もう馬に夢中 2

 21,2008 05:29
後から分割した馬祭り。紛らわしいことをしてすみません。

競馬といえば、真っ先に連想するのがジョッキー(個人的には)。馬主×ジョッキーの作品がこちら。
スウィート・サクセス (リーフノベルズ)スウィート・サクセス (リーフノベルズ)
高尾 理一

リーフ出版 1999-06
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きっかけは「卑劣な取引」。それでも、17才も年上の男・北川に恋をしていると自覚した遙は、その激情を男にぶつけずにはいられなかった。「どうして、俺がイヤイヤ抱かれてるなんて思うんだ? 何回も何回も俺を抱いたくせに、俺にはあんたの本気がわかったのに。最初に抱かれただけでわかったのに……!」――身体だけだった恋愛ごっこは真実になるのか。

登場する主な馬:シルバーアロー、ブランシュール(どちらも葦毛)

馬主×騎手。作品紹介のあらすじを読むと、なんだかとてもシリアスそう。だが最初こそ、馬主の北川が、遙が可愛がっていたシルバーアローと、その娘・ブランシュールへの騎乗をたてに体の関係を迫る――という緊迫感が漂うものの、2人の気持ちが通じ合ってからは、けっこうのんびりした雰囲気でストーリーは進む。ま、優秀な繁殖牝馬・シルバーアローの産んだ仔馬をめぐる北川と未紀(女性)の馬主同士の駆け引きや、未紀の騎乗依頼をめぐるエピソードなどは、ちょっとなまぐさい感じだけど。

新米ジョッキーの遙は、ブランシュールに騎乗するための北川との取引について思い悩む。自分は卑怯な方法で騎乗権を掴み取ったとか、自分を可愛がってくれる先輩ジョッキーの山野を裏切ったとか……。おまけにそんな後ろめたさがあるために、北川に横恋慕する未紀に、山野や調教師の前で当てこすられてしまうのだが、北川は最初から、ブランシュールには遥以外は騎乗させないと決めていたことがストーリーの半ばで判明するのがねぇ……。北川、そんなことは早く教えてやれ!

この作品では、シルバーアローと遥のふれあいの様子がちょこちょこ描かれていて、そのシーンを読むたびに、ほっこりしてしまう。馬は賢い動物だというけれど、自分を可愛がってくれる人間に久々に会っても、わかるものなのかなぁ……。遥の写真がシルバーアローの馬房に掛けられているというエピソードは、「いくらなんでもフィクションだろう」とは思っていても、ちょっと切ない……。

しかし馬主×騎手の物語は、現在までわたしが読んだ中では、この作品の方がドラマチック。レースの臨場感もビシッと伝わってくる。
G1トライアングル (ディアプラス文庫)G1トライアングル (ディアプラス文庫)
いつき 朔夜

新書館 2005-11
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漆黒の強く美しいサラブレッド「ラクシュミ」に惚れ込んだ若手ジョッキー・清見は、馬主である星生に、ラクシュミに乗せてほしいと直訴した。星生は「勝てばよし、負けたら私の意のままになるなら」と、とんでもない騎乗の条件を持ちかけてきた。クールな男から出されたその提案を、勢いで受けて立った清見だったが…!?

登場する主な馬:ラクシュミ(青毛)

高尾さんではなく、いつき朔夜さんの作品。いつきさんも競馬、というか馬が好きなんだなぁ……と、読みながら思った。それにしても、賭け金以外にも巨額の金が動く競馬の世界。その中で馬を持てる馬主は確かに金持ちには違いなく、リッチであることが一つの特徴のようになっているBLにおいては、誠に都合のいい「攻め」なのかも。そして、ただでさえ小柄なジョッキーは、受けとしてイメージしやすい……ってことでしょうかね。

ともかく、この作品でも、憧れの馬の騎乗権と引き替えに馬主との体の関係が持ち出される。でもここでは、レースの勝敗がカギ。それゆえ、G1レースの様子や、レースをめぐる騎手、馬主、調教師、厩務員の関係に、緊張感が漂う。おまけに清見と星生、そして清見と幼馴染で清見を想い続ける厩務員・亮太の三角関係も絡まって、緊張感も二割り増し――。

清見が、先輩ジョッキー・富永からの当てこすりや嫌がらせを受けつつも、見事に日本ダービーを勝ち取るシーンにゾクゾクした。レース模様はもちろんなんだけど――レース前の、パドックでのベテラン厩務員・佐伯とのやりとりや、レース後、清見の興奮をトイレでなだめる星生の様子が、まるで見ているようにくっきりと思い浮かべられるような。落馬の危険をおして菊花賞を勝ち取ったシーンもよかったなぁ……。清見は、父親もジョッキーだったのだが、レース中の落馬がもとで亡くなったというトラウマを抱えている。それを克服する手助けをしたのは星生なのだが、「ご褒美は…」でも準は落馬の恐怖を克服するのに苦労していたし、やっぱり落馬は怖いんだなぁと、妙なところで感じ入ってしまったのだった。

清見をめぐる星生と亮太の三角関係は、ラクシュミの蹄鉄を故意に緩めるほど亮太を追い詰めたけれど、「自分の中の星生と亮太のポジションは、どちらも取り替えがきかないものだ」という清見の悟り(?)と、亮太の厩舎出奔によって何とか解決。爽やかにきれいに解決しないところもリアリティがあっていい。でも、星生が自分の部屋で、清見をすっぽんぽんにし、サラブレッド・マーチに乗せて歩き回らせる「人間パドック」のシーンは、ちょっとフいたけどね。

そして、ラクシュミですよ! とっても誇り高くて賢い馬なのねぇ…としみじみ。レース前に蹄鉄を緩めて落蹄の憂き目にあわせた亮太からのエサを拒否するのだ。骨折で引退し、種牡馬として生産牧場に戻っても、久しぶりに会う清見に駆け寄って懐くのだ。ううう、なんてカワイイの……! 清見が別れ際、ラクシュミに「置いていかないでくれと言った、その俺がおまえを置き去りにするんだ。許してくれなんて言えないよな」と涙ながらにつぶやくところは、ちょっとウルウルきた。わたしも、馬と強い絆を結んでみたい――儚い望みだけどさ。

動物が活躍する作品は珍しくないと思うけど、馬は体がデカいせいなのか、それとも使役動物や経済動物といった役割のせいか、その存在感はハンパじゃないような気がする。ああ、なんだか馬の魅力に遅ればせながら気付かされたよ――あんなに友人たちに力説されていたのに。そしてようやく、「重賞レース」は何なのか、「三冠レース」「牝馬三冠レース」が何なのか覚えたよ――これまでさんざん、友人知人が教えてくれたにも関わらず、ちっとも覚えられなかったのに。

そろそろネットで注文した、「スウィート・サクセス」の続編「スウィート・ラヴァーズ」が届く予定。どうやら続編では、遥はブランシュールと牝馬三冠レース(桜花賞、オークス、秋華賞)を制するらしい。うーん、楽しみだ、続編! 

きっとしばらくは引き続き、競馬だ馬術だ乗馬だカウボーイだ牧場だ……と、馬馬しい日々を送り続けるに違いないよ――。
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Tags: 馬ものBL 高尾理一 甲田イリヤ いつき朔夜 ホームラン・拳

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