FC2ブログ

男社会に辟易してもBLに飽きないのは

 19,2008 05:09
仕事の打ち合わせで、なぜか先方担当者とすごく話が盛り上がることが、時々ある。もうこのまま飲みの約束でもしかねない雰囲気というかなんというか。

先日の打ち合わせでの、先方担当者Eさんが、まさにそういう人だった。ちなみにEさんは、わたしよりやや年上らしい女性。

仕事の話が一段落ついてちょっと雑談をしていたのだが、「仕事は大切だけど、プライベートも大切ですよね」という流れになり、ふとEさんが、

「でもね……女性が働きやすくなるよう、わたしたちの世代が環境を整えていかなくちゃいけないのかな、って思うこと、あるんですよね」

と、まるで自分に言い聞かせるようにつぶやいた。

――ん!? なんかちょっと、意味深ですよ、その発言!

先月までいたおっさん職場を思い出しつつ、恐る恐る、「あの……Eさんのいらっしゃる業界って、すごく男性ばかりなイメージがあるんですが、やっぱり男性社会、ですか?」と聞いてみたら。

Eさんの目が、カチリ、と光ったような気がした。

グダグダと長くなるので折りたたみます。
「もう男性社会、なんてもんじゃないですよ! しかもすごく硬めですし。ウチの部署なんて、女はわたし一人ですからね。もうもう、圧倒的な男性社会ですよ!」

――うわー、やっぱり!

「いやぁ、実は少し前まで、男性社会だなぁ…という職場にいたので、なんか想像できる気がします」

「あら! ねね、lucindaさんは、その職場にいて何がイヤでした?」

「イヤというか、理解できなかったのは、残業に対する考え方の違いですかね。わたしは定時までに仕事をきっちり終わらせて、なるべく残業はしないという方針なんですけど、上司をはじめその職場の男性たちは、どうもそうではなかったんですよね」

「わ、それわかる! わたしもlucindaさんと同じ考え方だけど、周りの男性たちは違うみたいなんですよ。で、なんかすごく、まだるっこしいというか、形式にこだわる感じ、しません?」

「そうなんです! あと、社内評価とか査定を意識していて、メンツにこだわるんだなぁ、とも思いました。例えば仲が悪くても、表面上はそんな素振りを見せないとか」

「そうそう! 腹の内を見せたがらないというかね」

「その割りには結構、群れたがるところもあったりしません?」

「うんうん。わたしなんて今の部署に配属された時なんか、『何なの、オマエ?』みたいな視線を浴びていましたからね。『わたしはあなたたちの利益を侵しませんよー、敵じゃありませんよー、出世には興味ありませんよー』というのを、すっごくアピールして、ようやく受け入れてもらえた感じというか。ま、実際、出世には興味ないですからね」

「うわぁ、大変でしたね、それは!」

――いやぁ、「摩訶不思議★THE 男性社会」の話題で盛り上がる、盛り上がる!

「もうねー、働いていると、男性との体力的、感覚的な違いは埋められないなぁってしみじみ思うんですよねぇ。彼らに合わせていると、時々バテるというか、息切れしちゃうんですよ。そうすると、社内の周り(=男性)にどう思われてもいいやってなるんですよね。だから仕事が終わったらさっさと帰宅してます、わたし」

とEさん。わかるわかるわかります。わたしは実際、息切れしちゃいましたからね――自慢にもならないけれど。

それにしても、Eさんの話を聞いていると、わたしがおっさん職場で感じていたコトは、あの職場特有のモノというわけでもなかったんだなぁ――という感慨にふけってしまう。

まあ、ほとんどの日本の仕事現場においては圧倒的に男性が多いし、その意味では、ほとんどの業界や職場が男性社会でしょうけどね。

でも、「男性社会はイヤン」と思いながら、どうしてわたしは男ばかり登場するBLを読むんだろう……と、ちょっと考えてしまったのだ。もちろん、BL=ファンタジーだから、現実の男性社会に照らし合わせたり比較したりするのにはムリがあるのだけど、それを前提としても、なぜ……と思ったのだ。

