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先月の作家買い1

 06,2007 23:10
そろそろ落ち着くだろうとか、もう買い物も減少していくだろうとか、99%そんなことはありえないにも関わらず、懲りずに毎月そう思ってしまうのだけど。

お気に入りの作家さんがいる限り、完全にBL系の買い物がなくなることはない。その作家さんが複数いればなおさら――。先月の「作家買い」した本を見つめながら、そんな思いをしみじみ噛み締めるわたしなのだった。

そういうわけで、作家買いした本の簡単な感想をまとめてアップする「先月の作家買い」を、今月からスタート。これでなかなかアップできないレビューもアップできるに違いないと睨んでいるのだけど……はてさて。

なにはともあれ、先月買った、作家買いの本は全部で6冊。

宮本佳野「ラバーズ・ソウルズ 完全版」
新田祐克「オトダマ 音霊 1」
英田サキ「すべてはこの夜に」
英田サキ「素直じゃねぇな」
小林典雅「老舗旅館に嫁に来い!」
鳩村衣杏「恋に命を賭けるのさ」

この中で印象的だったのが、新田さんの「オトダマ」。BLじゃないのに! BLじゃないけど面白かったんだよ!
オトダマ-音霊 1 (1) (WINGS COMICS)オトダマ-音霊 1 (1) (WINGS COMICS)
新田 祐克

新書館 2007-09
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かつて「警察の耳」といわれた、天才音響捜査官・音無要。彼の耳は、どんな音も、死者の声さえも聴きとってしまう。その要に厄介ごとを持ち込むのは、元刑事のヒデ。ふたりの前には、次々に死体があらわれ、さまざまな霊の叫びが要の耳を突き抜ける。新田祐克がイロコイを封じて挑む、美しきオトコたちの本格ホラーミステリー、開幕。

ストーリーはもちろんなのだけど、やっぱりキャラ形成がうまい。冷静で、時に事実というか根拠を重視するゆえに冷徹にも見える兄と、熱血でポジティブな双子の弟で元刑事のヒデ。そしてちょっと厭世的だけど様々な音を真摯に聴いて分析する要。あ、それから、捜査上何かと兄と対立する女性警視・唯敷や、毎回容疑者リストに挙がる古玉も印象的。どれもありがちな、お約束っぽいキャラに見えるかもしれないけど、薄っぺらくない。キャラたちの思惑や意図が絡み合うさまが、さすが!という感じなのだ。

わたしは第一話の「音感過敏症」がよかった。第二話の「歪んだ音叉」もそうだけど、真犯人が、「どこにでもいそうな善良そうな人物」というところが、いまどきっぽい。しかしかといって、早々簡単に真犯人はわかりません。そこもいい。

イロコイは封じられているけど、腐女子なら多分、たやすくカップリングできるに違いありません。ヒデ×要(逆でもいいかな)はまんまだけど、わたし、お兄さんと唯敷さんの関係が、なんだかやおいっぽくて目が離せないのだ。唯敷さん、なんだか山口小夜子みたいな長髪でミステリアス。あんまり女くさくない。このヒトが男性なら、速攻、唯敷×兄なのに~!

次に面白かったのは、やっぱり待望の2冊目、小林典雅さんの「老舗旅館に嫁に来い!」かしら。待ってたよ、ホントに。
老舗旅館に嫁に来い! (シャレードパール文庫 コ 1-1)老舗旅館に嫁に来い! (シャレードパール文庫 コ 1-1)
小林 典雅

二見書房 2007-10
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日本に留学中のアメリカ人のジューナは、旅行代理店に勤める柊一郎と将来を誓い合った恋人同士。しかし、突如柊一郎が実家の老舗旅館を継ぐことになり、さらには親同士が決めた許婚まで登場する始末。突然の事態に困惑するジューナだったが、愛する柊一郎のため妻の座をかけ女将修行をすることに…。

