萌えはどこかでつながってる―その1.ガテン

 03,2008 22:53
あれこれとBL本を読み散らかしている日々に変わりはないのだけど、「これ、面白い!」と思っても、なかなかレビューを書くところまで辿りつかない。体力不足で――orz。

しかしある日、わたしは気がついた。レビューを書きたいなぁ…と思った作品のいくつかは、わたしが以前からいいなぁ…思っているいくつかのテーマや設定にリンクしているんじゃないかと。

つまり、

1)BLにおいていくつかある、わたしの“好きなテーマor設定”。
2)そのうちの一つ、Aにあてはまる作品をピックアップし、レビューを書く。
3)その作品は、“好きなテーマor設定”のBにもあてはまるようだ。
4)次にBにあてはまる作品を新たにピックアップしてレビューを書く。
5)その作品は、“好きなテーマor設定”のCにもあてはまるようだ。
……以下略……

という風に。

多少(いや、かなり)のムリヤリ感は否めないけれど、思いついたら試してみたくて仕方ないタチなので、このまま突っ走ることに決めました。というわけで、題して「萌えはどこかでつながってる」スタート。第1弾は「ガテン」。

ガテンと聞いて、真っ先に連想する言葉は、「建築・建設系」「肉体労働」、そしてやはり「男の世界」。そりゃ、社会は男女雇用機会均等法によって、建築・建設系ガテン職種も女性に雇用の門戸が広げられていることは知ってますよ? それでもやはり、圧倒的に「男が多い」イメージは拭えない。そこで必要とされるのが、「力」だからなのかしら。

そんな建築・建設業界が舞台のこの作品。Webで連載されている時からダイスキで、書籍化されるのがどんなに待ち遠しかったことか!

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建設現場で起きる事件、元請会社の理不尽な仕打ち、職人たちの離反――ああ、これほどまでに現場の様子が克明に描写されているBLって、ほかにあったかしら!? 仕事にプライドを持ち、職人たちを大切にしようと奔走しつつ、親の代からの借金を返済しようと奮闘する矢倉の四苦八苦ぶりは、なんだか時々耳にする建設不況のニュースを思い出させる。そう、どんな仕事においても、元請会社は現場に立つわけじゃないんだから、現場の苦しみってものはわかんないわよね!――と、自分の過去を振り返って思い出し怒りをしてみたり。

そんな矢倉と、矢倉とは商売敵であるはずの村川の関係も、男の意地やプライドがパンパンにみなぎっている感じ。とくに矢倉、最後の最後まで村川には甘えられないと気持ちを張り詰めているのだけど、それが時に痛々しくもあり、でも「そのままがんばれ!」と応援したくもなるような。それはひょっとしたら、矢倉の意地や、「あいつに負けたくない」という気持ちが、読んでいて納得できるようにビシビシと伝わってくるからかも。

しかし村川が矢倉を助けようとするタイミングが、これまた絶妙なのだ。いい男だよねぇ、村川……。矢倉の誇りを傷つけないように、しかし限りなくカッコよく矢倉を助ける。さすが攻め様、と思わせる包容力。寄ると触ると矢倉にちょっかいを出してしまうメロメロぶりもカワイイ。

建築・建設業界は、鳶、左官、塗装などなど、さまざまな職人が活躍する業界だとは知っているけど、一つの現場に大小いくつもの会社が関わっているそのシステムが、すごく複雑そう……というイメージがある。そんなシステムが、ちょこっとだけわかるのも、この作品の面白いところじゃなかろうか。たとえば、同じゼネコン内で仕事をする他社の職人を奪わない、とかね。

萩野シロさんの「秘密の唇、嘘つきな接吻」「優しい唇、意地悪な接吻」も、建築・建設業界が舞台だったけど、それよりは、より「現場」に密着している感じがするのが、この作品だと思う。

うーん、イキイキとした現場の描写、主役カプの関係、なんだか「許可証をください!」シリーズを思い出させるなぁ。そういえば「許可証をください!」も、仕事はガテン系だ。
どうしてこんなにガテン系が好きなのか、わたし――。

考えてみるに、ガテン系は「働いている」ことが目で見てわかりやすい。何しろ体を使って汗水たらして働いてるもんね。そして体を使うってことはガタイもいい人が多いってことで、基本的に、細くても力こぶができるという、好みの体を持つヒトが多い。ああ、こういうことを書くからマッチョ好きだと言われるのよね……いや、好きだけどさ。

また、「埃まみれ…」にしても「許可証…」シリーズにしても、主役二人の関係は、「力」がぶつかり合い、せめぎ合い、拮抗しているという感じ――BLにはおなじみの、「あいつには負けたくない」的なライバル心、プライドがてんこ盛りだ。ライバル心やプライドは、別にガテン系業種じゃなくても存在するけど、ガテン系業種だとよりわかりやすく際立つ感じがするのは、気のせい? そしてそれが、いたくわたしの萌えを刺激するのだ、きっと。

さて、ガテン系でマンガといえば、やっぱり鹿乃しうこさんでしょう!

しうこさんのガテン萌えは、作品を辿っていくと結構長い。しかし――作品の中で現場や仕事の様子は描かれてはいるものの、ぶっちゃけていえばその割合は、「埃まみれ…」や「許可証…」に比べたらかなり少なめだと思う。

ところが、それでも読んで満足。キャラたちがガテン系職人であることも納得。それはなぜなのか――と考えるに、やっぱりキャラたちの「ライバル心やプライド」が、しっかり描きこまれているからかもしれない。

「~気」シリーズは、どれも鳶職人が主役だけど、「大人気」は、受け攻めどちらも鳶職人。
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ガテン系職種は、何よりも体が資本。過去にワケありの人がガテン系職種に就く――というイメージはあると思う。中野も、少年院に入っていたことのあるワケありの男。しかもそこで過酷な経験をし、周りの者になかなか心を開かない。おまけに超暴力男。

そんな中野が、自分を慕う目白に少しずつ心を開いていくのだ。二人の関係は、レイプから始まるのだけども――その後それを後悔する目白の真っ直ぐさが「男前」。少年院で中野を思うままに犯していた看守が現れた時も(これは「生意気。」に収録)、過去をエサに中野を脅す有坂からも、中野を守る。なんだろうなぁ……目白のそれは、鬼退治に行った伝説のヒーローの「気は優しくて力持ち」な感じ。中野じゃなくても、目白にはクラリと来るじゃろうて。

ツンデレなんてものじゃない、ツンツンな中野が時折見せる笑顔や態度が、えらくカワイイ。最後の「お前に嫌われたくない」という中野のセリフは、もう最高に胸キュンでしょう。まあ、この中野のつっぱり具合、そして目白の潔さと優しさが、なんというか「男子かくあるべし」的理想っぽくもあり、それがガテン系であることによってくっきりと浮かび上がってくる――ような気がするのだった。

しうこさんのガテンものといえば、もう一つ、わたしの好きな「P.B.B.」があるけれど、それは“その2”で。
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