先月の作家買い 4

 16,2008 23:13
12月中旬以降に出た贔屓の作家の新刊は、すべて年明けに購入。その詳細は下記の通り。

西田東
■「素晴らしい失恋」
■「青春の病は」
■英田サキ「愛してると言う気はない」
■宮本佳野「ネーム・オブ・ラブ」
よしながふみ
■「一限めはやる気の民法」(1巻、2巻)
■「大奥」 3巻

読んでみると、ちょっとビターテイストな作品が多かったような。そしてどれも、甲乙つけ難いんだよなぁ――うーん、この中で一番よかったものってなんだ?――と考えているうちに2日くらい経ってしまったので、今回は「一番」はナシ。いや、読者にとってはある意味、嬉しい悩みよね。

「一番」はないため、すべての感想は折りたたみます。
素晴らしい失恋 (バンブー・コミックス 麗人セレクション)素晴らしい失恋 (バンブー・コミックス 麗人セレクション)
西田 東

竹書房 2007-12
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短編集。表題作作品があるものの、どの作品もタイトルの「失恋」が絡む。といっても、直球ヒネリなしの「好きな人に振られました」的失恋ではないところがポイント。恋によって何かを失ったり傷つけたり……ってこともある、とでもいいましょうか。そして、恋の苦しさ、切なさ、幸福感がそのまんま描かれているわけではないのも印象的。何人もの行きずりの男(または女)と関係を持つやりきれなさ、失ったものから目を背けようとする小心さ、何とかしたいと思う焦り……などなど、重層的に綴られているキャラたちのさまざまな行動や感情が、結果として恋の苦しさ、切なさ、幸福感を描き出している、という感じなのだ。うまくいえなくてもどかしいったら、もう!

一番印象に残ったのは、「いちばんの愛」。不倫の恋の苦しさ、不条理が、みごとに簡潔に描かれている気がしてならない。秘書でゲイ(未婚)の正木、社長で妻子ある(しかも妻は危篤状態)白崎、両方のやりきれない気持ちが、じわっと伝わってしんみりしてしまった。正木と白崎が、不倫関係をズルズル続けているわけではなく、互いに相手への気持ちを心に秘めながら日々の業務をこなしていく――という設定も、個人的にツボ。

青春の病は (花音コミックス)青春の病は (花音コミックス)
西田 東

芳文社 2007-12-27
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2作品収録。好きだった高校時代の同級生・松本と仕事で再会した湊の、かつての恋心にとらわれて苦しみ、うろたえ、足掻く様子に同情した表題作。まさにタイトル通り「青春の病」。今さら、すでに過去の青春を思い出させられてもねぇ――わたしだったらこっぱずかしくて逃げ出したくなるだろうなぁ……。

湊の、松本への揺れる感情描写が秀逸。「素晴らしい失恋」もそうだけど、西田さんは、恋の始まりの感情を描くのが上手いと思う。松本の恋人・美香の別れの言葉「死ぬほど愛してる男じゃなくても、死ぬほど愛してくれる男なら」が深遠。ハッピーを匂わせる終わり方でよかった。そして、もう一作品「天国が見える」は、「願い叶えたまえ」の工藤が主人公。深見を思い出しながら、「本当の俺」の居場所を問い続ける工藤だけど、「天国」は見えたのかしら――。描き下ろしの「GOOD NIGHT」が、なんだかほのぼのして好き。

ネーム・オブ・ラブ (ドラコミックス 153)ネーム・オブ・ラブ (ドラコミックス 153)
宮本佳野

コアマガジン 2007-12-25
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こちらも2作品収録。表題作は、親友・テツを10年来想っている康平の話――と思いきや、途中から、テツの康平への気持ちがメインになっていた。それもよし。人の気持ちや痛みに敏感な、思いやりのあるテツだからこそ、康平は好きだったんだろうなぁ……きっと。途中、康平のことが好きなオカマのミドリに振り回されてしまうけど、うまくまとまってホっとした。

「heavenly」は、ちょっと内向的なゲイの同級生・高瀬に、いつの間にか惹かれていく、一見ちゃらんぽらん男・矢野のストーリー。「ネーム・オブ・ラブ」ともども、キャラたちのナイーブな感情が丁寧に描かれていること、そしてその感情に共感せずにいられないところは、佳野さんの作品ならではだと実感。

愛してると言う気はない (SHY NOVELS 190)愛してると言う気はない (SHY NOVELS 190)
英田 サキ 北畠 あけ乃

大洋図書 2007-12-26
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前作「さよならを言う気はない」も、悪くはなかった。でも正直に言って、この作品を読まなかったら、「さよなら…」を読み返したいとは思わなかったと思う。「エス」や「DEAD LOCK」もそうだけど、英田さんは続きを書くのが巧い作家さんといえるかもしれない。

天海が抱く弟や母親への複雑な気持ちと、天海が母親から受ける仕打ちはあまりに容赦なく、苦い。そんな天海を思いやる陣内の気持ちも、時にむなしく空回る。最終的に、天海は陣内を引き留めて2人の関係はいっそう深まるのだけど――なんですか、この甘味が一切感じられないストーリーは!? 以前、さまざまなカカオ含有率のチョコレートが話題になったけど、この作品はさしずめ、「カカオ含有率99%」。残り1%は、一応ハッピーエンドだったからということで――。

実は天海にしつこく言い寄る、新キャラの我那覇が気になる。あとがきで「本領を発揮したらBLではなくなってしまいそう」なほどの変態って、ますます気になって仕方ないんですけど、センセイ!? 天海と我那覇のかみ合わない会話シーンも、わたしのツボ「真剣だけどトンチキ」風味でお気に入り。我那覇が登場するお話、書いてもらえないかしら――。

大奥 第3巻 (3) (ジェッツコミックス)大奥 第3巻 (3) (ジェッツコミックス)
よしなが ふみ

白泉社 2007-12-20
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待ってたぜ、3巻! でも読んだはしから、4巻が待ち遠しい――罪な作品、「大奥」。家光こと、千恵の洞察力と駆け引きに惚れ惚れしそう。反面、有功を想いながら、我が身を奮い立たせるように強く振舞う姿が切ないのだけど。ラスト、春日の局が亡くなり、千恵が男装をやめて「女将軍」として登場するシーンにドキドキした。ここから「吉宗」にどう繋がっていくのか……楽しみ。

※「一限めはやる気の民法」は、以前取り上げたので割愛します。
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Tags: 西田東 宮本佳野 英田サキ よしながふみ 北畠あけ乃 作家買い 警検麻ヤ

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