小林さんといえば、コミカルでテンポのよい会話が特長の一つだと思うのだけど、この作品でも遺憾なく発揮されている。ジューナも面白いけど、ジューナにあれこれ余計な知識を刷り込んでいるらしいドイツ人のフランツに大爆笑。フランツ、作品の中ではジューナの伝聞にしか登場しない、謎のキャラなのだ。ああ、フランツ……できれば何事にも几帳面なイメージのドイツ人らしく、メガネをかけて理屈っぽそうだといい……。

愛する柊一郎を自分の元に引き留めるために、慣れない旅館の仕事を一生懸命こなすジューナ。ほかのブログのレビューにも書かれていたけど、ジューナと、ジューナをしごく柊一郎の父・龍之介とのやりとりが、また笑える。とにかくジューナ、めげない。しょげない。そしてけなげで前向き。不器用だけど。

そうそう、元NOVA講師で突然仕事がなくなったアメリカ人講師のブログを読んでいて、ちょっとジューナを連想してしまった……(ブログは「日本に来ていきなりNOVAなくなっちゃた」で検索してみてください)。なんかね、やっぱり文面から発せられるポジティブさが、そう思わせるのかも……。

タイトルの「嫁に来い」が、もしかしたら「男なのに、嫁~?」という拒絶感を生むかもしれないけど、まあ、ジューナの、柊一郎を他の女と結婚させたくない!という気持ちの表れだと思えば……。最後は、どうやら柊一郎の結婚は回避できたようだけど、ジューナの女将修行は続きそうなのだった。この作品の続きがあるかどうかはわからないけど、小林さん、もっと本を出してくださーい!…と切に願わずにはいられません。

そのほかの作品は、簡単にまとめました。長いので、折りたたみます。
すべてはこの夜に (CROSS NOVELS)すべてはこの夜に (CROSS NOVELS)
英田 サキ

笠倉出版社 2007-10
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3編収録。表題作の「すべてはこの夜に」は、もしかして受けの加持が死ぬのか――!? と思わせるラストで、なんだか珍しい気持ちがしたのだけど、これ、もともとは英田さんのデビュー前の同人誌作品だったんですね。結局、3編目の「春宵一刻」では、加持は湊と幸せそうなのだった。でもわたしが気に入ったのは、湊の側近・武井が主役の「夏の花」。ひたすら静かな雰囲気がいい。小冊子を読めば、感慨も倍増な気がする。ネットで注文してよかった……。

素直じゃねぇな (B-BOY SLASH NOVELS)素直じゃねぇな (B-BOY SLASH NOVELS)
英田 サキ

リブレ出版 2007-10
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これは一転してコミカルな作品。一応若い男性への連続暴行事件も絡んでいるけど、ミステリ色はあまり強くない。軽快に読める感じ。デレデレしている刑事の久門とちょっと意地っ張りな真路に、ふと、「エス」の永倉と小鳥遊真生を思い出してしまった。全然関係ないんだけどね。でも年齢的には似てるかも。しかし久門、相羽の気持ちに気付いてやれよ…。

ラバーズ、ソウルズ 完全版 [メロメロコミックス] (mellow mellow COMICS)ラバーズ、ソウルズ 完全版 [メロメロコミックス] (mellow mellow COMICS)
宮本 佳野

宙出版 2007-09-27
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宮本さんの作品には、いつも静かでしっとりとした雰囲気を感じる。そしてどこかかすかに切ない。これもそう。「RULES」で掴みどころのない、奔放に見えるキャラ・トオルの、先輩との話が印象的。先輩を失って初めて、トオルが自分の気持ちに向き合うところ、そして先輩の死後、トオルに届いた先輩からの宅急便に、ちょっとホロリときた。けっして甘くない、ホロリ、だけどね。