「男(とか少年)になりたかった」という気持ちは、わたしは抱いたことはない……ので、これは違う。

「BLで男性のことを理解したい」なんて、ヘソで茶を沸かせそうな世迷い言は、さすがに考えたことはないし、「現実の男性たちへの復讐心」というのもあてはまらない。ま、脳内でいけ好かないヤツらをやおい設定で不幸にすることはあるけど、BLは基本的に、ハッピーエンドであってほしいもの。

「現実の男性もこうであってほしい」などとBLを読みながら思ったことはない。だが、「現実の男性がこうであればいいのに」と感じたことは、あるかもしれない。

だけど最終的に行き着くのは、結局今のところ、

「現実とはまるで違う(=ファンタジー)男たちの色恋沙汰は、なんだか生々しくなく楽しめるから」

というところなのかもなぁ……と思うのだ。“生々しくなく楽しめる”ということは、“どこか他人事”な感覚というか、“客観的かつ俯瞰的に見る”感覚ともいえるかもしれない

ただ、わたしには、「男同士(=同性愛)の設定でのハッピーエンドに安心したい、縋りたい」という気持ちも多分にあるけれど――。

「どうしてわたしはやおい・BLが好きなのか」は、やおい・BLにハマり始めたころからの永遠の疑問で、これまでこのブログでも何度か取り上げてきたこと。「絶対的に正しい答え」はなかなか見つからないけれど、「なんとなく、コレかな?」というモノは少しずつ見えてきている感じはする。

そして、ハマって2年が過ぎ、オッサン職場をわずかながら経験した今、現実の男性社会な職場とBL世界の違いは、とどのつまり、「マッチョかマッチョじゃないか」ってことかもしれない、とも思う。体つきがマッチョなのと、脳みそがマッチョなのは違うのよ

ま、答えが見つかったからといって、それに納得してやおい・BLを読むのをやめられるわけじゃなさそうなのは、ハッキリわかっていることなんだけどね。
関連記事

Tags: 男という生き物 フェミ? ジェンダー 腐女子

Comment 7

2008.11.19
Wed
16:48

月読 #-

URL

ワタシねー。白状するとねー。
男は「熱帯魚」だと思ってるのー。
だからねーリアルな男を見ててもどっか水族館で綺麗な熱帯魚とかを見てる気分なのー(苦笑)
いえ、だからどうってことじゃないんですけど(笑)

編集 | 返信 | 
2008.11.19
Wed
19:30

森 #KKCKsE6M

URL

この間はご協力ありがとうございました~!
lucindaさんのご考察、なるほどなあと思いましたね。
確かに男女平等をうたっても、まだまだ男社会中心の企業は少なくない。
未だに仕事をするうえで「女だから…」とか言っちゃう人は多いです。
もともと男の人って成分分析にかけたらプライド100%で出来てます的なんだと思うんですよねー。
そのプライドの内訳が出世だったり、恋人だったり、遊びだったり。
根本的に女性の持っているプライドと質が異なるっていうかなんというか(笑。
爪の先まで色々なプライドで出来てますって感じですねー。
だから男の人って挫折すると復活できなかったりするんですよねー。ははは。
そんな男たちが作っている男社会は、もう見栄と欲望とプライドの塊状態。縄張り意識も猛烈に強いし、まともに張り合ってたら疲れちゃいますよね。
そういうところを息抜きできる女性は、やっぱり強いんだなあって思いますよ。
そんな中にあってなぜBLを読むのか!?
私は若干そういった男性の縄張り意識に憧れがあるので、それが影響しているのかとも思いますがそればかりじゃないですね。
多分そういった見栄と欲望とプライドの塊の男性が、そういうものすべて凌駕してまでも同性同士の恋愛に走る姿が多分凄いなあと単純に思っているのかも…(笑。
もちろんファンタジーなので夢見る少女状態で読んでますが、けしてリアルではありえない大映ドラマ張りの恋愛をしてのけるBLファンタジーを乙女の視点でキュンキュンしながら愛でているのかもしれませんねー。
とかなんとかいって単純に面白いからなんですけどねー(笑。

