萌えはどこかでつながってる―その3.リバ dedicate to“シュミじゃないんだ”

 05,2008 09:36
「春を抱いていた」の岩城と香藤はリバだけど、わたし、リバが好きだ。思えばこの趣味にハマった時からリバに抵抗がなかった。リバは同性愛ならではの関係だと思っているし、最初に堕ちたタカムラ作品の二次創作が、加×合、合×加どちらもあって、しかもどちらも面白かったのが、ますますBLにおけるリバへの抵抗を失くしてしまった。さらにこの二次創作で、リバによって受け攻めの視点ばかりかストーリーの視点も変わるところに気付いたのもリバ好きを加速させたと思う。とどめに三浦しをんさんの言葉を借りるなら

「男と女」に置き換えられるような物語を、わざわざ「男同士の世界」でも再現して、それでどうなるというのだろう。……<中略>……「リバーシブル」という在り方はやはり、「なぜボーイズラブを描くのか」「なぜそれを読むのか」ということを考えていくうえで、重要な題材だと思うのだ。
(「シュミじゃないんだ」P17~18 より)

ということで――まさにその通り、異論なし!というところ。

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これまで読んだ商業誌の中で、リバが登場するものをかき集めてみると、手持ちの中にはこれだけあった。

春を抱いていた」(新田祐克)、「バディ・システム」「XI」(定広美香)、「ルールそのいち 完全版」(村上左知)、「君さえいれば…」(鹿乃しうこ)、「恋が僕等を許す範囲」(本仁戻)

マンガばかりだなぁ。そして、どっちかというと濃い目な作風……。

しかも前出の「シュミじゃないんだ」には、下記のような「リバーシブルの三パターン」が挙げられているのだが

1.下克上
 (A×Bがある日、Bが反旗を翻すことによってB×Aとなりそのまま安定する)
2.相手によって役割の替るリバーシブル
 (A×B、B×C)
3.カップル内リバーシブル
 (その時の気分によってA×B、B×Aとなる)

これによると、さきほどリストアップした手持ちのリバ作品は、どれも3.の「カップル内リバーシブル」となる。そりゃわたしの中で、リバといえば、カップル内リバーシブルだったけども――1.とか2.に相当するものはないのかなぁ……といろいろ探してみた結果、こんなことになった。

●下克上
甘い棘の在処」(萩野シロ)

●相手によって役割交替
秘密の唇、嘘つきな接吻」(萩野シロ)、「集密書庫の情事」(棗キカ)

うーむ……今度は小説ばかりだな……マンガもあるのかもしれないが、発見できず……。そしてやっぱり濃いというか線の太い印象。あ、それは萩野シロさんの作品のイメージか。

いやいや、マンガにしろ小説にしろ、リバが盛り込まれているという時点で濃い、ということかもしれない。ほら、しをんさんだって

現在数ある少ない「リバーシブル」物が、たいがい刺激的で深い内容を擁した物語であることが証明している。(P18)

とおっしゃってるもんね。

それにしても、なぜわたしはリバが好きなのか。もちろん最初に書いた理由は大きいけれど――BLにハマって2年、アホほど手当たり次第に読みふけり続けても変わらない、わたしがBLに求める「萌え」の一つ、「対等な関係性」が非常にわかりやすい形で表現されているからかもしれない――と思うのだ。

実はわたし、BLにハマってから気が付いたことがある。それは、BLにハマる前から、わたし自身は「対等な関係性」が描かれている作品が好きだったということ。ハマる前のことなので、もちろん男×男とは限らない。男×女でも、女×女でも求めるのは同じこと。海外小説だろうが時代小説だろうがミステリだろうがマンガだろうが映画だろうが、とにかくどこかで対等だと感じられる作品に惹かれ、そういう関係性に憧れていたのだ。例えば山岡荘八や司馬遼太郎の小説で描かれた信長と濃姫の関係とかね。例えばドン・ウィンズロウ作品のヒーローと、彼を振り回す強気なヒロインとかね。例えば映画「バウンド」のコーキーとヴァイオレットとかね。

ところが現実的には、そんな関係を結ぶのは難しく、かなり大変だ。とくに男×女の場合は。いや、同性同士だって対等であろうとするのはカンタンじゃないけど、男×女は最初から違うもの同士だし、おまけに世の中の主流カップリングゆえに最初から安定しちゃって、「対等」の認識のズレが甚だしい……可能性が高い。

