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華やかな迷宮 【時代モノ de BL】

 02,2007 20:02
16世紀・フランス、斜陽のヴァロア王朝が舞台の「華やかな迷宮」。タイトル通り、そりゃもう華やか。

華やかな迷宮 (1) (ディアプラス文庫)華やかな迷宮 (1) (ディアプラス文庫)
松岡 なつき よしなが ふみ

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今秋5巻が発売され、無事完結した。

物語の主人公は、時の王・アンリ3世の妹でナヴァール王妃・マルゴに仕える叔母を頼って王宮を訪れる、南仏・ラングドック出身のドーブラック伯爵ことガブリエル。そして彼の決闘の立会人となったことがきっかけで知り合った、妻を失って恋心も葬り去っていたベルナール。ちなみに男爵。パリで屋敷を構えていないガブリエルを自分の屋敷に招き、一緒に過ごすうち、ベルナールはガブリエルに惹かれていく。

ガブリエルは「男同士なんて…!」と最初はベルナールを拒絶していたものの、いろいろな難局を一緒に乗り越えるうちにベルナールに心を開き、恋を自覚する。――ベルナールに口説き落とされた結果と思えなくもないけど、巻が進むごとにガブリエルが、ベルナールなしでは生きていけないと思うほどまでベルナールに夢中になるところが……ちょっと引いて眺めてみると、ただのラブイチャなカップルに見えなくもない。

ふと思いついて5冊全部を並べてみて、あることに気がついた。
PC030369.jpg

表紙絵だけで、ベルナール(黒髪)とガブリエル(金髪)の関係が進んでいく様子がわかる感じ! そうそう、イラストはよしながふみさんですよ。ちなみに表紙の順番は、左→右、上→下です。

ベルナールとガブリエルの関係と平行して進んでいくのが、ヴァロア王朝の衰退。アンリ3世の無能ぶりや兄弟間のゴタゴタ、悪名高い王太后カトリーヌ・ド・メディシスの采配、そして王位を狙う新教徒と旧教徒の勢力争いなど、史実をもとに語られる展開に目が回りそう。

――実際、中世フランス、しかもブルボン王朝の前王朝という微妙な時代設定は全然なじみがなく、おまけにアンジュー公=フランソワ=エルキュール・フランソワとか、ナヴァール王=アンリなど人物名も紛らわしく覚えづらい。いえ、これは著者の松岡なつきさんのせいではないんですけど。

名前さえ混乱しなければ、別に16世紀フランスのことがわからなくてもサラっと楽しく読める作品なので、何の問題もない。というか、ベルナールとガブリエルの関係がベタで、かつラブシーンがけっこう濃厚なので、そっちに気を取られて、歴史的事実の正誤まで気が回らない。

しかし今回、これをアップするにあたって作品を読み返しながら王や貴族の名前を検索していくうちに、松岡さんが実際の歴史の出来事や流れに主人公たちを絡めながらストーリーを展開されていたことがよくわかった。だからこそ、時代背景描写が、あくまでムード演出の一環のように感じられるのがちょっと惜しい気がするのだ。

ちなみにヴァロア朝の歴史的大事件といえば、百年戦争(1337-1453)、ユグノー戦争(1562-1598)、サン・バルテルミの虐殺(1572)。どれも暗いじゃん……。ともかく、この年代から察するに、この物語の年代は1582年~1589年ごろを想定されているのかもしれない。

1巻と2巻は、ガブリエルとベルナールの出会いや、ベルナールの生意気な息子や勝気な妹が登場してベルナールの苦労人ぶりがうかがい知れるほのぼのとした内容なのだが、3巻からはいよいよヴァロア王朝の終焉とブルボン王朝の始まりが描かれる。もちろん、ただ史実を並べるだけでなく、王太后の女スパイ・クレシー夫人やガブリエルに思いを寄せる幼なじみ・クロードが登場してストーリーを盛り上げる。

作品中で繰り広げられる会話も、いかにも貴族の会話風。なんていうんですか、「蝶のように笑って蜂のように刺す」って感じ!?