恋に命を賭けるのさ (白泉社花丸文庫 は 3-2)恋に命を賭けるのさ (白泉社花丸文庫 は 3-2)
鳩村 衣杏

白泉社 2007-10
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うーん、なんでしょう……悪くないんだけど、なんかちょっと物足りない。すごく早足でストーリーが進んでいった感が残る。前作「愛と仁義に生きるのさ」の主人公・悠の弟で、女にモテまくりのイケメン・透と、クールでサドっぽい新海という組み合わせは悪くないんだけども。ちょっと、透と新海の2人のシーンが少ないのかしら。なんだか二人が無事まとまった後、新海が三佐和クリーニングに「嫁」として挨拶しに来るところが、滑稽だけどちょっとノリきれないというか……。そうね、男なのに嫁といわれてもねぇ…というしっくりこなさを感じてしまったのだ。もしかしたら「新海、嫁ってガラじゃないだろ」と思ったからかも。家計はしっかり管理してくれそうだけどね。
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Tags: 新田祐克 小林典雅 藤井咲耶 英田サキ 海老原由里 桜城やや 宮本佳野 鳩村衣杏 実相寺紫子 作家買い

Comment 8

2007.11.07
Wed
20:37

みち #akJVOkEc

URL

こんばんは、みちです♪

えええ、lucindaさんも、小林典雅さん、お好きなんですか~うわ~
(趣味あうなあ、ととても嬉しい)
この方は、ほんとうにお上手な方ですよねえ。すごくうまい。うまいのを意識させないくらいうまいのがエライ!
そして「もっと本が出てくれればいいのに……」と私も思ってます。
ああ、新しく本が出たのですね!
稲荷家さんでお金を使いすぎたような気もするけど、いいや、買ってしまえ…ああ、あと新田さんの漫画も…密林の配達料を無料にするために…(蟻地獄…)

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2007.11.07
Wed
22:20

lucinda #-

URL

もう小林典雅さん、ダイスキですよ。「棒投げ橋…」を読んでから、新作が待ち遠しくて待ち遠しくて。今は休刊してしまったCharadeを一回買った時、そこに掲載された作品だけ切り取っているぐらいです。それぐらい好きです。

文章のテンポというかリズム感がいいし、本当にお上手だと思うのですが、なんで新作が出ないんでしょう……やっぱり本職がお忙しいのかなぁと思わざるをえません。
でも、小林典雅ファンなら、買いですよ、これ。新田さんの非BL作品も、イチオシですよ! <悪魔の誘惑

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2007.11.08
Thu
06:01

アラスカ #JalddpaA

URL

>新田さんの「オトダマ」。BLじゃないのに! BLじゃないけど面白かったんだよ!
今年の収穫は新田さんの魅力を知ったことです。絵柄で避けていたけれど、本当に食わず嫌いでした。オトダマ、面白そうですね。今度読んでみます!。
死者の声も聴こえる耳を持つというと、柴田よしき『残響』という小説を思い出しました。女性が主人公のミステリー小説ですが、最後が少しほろ苦いのです。

そして小林典雅さん。次の本が待たれます。もし続編があるなら、そこでもやっぱり実物のフランツは登場せずに、謎の人物として話題を振りまいて欲しいですね。

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2007.11.08
Thu
11:05

月読 #-

URL

新田のオトダマ。

こんにちは。
「春抱」に非常な複雑な感情を持つワタシですが、実は以前から「新田」の構成力つーかなんつーか、この人の漫画家としての魅力は青年誌で腰据えて書かせたほうが広く一般に認められるのじゃないかな?と思ってました。
BLというフィールドでは収まらない世界観を描ける人だと思うのですよ。
「スピリッツ」とかで「20世紀少年」と肩並べて掲載されてもおかしくない画力と骨のあるストーリー展開。彼女こそ漫画家と思うのですよ。
そうそう、「公使閣下」なんかもあの構成はもう青年誌の手法のような気がします。