そんな中でイキイキと対等な関係を築くBLのキャラたち――ファンタジーならではだな。そして男性には申し訳ないけど、男×男だから、ファンタジーとして容認できるのだと思う。女×女はともかく男×女はありえないと、もう頭の中でわかりきって、滅多なことじゃ受け入れられないの。そして、異性同士では不可能で、同性同士だからこそ体の関係も対等に見えるということで、わたしの中でリバといえばカップル内リバなんじゃなかろうか――と思うのだった。

さて、そうしてみると、手持ちのカップル内リバ作品は、どれもメインカプの関係は対等さを追求しているようだ。んー、でも「春抱き」と定広作品、そしてそのほかの3作品とで、ちょっと系統が違うような気がする。前者はカップルどちらも同じ仕事をしていて、仕事がらみの不安や失意を慰めるような形のリバだけど、後者は恋愛中心のストーリー。恋愛がらみでイロイロあって感情が高ぶった形のリバ、という感じかな。とくに「ルールそのいち 完全版」は、表面上何かあったわけではないけど、いつもは攻めだったエツが、理央を不意に受け入れたくなってそうしてしまう。
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まあ、元々お互いにネコってことで、リバのシーンもカワイイ。異色なのは、年の差カップルでオヤジが恋にがんばっている、鹿乃しうこさんの「きみさえいれば…」かな。いずれにせよ、「相手を受け入れたくなって」「相手を抱きたくなって」そうできる関係、男同士だからこそのファンタジーだよなぁ……と、しみじみ思ってしまうのだった。女はティンコないもんなぁ……。

「カップル内リバ」ばかり語っているけれど、「下克上リバ」はさておき、実のところ、「相手によって役割交替リバ」は、あまり関心がない。しをんさんオススメの「成層圏の灯」シリーズは読みたいと思っているけれども。

しかし手持ちの「相手によって役割交替リバ」唯一の本「集密書庫の情事」は、これまた違う萌えが隠されていたのだった。
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Tags: 萌えはどこかでつながってる リバ 三浦しをん 村上左知 ジェンダー

Comment 8

2008.05.06
Tue
15:00

乱菊 #pMXl.iIs

URL

村上左知さんの新刊「非常階段で逢いましょう」もこのエントリーのテーマにちょっと当てはまる・・・のかな?
タイプ的に言うと
>2.相手によって役割の替るリバーシブル
 (A×B、B×C)
B×Cがメインカプで、元々BはAに抱かれていた(遊び)ネコちゃんであり、CはAに片思いしていたという図式。
文字だけだと分かりにくいかな・・・(;´∀`)

自分の遊び相手に真剣に恋する姿に絆され、ネコがタチに挑戦する様が、すごく可愛くもありエロくもあるのですー。
だってネコちゃん歴長いので、攻めてもハフハフなってんですよー!
これまた逆になりそうな予感もする・・・・・・。

相手があまりにも愛おしすぎて、なれない役割を担っちゃうという、いやあコレも愛だね!
村上さんって受け子への拘りがちょっと独特で好きです。
絵とかアッサリなんだけど、そこはかとなくやらしーですしね(笑)

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2008.05.06
Tue
18:17

lucinda #-

URL

あ、わかりますわかります>「非常階段…」。
村上さん、やっぱりリバ好きなのかしら……。
なんか、わりと素朴な絵柄なのに、妙にエロいですよねー。

>相手があまりにも愛おしすぎて、なれない役割を担っちゃうという、いやあコレも愛だね!
村上さんって受け子への拘りがちょっと独特で好きです。

あああ、「ルールそのいち」にも、それ、ハマりますよね。村上さんのその拘りは、腐女子の、いえオトメのファンタジーの一つかも!