編集 | 返信 | 
2008.11.20
Thu
12:16

日菜子 #-

URL

lucindaさんこんにちは。
私はハタチ頃から読み始めたんですけど、ちょど就職活動の時期でしかも超氷河期。でも周りの男の子達は自分よりも成績も悪いし努力もしてない人まで内定もらってたりしてるのに
優秀で努力もしてる女の子には全然内定貰えなかったりっていう事があって
日本社会の現実を見せつけられてた時だったので私も男性になりたいとは思わないけど
潜在意識の中で無意識に女性である事を否定したい部分はあったと思います。
それでBLを読んで現実逃避して心のバランスをとってたんです。今もそうですけど・・。
BLの読者層が割りと大学生以上で20代30代が多いっていうのも
現実を嫌でも突きつけられる世代で自分で意識するしないに関わらず潜在意識の中に
こういう気持ちがあるんじゃないかなあと思っています。
あと読み続ける理由は本当にいろいろあるんですけど上手く言語化出来ません。すいません。でもBLが無かったら確実に鬱病になります。


編集 | 返信 | 
2008.11.20
Thu
22:11

月読 #-

URL

大変興味深い!

再び月読です。すみません。
上のおふたりのコメントを拝読いたしまして、なるほど~と大きく頷き、そしてまたおもしろいことに気付きました。
それは、lucindaさんもそうでいらっしゃますが、みなさん社会に出てから、あるいは社会を意識してからBLをお読みになり始めていらっしゃいますよね。ところがワタシは小学生、つまりまだ思春期も迎えていない精神的に未分化な時期に男性同士の恋愛物語に出会ってしまった。それにワタシは男性社会のリアルをまったく知らない場所に生きている。こういう違いはBLを読む理由、BLに飽きない理由にどういう影響があるのかしら?ちょっと興味深いと思いません?ワタシの男性感はどこか歪んでいるのかしら?(苦笑)とか考え始めたらなかなかおもしろい!支持する作家とかにも違いは出たりするのかしら?以前のアンケートもこういった角度で見るとまたおもしろいかしらん?(笑)なんて。

編集 | 返信 | 
2008.11.21
Fri
02:05

lucinda #-

URL

いろいろとコメントをありがとうございます! なんかこの記事、すごく反応が良くて、みなさん、思うところアリかなぁ……と思ったのでした。

>森さん
そう、男性のプライドの高さは、女性のそれとはまた違う感じだなぁ…と思います。何がどう違うのか、細かいニュアンスを表現できないんですが、なんかすごく「勝ち負け」にこだわる感じというかなんというか。そりゃ、女性も勝ち負けにこだわってるかもしれないけど…そこがまたなんか違う感じ……そしてそれって、垂直な人間関係にも繋がっているような気がしないでもないです。

>男性の縄張り意識に憧れがあるので
あああ、そうそう! 仲間意識、というより、縄張り意識という感じです。それがピッタリ。それが強いゆえに、仲間との結束が固そうにみえるところが……BLはこのあたり、うまーく「結束」>「ラブ」につなげている気がします。個人的な感覚ですけど…ふふふ。まあしかし、端的に言えば、わたしも、「BLは面白いから読んでるのさ」に尽きます。ええ。

>日菜子さん
ああ、シビアな時代を経験されているんですね。わたしも、バブル崩壊後に社会に出たクチなので、日菜子さんの「なんで!?」というような気持ち、想像できます。イジメとかイビリとかあからさまな差別とかがあるわけじゃない、でもなんだか「あれー?」と感じることがままあると、BLが現実逃避になるのは、すごく共感できますね。わたしがBLを読む理由の一つには、明らかに「現実逃避」ってありますもん。あ、この理由を書き忘れた!

