「不幸な男」を捜してみたが

 25,2008 23:56
誰か、馬好きチーフの「際限なく手を加えたがる」暴走を止めてくれないか……!

いきなり叫んでしまったけど、今週も馬好きチーフにやられている。まったく、クライアントや外注先がおとなしいと思ったら、敵はここにいるよ――。とにかく、「●●のプレゼン資料、作ってくれる? 一番最初のプレゼンだし、時間ないから、それほど細かくしなくていいよ」と言っておきながら、仕上がったモノを見て、「ここはこうした方が……」「これは突っ込みが甘い……」「この表現じゃ魅力がない……」などとダメ出しし続け、挙げ句、「それを考えるのがアナタの仕事でしょ」とばかりに突き放す。あの、チーフの言う「細かくしなくていい」は、どの程度だったんですかね? ついでに、明日がプレゼンの日だって、わかってらっしゃいますよね、チーフ?

心の中で何百回も「バーカ、バーカ、バーーーカ!」(幼稚…)と罵っては、チーフのダメ出しする横顔に恨みの念を送っているのだが、まったく応えていないようだ。こうなったら声に出して罵っちゃうぞ――って、そんなことしたら仕事がなくなるじゃないか、わたし!――と、こんなアホな一人突っ込みを脳内で繰り返しているなどとは、よもやチーフは思うまい――。

いや、心の中で罵ろうが、声に出して罵倒しようが、あれはもうチーフの性分なのだ。だからどうしようもないと、頭ではわかっているのだ。わかっているからこそ、ふと、あの一節が頭に思い浮かんだに違いない。

それは、塩野七生のエッセー「男たちへ」で述べられている「不幸な男」。

塩野七生作品は昔大ハマりしたのだけど、この「男たちへ」は、とりわけ好きな作品の一つ。ファッションや恋愛、歴史などさまざまなアプローチで「男に望む、男のあり方」が軽快に綴られている。「不幸な男」は、この中で3回にわたって論じられているテーマ。

塩野さんによると、「不幸な男」とは、

1.原則に忠実な男
2.完璧主義な男
3.40代になっても迷っている男

ということなのだが、ううむ、馬好きチーフ、アナタは立派に「1.」と「2.」にあてはまっていると断言してさしあげます! 3.については、迷っているかどうかはわたしの知ったこっちゃないのでね。(※エッセーの詳しい内容については、長くなるのでここでは割愛します)

ところで、BLに、このタイプの「不幸な男」が登場している作品はあるかしら……とあれこれ記憶を探ってみたのだけど、チーフへの怨念に煮えたぎっている頭では、すぐに思い浮かばなかった。

大抵がハッピーエンドで締めくくられるBLにおいては、登場する主要キャラがどんなに欠点を抱えていても、それを優しく、時に厳しくフォローしてくれるダーリン(ハニー?)がいるもんなぁ……。たとえば、素直じゃない意地っ張りな受け(or攻め)にはけなげな攻め(or受け)が、尊大でわがままな受け(or攻め)には打たれ強くもピュア攻め(or受け)が――という具合に。だから、ダーリンがいなければ「不幸になるであるろう困ったちゃん」も、もれなく幸せになっている。

そういえば、この作品の受け・誉は、超完璧主義だった。

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(あらすじより)「嬉しいですよ、感じてくれて…声、沢山出していいですからね…」有能でクールな『氷の秘書』・誉は、何かと構ってくる美丈夫・及川が苦手。ある日、泥酔した誉が目を覚ますと及川の温もりが!なんと誉に迫られたと言われ??更に誉は、なりゆきで及川の秘密―実は次期社長候補―を知る。戸惑う誉に及川は灼けるような愛を告げ、傲慢に同居まで決めてしまい…誉の心とカラダは及川の悦愛に翻弄されて!?強引年下攻と、秘蜜の淫潤愛。

でもやっぱり、大らかで包容力のある攻め・及川が、誉を受け止めるからなぁ……。

書いていて気がついたのだが、BLキャラの「欠点」は、BLがエンターテインメントだからなのか、わりとわかりやすい「欠点」が多い気がする。意地っ張り、わがまま、優柔不断、冷酷――「原則に忠実」かどうか、「完璧主義」かどうかは、ぱっと見ただけ、あるいはちょっと話しただけではわからない要素だろう。けなげで包容力があっても、完璧主義で相手を消耗させかねない人は、いないとも限らない。

そういえば、同じ鳩村衣杏さんの、「ドアをノックするのは誰?」の受け・頼久も、完璧主義男だったかもしれない。ハンパじゃない完璧主義男を受けに設定して幸せにしてやる鳩村さん――深いなぁ……。やっぱり完璧主義男には、多少のことに動じない大らかなダーリンが必要なのね――。

ああ、馬好きチーフにも、大らかで包容力のあるダーリン(もちろん男だ)ができればいいのになぁ……。
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Tags: 鳩村衣杏 奈良千春 塩野七生 男という生き物

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