ブリリアントBLUE(依田沙江美)

 20,2008 23:06
実際のところ、「ワタシ、好きな人は同性なんです。カノジョと添い遂げたいんです」なんて、親兄弟親類には、なかなか言えないよなぁ――と思う。

家庭環境にもよるでしょうけど――少なくとも、わたしにとっては相当な覚悟が必要な問題だ。もしもこの先、ずっと一緒にいたい人が同性だったなら覚悟を決めなくちゃ……とは思っているが――まずはそういう人を見つけてから悩むべきですね、はい。

それはさておき、依田沙江美さんの「ブリリアント★BLUE」は、地方在住者の、同性との恋に悩む攻めの物思い&姿が印象的。しかもちょっとコメディ風味で描かれているのが、なおよし。

ブリリアントBLUE 1 (1) (ディアプラスコミックス)ブリリアントBLUE 1 (1) (ディアプラスコミックス)
依田 沙江美

新書館 2004-06-30
売り上げランキング :
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

(あらすじより)章造は、腰痛を悪化させた父に代わり家業の工務店を手伝うため、久しぶりに故郷に帰って来た。そこで再会した幼馴染みの七海は、あいかわらずのぽわわんぶりだけど、すっごくキレイになったわ、スナオだわ、なつこいわで……!? 天然おバカな七海と、苦労性の章造。ガテン系田舎暮らしの二人に、恋は芽生える……!? ドキドキ、ラブ&ハッピーなストーリーがスタート!!

1巻は、ほとんどエロなし。著者の依田さん自身、「1冊かけて、でこチューか……」と後書きに書かれているぐらいだもの。

でも、そんなの気にしちゃダメ! ここでは、章造がかつての同級生・七海を意識するまでが丹念に描かれる。そして、七海の気持ちも。

どうやら仕事ができ、いい意味で要領もよく、ソツのない章造は、“世間体”とか“他人からの視線”とかいったことをすごく意識してしまう男。それゆえに、七海に惹かれていても、あっという間に近所にうわさが広がる地域社会を考えると、「絶対何もできない」と頭を抱えてしまう。

情報化が進んでいるとはいえ、やっぱり“地方”は大都市に比べて保守的な面はあると思う。わたしの実家辺りも然り。だから、章造の心配はすごくわかるなぁ……。親兄弟ならともかく、親戚とか近所の人とか、さらにいえば顔見知り程度のご近所さんにでも、妙なウワサをたてられないようにしなくては……!と思うもの。

これまで依田作品はいくつか読んでいて、どれも好きなんだけど――この作品が特に好きなのは、世間体を気にする章造の気持ちに共感しちゃうからなのかなぁ……と思うほど。

そうはいっても2巻では、

「おまえ(七海)を知ってしまってから、どうしてまた孤独に戻れると思ったんだろう、俺は。世間体とか損得計算とか、小せえくだらねえ分別は、はるか後方に飛び去っている」(句読点は管理人)

と、章造はあっさり、七海との恋愛関係を周囲の環境から吹っ切っちまうんだけどね。それもごく最初のころに。

ブリリアントBLUE  (2)    ディアプラスコミックスブリリアントBLUE (2) ディアプラスコミックス
依田 沙江美

新書館 2005-07-30
売り上げランキング :

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

(あらすじより)ホロ酔いで上機嫌な章造にキスされ、舞い上がり気味の七海。ふたりの気持ちはおんなじですぐに恋人になったものの、ここは片田舎、人の目も耳もある実家暮らし……。内緒の恋はあっという間にバレ、さらには誤解が誤解を生んで、事態はとんでもない方向へ……!? 章造のところにコワモテの新人・なおプ-がやってくる番外篇も収録した、シリーズ完結巻!!

