萌えはどこかでつながってる―その2.「P.B.B.」&「春を抱いていた」

 04,2008 23:13
えー、これまでこのブログで、何度となく「『P.B.B.』はイイ!」と主張してきたのだけども。

何がいいのかと問われれば、大好物のガテン系が絡んでるし、しかも型枠大工=ガテンとホスト=水商売というその職業の組み合わせが、「男社会」の両極端を表しているようで面白いし、主役カプの純佑×忍の関係がツボだし――。
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転職の本音もわからない、それどころか自分の本音もしゃべらない、しかし周りとうまくやっていく器用で要領がよく如才のない忍に、純佑は焦れつつも惹かれていく。純佑は忍の表面上の言い訳(というか言い逃れ)を見逃さない。時に追い詰めて忍の本音を引き出す。

実は、「P.B.B.」、なんかちょっと「春を抱いていた」と似ている気がするなぁ……と、常々思っていた。どっちも夫婦モノだとか、どっちも「もう好きなようにやっちゃって」と思わせる突き抜け感いっぱいだとか、どっちも「そんな世界はないだろう」的ある意味パラレルワールドだとか――そういうこと以外に、似ているところがあるような気がするんだよなぁ……なんだろう……と、いろいろ考えてみたのだけれど。

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「春抱き」の主役カプの職業は、最初はAV男優で、やがて売れて一般作品の人気俳優となる。俳優という仕事も、人気ひとつで明日はどうなるかわからない、いわば水モノ。「P.B.B.」のホストとちょっと似ている。

最初は張り合っていた岩城と香藤だけど、次第に、お互いにお互いの仕事に対する姿勢に惹かれ、人柄にも惹かれていく。しかも、香藤は岩城が時折見せる弱さに敏感に反応し、時に容赦なくそれを暴き、最後には寄り添って包みこもうとする。

――最初に「似てるかも…」と感じて思い浮かんだのは、この職業設定と「攻めが受けを追い詰めて包み込む」態度。特に攻めが受けの本音や本性を引き出すまで追い詰める場面は、ページ数的にはそれほどボリュームはないのに、結構ヘビーで心に残る。ジーンとしてしまう。ということは、読んでいるわたしは、明らかに攻めの追求と受けの戸惑いのどちらかに、あるいは両方に、シンクロしてるってことだよなぁ……。

攻めが受けを容赦なく追い詰めるといえば、この作品もそうではあるのだけど。
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学生時代からずっと恭一に片思いしてきた今ヶ瀬は、まあ、読んでいて呆然とするぐらい恭一に迫り、追い詰める。恭一の安易な言い訳を受け入れるフリをしながらも、最終的には見逃してやらない。恭一は抵抗しながらも今ヶ瀬から離れられなくなり、ついには今ヶ瀬を受け入れる。

――たしかに、ここまでは似ている。今ヶ瀬が恭一に突きつける恭一の弱さ、恭一がラストに今ヶ瀬に決断を迫るシーンなんて、ヒリヒリしそうな緊張感に満ちていて、かなり印象的だもの。

でも――「P.B.B.」の3巻を読んで、やっぱりこれは「春抱き」と似ている気はするけど、「窮鼠…」とはちょっと違うかもしれない――と思った。「P.B.B.」と「春抱き」にあって、「窮鼠…」にはないと感じたもの、それは、受けと攻め、互いに対する包容力と、キャラたちの家族が描かれていることといいましょうか。

純佑と忍には、ちょっと複雑な家庭環境や夢の挫折など、それぞれに苦い過去がある。岩城と香藤は、仕事への不安やプレッシャーが時に重くのしかかる。受けだろうが攻めだろうが、自分の弱さを相手にさらけだす。けれどどちらも、相手によってそれを乗り越えたり、癒されたりする。岩城と香藤なんて、リバだし(純佑と忍もリバでもおかしくないと思うのだが、ま、純佑がダメなのかもね)。

ともかく、ここで描かれる「互いに対する包容力」とは、主人公カプの対等な関係性を象徴しているような気がしてならない。うーん、これはBLだからこそ美しく描ける世界だな。このヒトたちの信頼感というか絆の強さが、なんだかまぶしい――。

