それがたとえ玉であっても

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仕事の取引先の一人・Gさん(女性・30代後半)は、パチンコにイカれている。

今日、仕事後の打ち合わせで、我がボスがGさんに影響されてパチンコにハマり始めたらしいことを知らされた。それも、「Gさんがパチンコをあまりに楽しそうにするから」という理由。ちなみにボスは、パチンコにハマるのは2回目。以前は海外生活でパチンコから離れたため&帰国後に贔屓にしていたパチンコ屋が潰れたため、パチンコ熱が自然消滅していたのだという。

「私は今、エヴァとサクラ大戦をやってるの」とボスが言うと、「エヴァって出ますか? 私、このごろなかなか出なくって…」とGさんが身を乗り出す。カクヘンだの、デジハネだの、甘デジだの、連続リーチだの、よくわからない用語が飛び出すわ飛び出すわ。

「ごめん、lucindaにはわかんないわよね」と、ボスとGさんに恐縮されたけれども、しかし二人の姿は、そのまんま、先輩ズの姿にそっくりだと内心思っていたのだ――何かに夢中になっている人の会話のスピードや目の輝きって似てるのね。

パチンコにハマって約1年というGさん、毎月20万は費やし、18万は勝っているという。ボスは復活ハマりして1ヵ月。「毎回、使う上限は1万円と決めてるの」。

わたし「毎回…って、ボス、週にどれくらい行ってらっしゃるんですか?」
ボス「4回くらい…? 毎日行かないように気をつけてるのよ?」
Gさん「あ、でも上限を決めると、勝ちを逃したりしません?」
ボス「それはあるのよね。2箱出ると、イケるような気がするもの」
Gさん「わたし、3箱出てダメだったことがありますからね。だから4箱出ないとダメ」
ボス「あ、わたしも結局は4箱かな」

――いつの間にか置いてきぼりなわたし……。なんにせよ、ボスとGさんが相当パチンコにハマっていることだけはわかる。

「Gさん、そんなにパチンコにハマってること、ご家族はご存知なんですか?」とふと聞いてみたら、Gさんは笑顔で言うのだった。

「ううん? わたし、自宅にパソコンを持ってないのね。だから休日にパチンコに行く時は、『ネットカフェに行ってくる』って行って出てるの」

――ウ・ソ・ツ・キ!

ところで、Gさんもボスも、最初にパチンコにハマったきっかけは、当時のカレシにつきあってパチンコ屋に行ったこと。そこで勝ったことが、相当大きかったらしい。

「パチンコって、ハマる原因が3つあると思うのよね。1つ目は、最初にすごく勝つこと。で、2つ目は、前回勝って気持ちよくなって、次行くと勝てないこと。ところが3つ目、日にちを改めて行くと勝っちゃう。これでハマっちゃうのよ」

Gさんの言葉に

「でも、2回目に行って負けたのに、どうして3回目に行こうと思うんでしょう?」

と食い下がるわたし。

Gさん「1回目勝ってるから、負けても、こんなわけはないって思っちゃうのよね。わたしはバブルの頃、競馬もやったことあるんだけど、1回目は1万円勝ったものの、それ以降は全然ダメだったのね。だからハマらなかったもの」
ボス「そうね。勝てるって刷り込みは大事よね。でも最初は誰でもビギナーズラックで勝ったりしない? あれで負けるのはよっぽど不器用じゃないかと思うのよね」
Gさん「もう今日はダメかなと思うと、出たりするでしょ? そうするとやっちゃうんですよね」

――ふたたび置いてきぼりなわたし……。それにしてもボスなんて、今年の4月頃までは、ずっと好きだったデビッド・ボウイのDVDを買いまくっていたのに、それはもう一段落したってことなんだろうか。それでいえば、Gさんはパチンコの前にハマっていたモノって何かあったんだろうか?

「あ、わたしサッカー選手で好きな選手がいて、彼が所属するチームを応援してたんだけど――でもね、彼がいなければそのチームは応援しなかったかもしれないし、サッカーにもあそこまでのめり込まなかったかもしれない。そう考えると、人に好き嫌いを委ねるってどうなんだろうと思っちゃったの。その点、パチンコは相手が機械だし、自分の運ひとつってのがいいの」

――なんて斬新な意見――。わたしの周りなんて、アイドルなりミュージシャンなり俳優なり、誰か個人に激ハマリしている人が多いけれど、その人たち全てを敵にまわすような意見ですね!? しかも「自分の運ひとつってのがいい」って、もう根っからギャンブラーですね!? 「あ、それわかるわぁ」と言ってたボスも、ギャンブラー認定です、lucinda基準で。

まあそうはいっても、Gさんとボスを見ていると、やっぱり先輩ズをはじめ、BLにハマっている友人やブログでやりとりしている人たちが脳裏に浮かぶのだ。誰かを好きでハマろうが、自分の腕如何でハマろうが、「ハマる」という現象そのものがポイントなのだと思う。そして仕事やら家事やら何やらで日々ストレスフルだと、何かにハマらずにはいられないってことかもしれない。

「で、そういうlucindaはナニにハマってるのよ?」

不意にボスとGさんに尋ねられたけど、咄嗟に「えー……、わたし、マンガとか本に毎月5万は使ってます」と答えておいた。ここで「やおいやBLにハマってます」と言えない雰囲気だったのだ。取引先の人に引かれるのはイヤだものねぇ…。

「毎月20万ぐらい使わないとハマってるとはいえないわ!」などと責められたけれど――。というか、毎月20万はハードルが高すぎですから!(わたしには) 20万は使えないけど、買った本を読んでるし、ブログをやってるし、時間は費やしてますから!

――もちろん、この反論を彼女たちが聞く機会はない――。
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