松岡さんは資料集めには苦労されたらしいけど――なにしろフランス王朝といえばフランス革命で倒れたブルボン王朝が有名ですから――だからこそ、歴史に絡めたストーリー展開はさすがだなと思うのだった。1巻のあとがきで、「『FRESH & BLOOD』で16世紀のイングランドとスペインを書くうちに、どうしても16世紀フランスのことも書きたくなった」とあり、

「私はつくづくこの争乱に彩られた時代が好きなようです」

と書かれているのを読んで、しみじみとしてしまう(ちなみにベルナールは、F&Bの6巻に登場しているらしい)。16世紀といえば、日本だってアジアだってけっこう争乱の時代だけど、それでも松岡さんはヨーロッパにより興味があるのね――松岡作品、わたしはそれほど読んでいるわけではないけど、欧米が舞台だったり、欧米人が登場することが多い気がする。松岡さんの「萌え」と欧米は密接な関係があるということなんですかね。

また、作品全体的に漂う少女マンガ的雰囲気ムンムンさが、さらに作品を華やかにしているような。(ベルナール×ガブリエルの純愛)と(ガブの「騎士になりたい」)とロマン(宮廷で繰り広げられる様々な人間模様、歴史を揺るがせる事件)がパンパンに詰っているもの。これまで読んだ松岡さんの作品にも、多かれ少なかれ少女マンガ的雰囲気が漂っていたけど、この作品は結構強めなんじゃなかろうか。極論だけど、「天使のように美しい」ガブリエルが、仮にベルバラのオスカルみたいに男装の麗人でも違和感はない気がする。

この作品を読んで初めて、ヴァロア王朝からブルボン王朝への移り変わりを知り、ちょっと世界史を復習したような気分。あ、それはこのブログのために、作品に出てくる人物を検索した結果だけども――別に検索しなくても、ヴァロア朝や16世紀フランスに興味を持つきっかけになりうる作品だと思う。ただし、さらっと歴史的事項が描かれているため、それに気付かない可能性もなきにしもあらず――。


とはいえ、16世紀フランスって、やっぱりイメージがわきづらい。よしながふみさんのイラストは楽しく美しいけど(コスチュームにも注目だ)、当時の雰囲気を手っ取り早く把握できるのは映画かもしれないと思い、いくつか映画をピックアップ。

まずは、まさに直球の「王妃マルゴ」。ガブリエルが忠誠を誓うナヴァール王妃・マルゴが主人公。
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イザベル・アジャーニ ジャン=ユーグ・アングラード ヴァンサン・ペレーズ

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「華やかな迷宮」では、ガブリエルから慕われ、美貌も知性も兼ね備えた女性として描かれているけど、恋人についてはちょっとだめんずを選びがちなマルゴ。実際、華やかな恋愛遍歴の持ち主だったよう。映画の原作となった、アレクサンドル・デュマ著「王妃マルゴ」は、松岡さんも参考になさったようだ。

アンリ3世の弟・アンジュー公が、一時は結婚相手の候補にあがっていたのがイングランドの女王・エリザベス1世。
エリザベスエリザベス
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エリザベスI世の半生を描いた作品。舞台はイングランドだけど、「華やかな迷宮」と時代はかぶるので、雰囲気は伝わるかも。後半の、エリザベスの絶望と思い切りに胸を打たれます。

また、「華やかな迷宮」のアンリ3世は、美しい男性にうつつをぬかす同性愛者として描かれているのだけど、ふと連想したのが、この人。
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イングランドの王・エドワードⅡ。在位は1307年~1327年なので、「華やかな…」より200年ほど前なのだけど――この王様もゲイで、家臣の男性に夢中で、王妃は放ったらかしだったらしい。アンリ3世も、エペルノン伯やジョワイユーズ公に対してあんな感じだったのかな…と想像したりなんかして。アンリと取り巻きの家臣たちとの関係を描くと、BLマンガっぽくなるのか、ゲイコミっぽくなるのか……そんな想像をする自分がイタい。

映画を見たのはもう10年以上前だけど、全体的に暗くておどろおどろしくて、けっこう前衛的だったイメージが残っている。今見たら、また印象は違うかしら。
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Tags: 時代モノdeBL 松岡なつき よしながふみ 歴史/時代BL

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