またどちらの作品にも、主人公たちの家族が登場し、結構濃く深く関わる。ちょっとワケありな家族との関係を、恋人がしっかりフォロー。しかもそれによって、また2人の関係がグッと深まるというオチはお約束。純佑以外は、自分たちが同性とつきあっていることが家族に知られているところが興味深い。続きモノである以上、家族の関係は避けては通れないということなのかしら。それとも作者の年齢的に、家族との関係も描きたくなってきた……というところなのかしら。

ふと思ったのだけど、キャラ的なタイプとしては、どっちかというと純佑と岩城、忍と香藤が似ているんじゃなかろうか。でも純佑は攻めで岩城は(概ね)受け、忍は受けで香藤は(概ね)攻めだ。真逆な設定なのも、ちょっと面白い。

ともかく、「P.B.B.」と「春抱き」、どうして似ていると感じたのか――現在のところの結論としては、主人公カプの互いに対する包容力と、家族の登場が大きいかも、ということにさせていただきます。というか、させてください。<誰に頼んでる…?

ところで、「『P.B.B.』と『春抱き』、似てるような気がするんですよねぇ」ともとさんに話した時、もとさんからこんな答えが返ってきたのが面白かった。

――「P.B.B.」と「春抱き」、どちらも「分かる程度のうその混じった世界観」が築かれていて、そのうその部分が、「ああ、うそだよね」と軽く流せて邪魔しない、妙に安心する感じがします。

でもわたしにとって、「P.B.B.」と「春抱き」の決定的な違いみたいなのがあって、それはリアリティの微妙な差じゃないかと思ってるんですよね~。「P.B.B.」は、絵がリアルで「こんなホストクラブなら行ってみたい!」と思ってる時点で、絶対ない、作り物って思ってるんでしょうね。でも、「春抱き」の方は、何かどこかでホントにこんな2人のいる世界がありそうな気がしてるんですよね~。ないとわかってるのに、何かありそうな気がやたらにするというか――


なるほどねぇ……。どっちも「こんな世界はない!」と思いながらも、妙なリアリティがある。けれどたしかにわたしも、「春抱き」の方に、「どこかでアリかも」と思っているかもしれない。んー、「春抱き」の方が、ある意味ギャグかというぐらい徹底したパラレルワールドっぷりだけどね! その徹底振りが、「どこかにアリ」と思わせるのかしら!?

#「窮鼠はチーズの夢をみる」は、携帯サイトで続きを読めるらしい。うぅぅ……わたしの携帯、ネットに弱いんだよねぇ……続きが読みたい……!
#ということは、続き次第では「窮鼠…」、「P.B.B.」や「春抱き」に似ていると思える展開になっているかもしれない、ってことか……やっぱり続き読みたい~!
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Tags: 萌えはどこかでつながってる 新田祐克 鹿乃しうこ 水城せとな 擬似家族 リバ

Comment 6

2008.05.06
Tue
15:26

もと #4pDgvQA2

URL

なんと! 窮鼠~の続き読めるんですか!?
私も読みたいなぁ。雑誌掲載分、読み逃したから、先が気になって気になって!!!

窮鼠とその他の違い・・・私もまたまた考えてみました。
ってか、何で全然同じフィールドと思ってなかったんだろう?って考えたんだけど、
窮鼠って、割と、自分本位ですよね、全員。
今ヶ瀬も通い妻して、いろいろやってはいるけど、結局「自分が」そうしたいからしてる感があるし、恭一なんてもう!ww
あいつが悪い、あいつのせいだ、あいつがって・・・すべてにおいて逃げまくり。
今ヶ瀬に優しいのだって、多分人に冷たい自分が嫌だから優しくしてるんじゃないか?と思うし。
言ってみれば、二人とも女々しいw
でも、人間として二人ともリアルで、いても不思議がないし、嫌いじゃないですけどね、こういう人たち。
というか、リアルすぎるのかな?
P.B.Bの二人も、春抱きの二人も、誰も彼も相手のことを考えすぎなくらい考えてますけど、これが既に微妙にファンタジーですよね。
だけど、そこが好きなんだろうと思います。
全員雄々しいって気がするんですよ。

あ、もうひとつ決定的な違いが。
「嫌な女が出てくるかこないか」
女の存在ってのは、私にとって変な出方をすると不協和音的に感じて、イラっとするんですよね。
窮鼠はそれですらスパイスにする力量があったんで、あんなに嫌な女が出まくりでも我慢できたけど、下手な人が女出すと、一気にさめる危険性がありますからね(^^;
P.B.B、春抱きには、比較的いい感じで女の人が出てて、安心するんですよね。二人を邪魔しないし。
邪魔するのが男ならそう思わないのになぁ。
何で女だと嫌なんだろう。あれかな、同属嫌悪? 単なる嫉妬??w