>月読さん
いろいろコメントありがとうございます(笑)。
そうそう、わたしも、おっさん職場を経験しなければ、こういう感覚を抱かなかっただろうなぁと思うのです。なにしろそれまでは、男社会にいたわけじゃなかったですしね。月読さんからいただいた最初のコメント、「男は熱帯魚」も、わたし的に意訳すると「しょせん別の生き物」ということなんだと思うのですが、おっさん職場を経験する前後では、その感じ方が違うと思います。

リアルな男社会にいる人と、そうでない人との、BLを読む理由、飽きない理由には何か違いがあるのか!? わたしもすごく興味があります。支持する作家、っていうのも何か違いがあるかもしれないですね……うんうん。なんか、そういうことをふまえて、またアンケできたらいいなぁ……もうちょっと練りたい……。

編集 | 返信 | 
2008.11.21
Fri
11:26

ぴよこ #-

URL

BLを読む理由って難しいですよね。
私は中学から読んでますが、中学から女子校で大学院を出て就職せずに結婚したので、男性優位の社会を実感したことがありません。だから、男性社会での息抜きではないですね。
夫や父を見てると、「あいつの考えは社会では通用しない」という言い方をよくします。「自分とは合わない」程度じゃないの?と思うのですが、「個人の意見ではなく、社会の総意だ!」ということをアピールしたい様子。自分が常識のド真中にいることにこだわってるようです。
それに対して、趣味の多い男性ほど自由に「そういう意見もあるけど、僕とは合わない」と言うので、素の自分を解放する場所が少ない人は公に認められるということに拠り所を見つけるのかなーという気がします。そして、そういう立身出世的な発想に、女性は違和感を感じるのではないかと思います。
BLには、たとえエリートという設定でも、一直線に強くなる!という少年マンガ的発想をする男性が少ないですよね(そもそもゲイな時点でそういう競争から排除されがちだし)。だから、女性が違和感を感じる部分は省いて、連帯感や仲間意識といった女性があこがれる部分を残した、「女性好みの男性像」(あるいは、女性が、性別に関係なく社会でこうありたいと思う人間像)が描かれてる点が、働く女性たちにはイイ感じなのかなと思います。私は男性社会に触れてませんが、「男らしく」「女なのに」という発想があまりないので、マッチョ脳を持たない男性同士という所が肌に合うのだと思います。
・・・・・ただ、「だからってセックスまでせんでええやろ!」と突っ込む自分がいるのも確かで、結局のところ男同士の「ラブストーリー」に萌えるのは好きだから、ですねー。割としょっちゅう「なんで読むのか」を考えるのですが結局、「いやもう、対等に向き合う関係が書かれていて、男同士だと生々しくないし、たいていハッピーエンドだし、なんだか性欲も満たされて、おかーさん満足だよ!!!」という身も蓋もない感じで終わります。なんだろう、BL脳に産まれてきたんでしょうか。

編集 | 返信 | 
2008.11.22
Sat
02:56

lucinda #-

URL

もーう、ぴよこさんのコメント、面白すぎです! そして、
>自分が常識のド真中にいることにこだわってるよう
>自分を解放する場所が少ない人は公に認められるということに拠り所を見つけるのかな
鋭い……! 確かにそうだな、と思えるフシがいくつもあります。BLの男性は、おっしゃるとおり、女性好みの男性像ですよね。それがあまりに女性の好みに傾きすぎると、「リアルじゃない、いかにもファンタジーな男」な印象を与えるのかもしれないなぁ…と思ったことです。

身もフタもない感想は、わたしも同意で(笑)。というか、これにうなずく人は多いハズです。カンですけど。

編集 | 返信 | 

Latest Posts