰えた陰陽師。蝦蟇の怪物・無白と共に国司の使いで都の外れ、小野に赴いた。隠岐に流された惟喬親王が大赦で都に戻り、そこに幽居する。荒れた山荘で髻も結わぬ無冠の宮に、依亨は金色の龍…王気を視、形式ばらぬ賢英に敬服。九条春暁(狐の化生)が侍り、幼なじみの宰相の中将で、検非違使別当の源由朔も通う。いずれも宮に心酔していた。夜、依亨は朧な白い影を見る。それは宮の昏い情念にまつわるものだった…。(あらすじより)

キャラたちを取り巻く背景や登場人物たちの描写は、「夢にも逢いみん」よりも、さらにいっそう平安的ムード濃いめになっております。本文内でたびたび注釈がつけられていて、これがまた時代モノムードを高めている感じ。
P1000718.jpg
各ページの左側、縦線で仕切られているところが注釈部分

中心人物は、かつて乱心のあまり御所内で大納言らを殺害したために廃太子された皇子・惟喬(これたか)親王。現在は洛北の小野にひっそりと暮らし、かつての東宮としての華やかな暮らしぶりには比ぶべくもない。親王を慕う、陰陽師・賀茂依亨(かものよりみち)は、子ども時代に持っていた天才的な能力を長じてから失っているし(冒頭の、依亨のムシャクシャ感には思わず読んでいて同調してしまう)、いとこで幼なじみの源由朔(みなもとのゆきのり)は社会的には成功しているけれど、惟喬親王の正妻だった姉を失うなど、主要キャラは何だかワケありな様子だ。

さらに人間だけではなく、将来は“九尾の狐”となるなどと嘯く“五尾の狐”の化生・九条春暁(くじょうはるあき)や、なぜか依亨のそばから離れない蝦蟇・無白(荒法師に化生)も、惟喬親王を慕うのだ。

「もの狂いの宮」と密かに都に呼ばれている惟喬親王は、しかし、由朔から見ても、依亨から見ても、どこにもそのような狂気はうかがえない。それどころか、関白の言いなりになっている煮え切らない帝に比べて、「この人が帝であれば……!」と思わせるほどの人物。一体なぜ、惟喬親王は過去にあのような事件を起こしたのか!? 親王は本当に乱心したのか!?

「私こそが、真実、己の正気であるか否かを知りたいのだ…<中略>おのが狂気すら判別のつかぬ私は、長らく音もなく、光も差さぬ闇の淵に身を沈め、もがきあがくうち、この髪、この瞳、この肌のみならず、臓腑のうちまで黒く滴るような闇に染まりたるようだ…<中略>このぬばたまのごとき闇より、私を救ってくれ…」

と、ラスト、惟喬親王は熱っぽくも、素晴らしくドラマチックなセリフを呟いて、待て続編!となるのだが――

この作品、「これには続きがあるのです」とあとがきに書かれているのに、なぜか続きは出版されていないのだ! あああ、いよいよ親王の過去の事件が明らかになり、都を襲う怪異の行方もハッキリするだろうと、胸を高鳴らせていたのに!! これは何かの試練ですか!? この生殺しにされたワクワク感をどうしてくれよう!?

――と思ったら、マンガで出ていると知って、ちょっと気持ちが休まる。

暁の闇(1) (BLADE COMICS)暁の闇(1) (BLADE COMICS)
夏乃あゆみ

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全2巻、なんでしょうかね? ストーリーの行方が気になるので、きっと読むと思う。

それはさておき、この作品には、実はBLお約束のラブシーンがまったくない(もしかしたらパレット文庫というレーベルも影響しているのかも)。しかし、取り巻きの4人誰もが「好き好き!惟喬親王」状態で、おまけに4人はまったく仲が良くないという設定が、非常にやおいやJune的な感じがする。しかも、親王は亡き妻(由朔の姉)を今でも慕っているのに、取り巻き連中は全員、女ッ気がないときている。もう、親王ラブ&一直線なのだ。

個人的に気になっているのは、由朔の部下で、由朔に武術を手ほどきした坂上清衡(さかのうえのきよひら)。部下ながら由朔より年上なのだが、よく日に焼けた美丈夫の武士って、すごくカッコよさそうじゃありませんか! ちなみにこの人も女ッ気ナシ。由朔と非常に深く固い絆で結ばれている模様――ムフフ。

真珠色の光沢を持つ、身の内から金色の光を放つ龍として王気を放つ惟喬親王、そして、当時としては裸のように恥ずかしいとされた「無冠で総髪」姿で普段過ごす心に闇を持つ親王――素敵すぎだ!

――こういう作品こそ、続編と一緒にどこかから新装版として出版されたらいいのに……と、心から残念でならない。マンガも面白そうだけど、小説の重厚で趣のある文章で、続編を読みたいのよ――。

まあ、作者のかわいさんに書く気がないということであれば、致し方ないんだけどね。

#都が恐怖に包まれる怪異は、傀儡らしきものによるのだけど、この傀儡の移動の仕方が、首や手足をありえない角度に曲げて、ブリッジ状態で動くらしい。まるでエクソシストみたい! そして、この傀儡の顔は、伎楽「蘭陵王」の面に似ているらしいのだが、注釈によると、陵王、中国北斉の将軍で、「部下の士気を削ぐほどの美貌を獰猛な仮面に隠して敵軍を破った」という。部下の士気を削ぐほどの美貌って! ここでも妄想が広がりそうだわ……<コラ
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Tags: いとをかし平安BL かわい有美子 笠井あゆみ 夏乃あゆみ 歴史/時代BL

Comment 2

2009.04.13
Mon
21:17

かりんこ #-

URL

こんばんは~。

かわいさんの平安ものは両方ゲットしてますが、未読です(^^;)
「暁の闇」も2巻はまだ読んでないですが、あとがきによると少なくとも3巻までは出るそうですよ?

秋月さんと剛さんの作品は持ってないんですが、lucindaさんのレビュ読んだら読みたくなっちゃいました!でも秋月さんのは幸村殿も欲しいんですよね…。
ああ、時間とお金が追いつかない(笑)
でも、たまにこーゆー読み応えのある作品に出会えるからBL読みって止められないですよね!

ではでは。

編集 | 返信 | 
2009.04.14
Tue
14:05

lucinda #-

URL

コメントありがとうございます~!

「暁の闇」、3巻まで出るんですか……うーむ、きっと読んだら、続きが気になるんでしょうねぇ……。

>でも秋月さんのは幸村殿も欲しいんですよね…。
こ…個人的には幸村殿の方が好きです。王朝ロマンセ本編を読んでいないせいかもしれませんが、幸村殿の方が勢いがある感じ…。剛さんの作品はぜひ!

このごろサッパリだなぁ、と思っていたら、面白い本に出会いますからね。気が抜けません・笑

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