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王朝唐紅ロマンセ(秋月こお)【いとをかし平安BL】

 07,2009 23:55
Myツボな平安モノポイントを押さえた作品第2弾。主人公の2人は実在の人物。権力者への抵抗や駆け引きがたっぷり描かれているばかりか、作者の大胆な推論も織り込まれていて、読み応えアリ。

ネタバレを含むので折りたたみます。
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宮中一の美貌を誇る在原業平(ありわらのなりひら)と、「納曾利(なそり)」の二人舞を連れ舞うこと――。帝の命とはいえ、内心憂鬱な藤原(ふじわら)一門の御曹司・国経(くにつね)。権力をものともしない業平に、会うたび翻弄されてばかりなのだ。けれど、真剣に稽古に打ち込む姿に、国経は違和感を募らせる。この人の派手で軽佻浮薄な言動は、父達を欺く仮面なのか? この人の本音と素顔が知りたい…。国経は次第に心を奪われていき!?(あらすじより)

これ、「王朝ロマンセ」シリーズのスピンオフ作品。時は平安初期で、かの有名な藤原道長はもちろん、菅原道真を陥れた藤原時平が活躍するずっと前頃の設定。わたし、実は「王朝ロマンセ」シリーズは読んでいないのだけど、それというのも、主人公の千寿丸が子どもらしいから。少なくとも、元服はしていなさそうだ。

だが「王朝唐紅ロマンセ」は、表紙絵を見る限り、どちらも元服した貴族男子。しかも主人公は、名うてのプレイボーイ・在原業平と、藤原国経という、実在の人物じゃありませんか! 同じ秋月こお作品の「幸村殿、艶にて候」も実在の人物が主役だけど、実在の平安貴族男子を秋月さんはどう料理しているのか、俄然興味を持ったのだ。

ただ――正直に言うと、表紙イラストは個人的NG一歩手前。いや、唯月一さんの絵は嫌いじゃないんですよ? だけど、わたし好みの平安モノからすると、このイラストは非常に“現代的平安モノ”だと言わざるを得ない。うーん……と眉間にシワが寄った最大の原因は、やはり髪型ですかね――ちょっと、サイドに垂れている前髪が長いかなぁ……<中学・高校の風紀委員みたい。でも、本文中の扉絵は表紙絵を見た時ほどのイマイチ感はなく、特に、物陰で業平が国経に強引にキスしているイラストは好き<じゃあ、前髪はどうでもいいんじゃ……?

さて、“あらすじより”では2人で舞うイベントしか触れられていないけど、「王朝ロマンセ」の主人公、千寿丸と橘諸兄がちょこちょこ登場し、千寿丸が危険にさらされる事件も勃発して、大騒ぎしている。千寿丸はどうやら総受けのカワイコちゃんらしく、相思相愛の諸兄だけでなく、業平も国経も千寿丸に心を奪われている模様だが――しかし、この作品だけ読んだ感想としては、素直に「千寿丸カワイイ~!」と思えないのが、我ながらイタい気がする。何ていうんですか、「明るく元気で正しく賢い」キャラが、ちょっと鼻につく感じというんですか。

同じく、シニカルな業平にもどうもイマイチ萌えられず――権力者の藤原北家への反感はわかるけど、国経に対する物言いの意地悪さや、言動や行動が独りよがりで子どもっぽいなんて思うのは、わたしが遊び心をわからさすぎなんでしょうか!? ともかく、業平って“色男で歌が上手くて軟派”なイメージだったんだけどなぁ……という、自分の先入観を思い知らされるような、攻め攻めしくも、一癖あるキャラっぷり。シリーズ本編では、業平の人気が高かったらしいけど、そしてあとがきを読むと、著者の秋月さんも業平がお好きのようだけど――わからん……。もしかしたら、本編を読まないと、ここでの業平のカッコ良さを実感できないのかも。

それに比べて、どうも千寿丸たちから敬遠されている国経は、この作品を読んだ限りでは何となくカワイく思えてしまうのだ。本当は千寿丸や業平と仲良くしたいお坊ちゃまで、権勢を誇る藤原北家一門の御曹司ながら、どこか父や叔父のやりように違和感を感じているナイーブな青年――そんなイメージ。“攻め”感いっぱいの業平に対して、いかにも受け受けしいというか。もちろん、国経はこの外伝の主人公でもあるので、それを配慮して描かれているのかもしれないけれど。

――そんなこんなで、超個人的好みをかすっている要素も少なくないのだが、それでも「悪くない!」と思ってしまうのは、ただもう、さまざまな政治的思惑と、徐々に親密になっていく業平×国経の関係が、巧みに描かれているストーリー展開ゆえ

実は高貴な出自らしい千寿丸を排除しようとする策略や――業平の藤原家への皮肉と嫌がらせや――その業平を陥れようとする藤原家の陰謀(=伊勢物語で描かれた、伊勢斎宮との密通)や――業平に翻弄される国経と、それをハラハラと見守る家人の心配や――国経の出自の秘密と、それを知った国経の動揺や――いろいろなことが起こって、読む方はハラハラさせられっぱなし。「なんだかなぁ……」と思っていたはずの業平の無事を、気付いたら国経とともに祈っていたほどだもの。さりげなく史実を盛り込みながらの、権謀術数がうごめくさまの語り、秋月さんは上手いなぁ……と思ってしまう。

自分は藤原家の実子ではなく、先の上皇の子どもだと知った国経が(これが秋月さんの“推論”)、叔父である権力者の藤原良房の言葉に屈辱を感じ、業平の藤原家への反感に同調するシーンが、とても印象深い。もしかすると、国経の“どこにも居場所のない孤独感”に、わたしの何かが激しく共感したのかも――ともかく、多分ここで、国経の気持ちは一気に業平に傾いたんじゃないかなぁ……!

とはいっても、業平と国経の(ようやくの)ラブシーンは、まったく甘さってものはないんだけどね。実は、ムリにエッチしなくてもよかったんじゃないかと思わないでもないけど、まあ、BL的サービスですかね。

業平は、橘諸兄や国経の働きかけで、藤原北家の陰謀をどうにか凌ぐ。ここら辺は「男の友情」が色濃く描かれている、といえるかもしれない。「友情」といえば、国経の家人、宗義と小椋のエッチ付きの友情関係が、結構好きだ。「国経のために」という共通の思いで結束している感じで。

和歌のやりとりや、舞の練習など、平安時代らしい風景もたくさん盛り込まれているのだけど、読後の印象は、質実剛健というか骨太な感じ。牛車よりも馬を走らせているシーンが多いのも興味深い。

この骨太感って、秋月作品ならではの特徴なのかもしれない――と思う。それにしても、「王朝ロマンセ」シリーズといい、「幸村殿、艶にて候」といい、秋月さんはかなり歴史がお好きなんだろうなぁ……。
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Tags: いとをかし平安BL 秋月こお 唯月一 歴史/時代BL

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