編集 | 返信 | 
2008.05.06
Tue
18:12

lucinda #-

URL

そう、「窮鼠…」はケータイで読めるらしいです。しかも! おととしくらいに本誌についていた小冊子か何かの作品の続きまであるそうです。
ガー、もとさん、読めるなら、ぜーひー!!
小学館 モバフラ で読めるらしいっす。
http://cheese.shogakukan.co.jp/mobile/index2.html

「P.B.B.」と「春抱き」が似てるような気がすーるー…とごちゃごちゃいって、なんかいったん整理したくてブログに書きましたが……、「窮鼠…」は、本当に、一方がギリギリと一方を追い詰める感じが、ちょっと似てるなぁ……という程度で取り上げたんですよ。それにわりと題材がヘビーでもあるし。

でもねぇ、もとさんのコメントで、そうだよー、なんか違和感あったのは、「窮鼠…」のキャラたちはみんな自分本位だってことだよなぁ……それにくらべてP…と春…のヤツらは相手のことを考えててエラい……としみじみ思いました。もとさんはエラい……。

あ、それにたしかに、女性の出方が違いますね。女ねぇ……同属嫌悪なんですかねぇ……。だからビアンにしちゃうのかなぁ……。

編集 | 返信 | 
2008.05.06
Tue
22:08

もと #4pDgvQA2

URL

教えてもらって、さっき早速読んでみたんだけど…

ヤバいす! ああもう何て言っていいんだか!o(*>д<)o

ないよ、これないよ、なんなのこのジェットコースターストーリーは!
正直許せん!!
この続きがなかったら、収まりつか~~~~~んヽ(` Д´*)ノウキー!

編集 | 返信 | 
2008.05.06
Tue
22:11

lucinda #-

URL

ええええっ!? なんですか、その思わせぶりな感想は!?
いや、続きはあると信じてる……
それがまとめてコミックになると信じてる……
↑根拠はないけど胸の前で手を組み合わせて祈る感じで。

編集 | 返信 | 
2008.05.06
Tue
23:57

もと #4pDgvQA2

URL

私も信じてる!! この続きが出て一冊にまとまるって信じてる!!!
つか信じないとやりきれないよ・・・だめ~!こんなんだめ~!許せない~!
・・・ただ、読み返すたび思うけど、ホントこの人は容赦ないね。
こっちまで毎回追い詰められちゃってさ、切羽詰っちゃいますからね、色々。
嫌なところをこれでもか!的に見せてくる感じが・・・実に絶妙。ギリギリ許せる辺りまで見せてきますね・・・。

でもって、この人の場合は、あるいはハッピーエンドじゃない場合も十分ありえて考えられるから怖いんだよ。安心できないんだよ。
あ、それか! なんか安心できないこの不安な感じも、P.B.Bや春抱きと違うんだと思います。
あれはどうなっても最後には丸く収まるってわかってるからなぁ。
予定調和なんだけど、それでいいと思ってる自分がいるんですよね。

正直、そんなのはファンタジーと思いつつ、いや、だからこそ、ハッピーな気持ちにさせてもらいたいと思ってるのを、微妙に裏切ってくれるんですよね。
ああ、恐ろしい。でもハマらせる吸引力を持ってるから余計に怖いですよ(;´Д`)

編集 | 返信 | 
2008.05.07
Wed
22:13

lucinda #-

URL

あああ……もとさん、思わせぶりすぎるから……! いやでも、なんとなく想像できるところがステキ・笑

水城さんねぇ……たしかに、容赦ないですよね。ほかの作品読んでも、「そういう結末なのか……」と思ったことを思い出しました。でも読ませるところがさすがというかなんというか。

>なんか安心できないこの不安な感じも、P.B.Bや春抱きと違う

なるほど! すごくしっくりくる分析です。うんうん、「絶対ハッピーになる」って安心感、ありますもんね、P.B.Bや春抱きは。逆に「どうなるかわからない」展開が、レディコミっぽいイメージ……なんてね。

編集 | 返信 | 

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