メロメロ vol.9
雑誌を読む醍醐味、それも毎号欠かさず買うのではなく、コレと思った時にしか買わない人にとっての醍醐味のひとつは、意外に面白かった作品、予想外に好みの作家に出会える可能性がある……ということじゃなかろうか。
そして結論からいえば、「メロメロ vol.9」、大変満足した一冊になったのだった
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以下、短く感想を書いてみました。
アキバ系オタク×超売れっ子若手アイドルという組み合わせが新鮮だ! しかもオタクのおさむはデブでメガネという念の入り用。なぜかアイドル・颯也(そうや)から愛されているのが、落ち着かず、自信がない――好きな相手の気持ちがわからない、自分の気持ちが相手に伝わらないもどかしさ、が軽妙かつ哀しく描かれているのがツボ。来月発売されるコミックスは、とりあえず買いだ!
ダブルミンツ 中村明日美子
連載モノの最終回らしい。ヤクザが絡んでいるけれど、主役たちはヤクザではなさそうな…。シリアス風味で話は進み、とりあえず、メインの二人は船で国外脱出。幸せに、なれるかしら。
GOGO BOYの憂鬱 岡田屋鉄蔵
こちらも連載モノの最終回。ゴーゴーのあっちゃんは、長年想っていた幼なじみのマキと気持ちが通じ合いました。パチパチ! ラスト、あっちゃんの周りのゴーゴー仲間や、ボス(?)らしいモンさんとのやりとりが、ほんわかしていて、岡田屋さんらしい感じ。最初から読みたいわん。
ヤマシタトモコ×岡田屋鉄蔵 対談 「愛と暴力と筋肉と」
実はわたし、ヤマシタトモコ作品は、少ーししか読んでいないんです……なんだろうな、もちろんキライじゃないけど、個人的な“ツボ”をハズしている感じで……。
でも、お二人とも、筋肉やオヤジが好きなのはわかりました。そして「マンガを描く」ことについて、ヤマシタさんはけっこう時間配分をきっちりされているのが興味深かった。そうよね、マンガ家だからって、必ずしもけつかっちんなワケじゃないわよね……。
最後は「月代と辮髪はイイ!」で盛り上がっていたけど、ええ、ぜひその二つが大活躍なBL、読ませてください。
アフター 明治カナ子
弟にメロメロな、トッポそうな兄・久我山が笑える。このほのぼの雰囲気が好き。どんなに同僚・相川が心配しようとも、久我山は幸せそうね。
ジャスト ノット ライク ア メリーゴーランド えすとえむ
メリーゴーランドと競馬の取り合わせが技アリ。バツイチ・圭ちゃんの哀愁は、メリーゴーランド場面で描かれ、稔が圭ちゃんのことを想いながら願掛けするのは競馬の場面なのだ。稔、圭ちゃんに無事、想いを告げられたのかしら。
BOY NEXT DOOR 宮本佳野
タケシの寂しがりやっぷりが、ちょっと小悪魔っぽい。これは、連載モノ……というか、連作? まとめて読みたい。
上の住人 夏目かつら
シェフ×引きこもり青年。これも連載モノらしい。引きこもり青年・狛貴を守る、シェフ・大貫が頼もしいが……うーん、これより前を読まんとわからん。とかいいながら、読まなくても想像できるような気もしないでもなし。
黒猫珈琲店 サクラサクヤ
これも連載モノ。カフェオーナー×ギャルソン、かな? それより何より、こーれーはー、ナニかキナ臭いことが起こりそうな予感をはらんでいる……! 次号に期待なの!? これも最初から読みたいっす。
オタカレ! 今本次昌
一番笑ったかもしれないこの作品。受けの貴志は会社員ながらも「描いてる」オタクで、しかも大手という三重苦(笑)。ゲイの攻め・勇とつきあっているくせに、描いているものが美少女百合モノってのが、またおかしい。せっかくのデートを、イベントだ手伝いだでことごとく潰されてしまう勇の怒りと悲しみが、なんだか他人事じゃないですよ…? これ、コミックスが出たら買うな。
タンゴの男(単行本未収録) 岡田屋鉄蔵
はいはいはい、これが目当ての一つでした。そしてやっぱり、期待は裏切られませんでしたとも! ヒロはすっかり後ろを開発されているのね。というか、ここに「GOGO BOYの憂鬱」の脇キャラ・法ちゃんが出ている! つながってるのねぇ……。ヒロ、アナタはホントにビッチね……とつくづく納得しました。
偶然なのかブームの前触れなのか、オタクがメインキャラの作品が2作もあったのが、なんだか興味深い。とくに語シスコさんのオタク描写が容赦ないったら……! けれどもやっぱり、2作品とも、オタクはどちらも純朴で素直ないいヤツなのだ。なんとなく電車男の雰囲気を背負っているのだ。腹黒いオタクじゃ、夢がなさすぎるという、これも一つのドリームなのかしらね。
前から面白そうだと思っていたけど、メロメロ、買って損のない雑誌だったなぁ……。とかいいながら、次号を買うかどうかは、やっぱりラインナップによるんだけどね。だって、雑誌、買うとキリがないんだもの――この苦悩を振り切らせてくれるほどのラインナップを、期待。