まあ、予想外なアクシデント(章造と七海の心中未遂疑惑)のおかげで、章造および七海の家族は、半ば強引に二人の関係を認めざるをえない状況になったからなんだけど――そのくらいなコトがないと、周りの認知は難しいかも……と思うと、ここでも「大変だ…」としみじみしてしまうのだった。

“アホ受け”な七海は、実際にこんな男がいたらキモいだろ、と思ってしまうのだが、天然さんなセリフの数々がすごくキュート。章造も、周りに認められてからは、七海にメロメロで微笑ましい。

ちなみにわたしが好きなシーンは

●仕事関係者との休憩で、章造の持つまんじゅうから目が話せない七海(1巻)
●「さっちゃん」の歌を「しょうちゃん(=章造)におきかえて歌ったものの、それ以前に作った兄の歌を忘れて、兄を凹ませた七海(1巻)
●堂脇からさらった時、章造の前で、「かえっていいの?」と涙した七海(1巻)
●七海をどうにかしたいのだけど(もちろんセックス関連で)、タイミングが合わずに懊悩する章造(2巻)

かしら? こうしてみると、どれも第三者がいる環境においての二人のバカップルぶりがキーポイントかも。あと、章造と母親のやりとりも好き。章造、しっかり者なので、母親もちょっと様子をうかがいながら結婚のことや家(工務店)を継ぐことやらを言うところが、現実にもありそうな感じ。

家族や近所、仕事と、年を取るとイヤでも深く関わってくることが描かれているこういう作品を、「はー、わかるわかる……」と思えるのも、やっぱり年齢ならでは、なのかしらね――やれやれ。
関連記事

Tags: 依田沙江美 地方BL

Comment 3

2008.11.21
Fri
22:14

月読 #-

URL

頻繁なコメント、申し訳ありません。
別にストーカーってわけじゃないんですよ!(^^;)

いえね、これ最近購入しまして大好きでよく読んでるんですよ~!
なんたってほら、地方在住者とか家族経営とか、キーワードがワタシにばっちりなんでものすごい共感出来ちゃうしね~(苦笑)
地方在住で家族とともにそこで根を張り仕事をしていくことは、とても覚悟のいることです。自分のことを殺さなくちゃならない時もあるんですよねえ。セクシャリティの問題は大きな壁になりますよ。実際。
章ちゃんの心境、七海のスタンス、わかり過ぎるわ~(苦笑)これまともに描かれたらおもしろくもなんともない生活臭漂う話になっちゃってうんざりだけど、さすが依田さん、うまいよね♪
個人的に、七海が給料もらってなくて服を買いに行くお金がなくて兄ちゃんに貰うとこ、あそこがツボりました。家族経営にはありがちです。(爆)

編集 | 返信 | 
2008.11.21
Fri
22:54

みっと #-

URL

lucindaさん こんばんわ。

私、依田さんの中でもこれが一番好きです!

でも私、なんで好きなのか実ははっきり
分からないんですよ。

番外編が読みたいがために同人誌も買いました。
初詣、着物姿の七海に猫耳を付けて連れまわす、
という、どうしようもないバカップルぶりです。

好きなシーンは七海が無防備に章造に甘えるところでしょうか。

甘えるキャラが好きな訳ではないので、七海限定です。
そこがツボかもしれません。

それでは!

編集 | 返信 | 
2008.11.22
Sat
03:53

lucinda #-

URL

>月読さん
何度でも、いつでもコメント大歓迎です! うれしいですよ~!

月読さんがこちらにいらっしゃった時、依田さんの作品を買ったっておっしゃっていたなぁ…もしかしてこれだったっけ…?と思いながらブログを拝見し、違うことを確認していたのですが、この作品、お好きなんですねー!(つか、前置きが長い)

>地方在住で家族とともにそこで根を張り仕事を
そうでしょうねぇ……。そしておっしゃるとおり、重いテーマを、すごくうまく描いていますよね。これがシリアス風味だったら、これほど心に残らなかったと思います。
わたしも、兄ちゃんが七海にあわてて給料を支払うシーン、好きです。

>みっとさん
コメントありがとうございます。七海が甘える姿、なんでカワイイでしょう、あんなに……ねぇ…?

同人誌も出ているんですねぇ。依田さんも気に入ってらっしゃるんでしょうかね、この作品。探してみようっと。

編集 | 返信 | 

Latest Posts