編集 | 返信 | 
2008.05.07
Wed
01:38

miriam #SFo5/nok

URL

私わりとリバ好きですよ~。vivian先輩は絶対NGみたいだけど。

リバと言っていいのかわからないけれど、木原音瀬さんの「Weed」の岡田と若宮も途中で逆転ですよね。あと「SEX PISTLS」の熊の子(名前忘れた・・・)も途中から受けになった気が・・・(笑)
「成層圏の灯」シリーズはぜひ読んでみてください!鳥人作品の中では一番オススメです。話も絵柄も。

編集 | 返信 | 
2008.05.07
Wed
09:03

キノコッチェリ #-

URL

ご存じかもしれませんが、鹿乃しうこさんの「ナツコイ」も 素敵なリバ作品でしたよ。

編集 | 返信 | 
2008.05.07
Wed
12:44

かりんこ #-

URL

こんにちは。

まずは連続レビューお疲れ様でした!
どれもすごく読み応えがありました。
でもコメントは楽しみにしていた「リバ」考察に(笑)

私はまだリバを読んだことがなくて、好きなのか嫌いなのかも分からないので、lucindaさんのお勧めがあれば・・・みたいに思ってたんですが、数が少ない上に濃いいんですね。
どおりで今まで遭遇しなかったはずだ(笑)
でも村上さんの作品や「集密書庫」は気になるので探して読んでみますね。

現実的には難しい「対等」な関係をBLに求めてる、っていうのはありますね。
そして私の場合、その前提の上に「あえて受け入れる側を選ぶ」男気のある受がどうにも好きみたいです(笑)

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2008.05.07
Wed
22:31

lucinda #-

URL

>miriam先輩
そうそう、先輩はリバ、平気なんですよね。
「Weed」、そうでしたっけ? あー、わたしったらなんでこんなに忘れてるんだ!?
「SEX PISTLS」は、読んだことないんですよねぇ。興味はありつつも……。そしてやはり、「成層圏の灯」シリーズは読まなくては!

>キノコッチェリさん
コメントありがとうございます。
そーでした。「ナツコイ」もリバでしたね。しうこさん、いろいろなエロに挑戦してるなぁ…と改めて思います。

>かりんこさん
お待たせしました・笑。って、でも、なんかコメントを読んでいると、いろいろ考えたりします。そういうことを考えてる時は、きっとヘラヘラしてるはずです。いかん。

そうか……かりんこさんは、リバはまだ読まれたこと、ないんですね。村上さん、「ルールそのいち」、いいですよー。「春抱き」もいいですけどね。濃くてちょっとクサい感じが耐えられるなら、定広美香さんもいいと思いますけども、まあ、濃いですから。ええ。

>その前提の上に「あえて受け入れる側を選ぶ」男気のある受
ああ、これ、方々で耳にします。うん、なるほどなぁ……わかるなぁ……と思いつつ、でもそれに相当する受けが誰(どの作品)なのか、よくわかってないことに、最近気付きました。バカだよ……ワタシ……。

編集 | 返信 | 
2008.06.01
Sun
03:21

ワラジ #j2ibdPwM

URL

『BL リバ』で検索してきました。

色々リバを探してます。
やっぱり、一番リバーシブルが好きなんです。
一番すきなのは、3.のカップル内リバですね。
『成層圏の灯』は大好きな作品です。
文庫化されて手に取りやすくなりました。
少し残念なのは、リバシーンは前半のみと言うこと。

『ルールそのいち』はなかなか可愛らしかったです。

元々、定広美香先生や鹿乃しうこ先生、もう一方上げさせていただくと、内田一菜(内田一奈)先生の『「して。」「motto!」』こちらも、やや偏りがあるものの一応、リバです。-を読んでいました。
濃いの好きなんですね、私。

『春抱き』は自分の中では下克上リバのような気がします。(若しくは精神的リバ)
話が進むにつれ、岩城が攻めてるシーンってないですよね?

ちなみに、自分はリバ以外にも濃い作品を好んで読む傾向にあるようです。

最後になりましたが、リンク貼らせてもらってもよろしいでしょうか?

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2008.06.01
Sun
14:43

lucinda #-

URL

ワラジさん、コメントありがとうございます!

ワラジさんもリバ、お好きなんですね。そして、カップル内リバがお好きということで……仲間だ(笑)。「春抱き」、岩城が攻めてるシーン……って、エッチシーンで、ってことだとすると、11か12巻で出てきたような。でも、基本的に体は、香藤×岩城ですよね。ただ、精神的リバというのは、その通りだと思います。

内田一菜さんは、いくつか読んでいるのですが、そういえばその中にリバもありました! たしかに彼女の作品も濃いですよねぇ。

リンク、どうぞよろしくお願いします。
わたしからもリンクさせてください。改めてワラジさんのブログにお邪魔しますね~。
これからもよろしくお願いいたします。

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