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2007.11.08
Thu
22:51

かりんこ #-

URL

こんにちは。

小林典雅さん、会話と脇キャラが楽しかったですよね。特にフランツ(笑)。あとタイトルもどちらかというと「嫁にこい」というよりは「嫁ぎたい」が内容に近いような?シャレードで発表された作品があるのなら、そのうち文庫とかで出てくれると嬉しいです。
新田さんは絵柄で敬遠してるんですが、今更読むのもハマってしまいそうでコワいです。そうですか。面白いんですね。ううーん(悩む)

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2007.11.09
Fri
00:47

lucinda #-

URL

>アラスカさん
わたしも今年の収穫は、新田さんの魅力を知ったことですね。絵柄で避けてたのも同じです。もう、一度その魅力を知ると、逃れられない感じがします。「オトダマ」、読み応えがあると思いますよー!

柴田よしきさんのその小説も、今度チェックしなくては……てか、最近、ホントにBLばかり読んでいるので、少しは違う世界の本も読まなくちゃなぁ…と思います。
小林さんの本、「老舗旅館…」の続編でも、フランツは顔出しナシでOKなんですね!? ああ、そう言われてみればそういう気がしないでも……でもなぁ…怖いものみたさというか……。

>月読さん
あ、たしかに新田さんは、青年誌でいける感じですよね。ストーリーテリングやキャラクター作りとか見てみると。もしかしたら「オトダマ」は、その第一歩なのかもしれないですね……。わたしは、BLの新田さんも大好きなんですけどね。
そうそう、わたしも新田さんすごい!やられた!と、新田作品にハマったきっかけは「公使閣下」でした。言われてみれば、確かに……<青年誌の手法。

>かりんこさん
かりんこさんの「老舗旅館…」のレビューを読んで、うんうん、とうなずいていたわたしです。たしかに、「嫁にこい」というよりは、「嫁ぎたい」って感じかも。
新田さんは、わたしも絵柄で敬遠してたんですよ……。でも、ハマると大変です。わたしは「公使閣下」でハマりました。取材力がすごいのも、新田作品の魅力じゃないかと思います。……気が向かれたら、ぜひ……<一応消極的な感じで。

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2007.11.09
Fri
03:06

相沢 #-

URL

新田さんと佳野さん

相沢です。こんにちはです。月読さんもかいておられるけれども、新田さん
BLというジャンルで花開いたおかたですけれども、もっともっとはばたいてほしい!と思ってます。
それと私もみなさんと同じく公使閣下がダイスキ。ほかにはスパイモノなんかもよみたいな。

佳野さんは 最近 とにかくハマってしまったので冷静なコメントができそうにありませんけど、ハマったきっかけはラバソルです。
あの宅配便に私はほんと泣いてしまいました。読み帰せば話の展開は単純ですけどトオルの心理描写はくどいほど丁寧ですが、松岡先輩の描写は少しだけ距離をおいて、そぎ落としているように思えます。
・・・シンプルな作品に見えるのに作者が登場人物ごとに距離感をしっかりわけて対比をうまく描けてるので芯がしっかりしている・・よって独特のものになる。ほんとに初期のころからセンスが光ってますよね。
作品の「人間てそういうふうにできてるんだから・・・」というテーマにも妙にひかれました。

新田さんも佳野さんも独自の個性・世界観があって、何を描いても新田さんだし佳野さんだと思う。いい作家さんだなと思います

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2007.11.09
Fri
11:32

lucinda #-

URL

>・・・シンプルな作品に見えるのに作者が登場人物ごとに距離感をしっかりわけて対比をうまく描けてるので芯がしっかりしている・・よって独特のものになる。ほんとに初期のころからセンスが光ってますよね。

そうそうそうなんです! わたしの言いたかったことを表現してくださってありがとうございます! さすが相沢さん。
最近、佳野さんにハマったということですが、わたしのイチオシは「PLEASE-プリーズ-」と「甘やかな棘」です。もう読まれたかしら…。

本当に、新田さんも佳野さんも、独自の個性や世界観がありますよね。それが確立されているのが、また凄いことだなぁと思います。

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