タンタンタンゴはパパふたり(ヘンリー コール)

 17,2008 23:32
動物の世界では同性愛は不自然ではないと、ちょこちょこ取り上げられているけれど――。

タンタンタンゴはパパふたりタンタンタンゴはパパふたり
ヘンリー コール 尾辻 かな子 前田 和男

ポット出版 2008-04-16
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(あらすじより)動物園にはいろんな家族がいます。でも、ペンギンのタンゴの一家はそのどれともちがっていました―。本当にあったペンギンの家族のお話。米国図書館協会のNotable Children’s Bookに選定。数々の賞を受賞した話題作。

このお話、ニューヨークのセントラル・パーク動物園での実話だそうで、そうだと聞くと、なおのこと一層、胸にグッと迫ってくるものがある。どうしてグッとくるのか考えてみるに、物語を展開する視点と語り口調じゃなかろうか。

絵本だから当然、やわらかい語り口調なんだけど、主観的ではない。事実を、観察したことを、そのまんま淡々と簡潔に話し聞かせてくれる感じ。でも機械的な冷たさはまったくなく、なんとなくあったかい。そもそも、

――オス同士で愛し合うペンギン、ロイとシロが、他のペンギンカップルが卵を温める様子を真似て石を温めていたが、飼育係の機転により、産み落とされっ放しだった卵を与えられ、温めて孵して育てる――

なんて実話、放っておいても大感動エピソードだ。涙が溢れそうなイイ話だ。その、いかようにもドラマチックになりうる題材だからこそ、客観的な視点と簡潔な語り口調が、物語を引き立てている気がする。もし、ものすごく力の込もったエモーショナルな文章だったら……そしてものすごく声高に同性愛について主張されていたら……ドーンと引いていたかもしれない。

絵も素朴で可愛らしくてですね――
PC180164.jpg

別にフキダシがあるわけじゃないけど、温めている石を見ている様子が「まだ孵らないかなー?」と言っているみたい!とか、2羽一緒にいるところがいかにもワクワクしている感じ! とか、見ていていろいろとイメージが広がるのがステキ。

それにしても、ペンギンの飼育係、グラムジーさんはすごいよ。ロイとシロの仲良しぶりを見て「この子たちは、きっと愛しあっているんだ」と気づいたり、彼らに放置されていた卵をあてがってやるなんて。きっとすごーく思いやりのある人に違いない。

ロイとシロが孵したタンゴ(女の子)は、やさしいパパが2羽もいて幸せだなぁ……と、読んだらきっと思うはず。ロイとシロがいなければ、それ以前にグラムジーさんが気がつかなければ、もしかしたら孵らないままだったかもしれないものね。

この絵本、以前から読みたいなぁと思っていたのだが、発売時期を外したせいか、なかなか書店で見つからず、結局アマゾンで手に入れた。うーん、こういう、大切なことをいろいろな角度から考えさせてくれる絵本は、書店に常備しておいてほしいものです。

アラスカさんのブログによると、6年続いたロイとシロの仲は、シロがカリフォルニアから来たメスにコロッとなびいてしまい、破局したらしい。ロイは隅っこでポツンと壁を見つめている――なんて、ちょっと涙が出そうよ……! 愛は4年で終わる説も、あったもんねぇ……。
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Tags: ヘンリー・コール ゲイ

Comment 2

2008.12.18
Thu
13:58

アラスカ #-

URL

この本は数々の賞を取っている反面、親が図書館に置かないで欲しいと要望する本の全米一位だったような気がします。
なかなか難しいですね。

そして捨てられたロイに新しい恋は訪れたのでしょうか。実話だと知ると、本編以上にそのことが気になります。

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2008.12.19
Fri
07:41

lucinda #-

URL

>親が図書館に置かないで欲しいと要望する本の全米一位
なんだかいかにもアメリカって感じの反応ですね。
まあ、日本は反応さえないですけどね……本当に難しいです。

そう、ロイに新しい恋は訪れたんでしょうかねぇ?
気になります。幸せになっていてほしい、ロイ……。

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