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ラズベリー・ライヒ

 20,2007 19:44
久しぶりに、「よくわかんないけどすごい」映画を見たような気がする、「ラズベリーライヒ」。※ネタバレも含むので、ご注意ください。

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ドイツ赤軍のバーダー=マインホフ・グループに憧れる女性闘士グドルンは政治集団「ラズベリー・ライヒ」のリーダー。彼女は性的革命の理想に燃え、今日も同士であり恋人のホルガーと公共のエレベーターの中で性エネルギーを解放している。その頃、「ラズベリー・ライヒ」の別同部隊は、ドイツ屈指の資産家であるシュミットの息子・パトリックの誘拐に成功していた。「異性愛は大衆にとっての麻薬である」というグルドンの理念に基づき同性愛行為を実践し、性的に解放され次第に変わってゆくラズベリー・ライヒのメンバーたち。「性と政治の革命」として、誘拐したフランツの同性愛行為をビデオ撮影し、シュミットを脅迫しようとするメンバーたちだが、事態は予期せぬ方向に転がり始めるのだった――。

最初は、「テロリズムと性の革命」ということで、ものすごく重い、シリアスで救いのない作品なのかと思っていた。それに制作国と舞台がドイツだし。いえ、偏見だと非難されるかもしれないのだけど、ドイツ映画って、いろいろな意味で容赦ないイメージがあるんですよ。「ブリキの太鼓」とかね。

でも見終わってみれば、作品全体が壮大な皮肉の効いたギャグのように思えてしまう。予想と違って、救いがないわけではなかった。むしろ、ハッピーに終わったのだった。いや確かに、劇中のセックスシーンは、どれもポルノチックで容赦なかったけども。というか、ストーリーの7割くらいはキスやセックスのシーンだったような気が…。

革命のスローガンや、バーダー=マインホフ・グループの残した言葉を何度も声高に連呼するグルドン。こういうスローガンを、なんだか久しぶりに聞いた。40年くらい前なら、あちこちで聞いたり立て看板で目にしたりしたであろうスローガンを、21世紀の現在に耳にするというのがとってもシュール。

そして、グルドン以下、ホルガー、チェ、アンドレアス、クライド、ヘルムート、ホルスト、と男ばかり6人で構成されているラズベリー・ライヒなのだが、その男たちが、いかにリーダー・グルドンの命令とはいえ、結構呆気なく同性愛行為に耽溺していく様子が、これまた妙な感じ。

また、メンバーの男たちはみんなけっこうハンサムなのに、グルドンは率直にいってブサイク(時にすごくセクシーに見えるけど)。

設定も皮肉っぽければ、ストーリーも負けず劣らず皮肉っぽい。

資産家の息子・パトリックを誘拐するため、メンバーの中で一番トロいクライドがずっと尾行を続けていたのだが、もうそれがバレバレな尾行。案の定、パトリックに見つかり、しかもいきなり2人は関係を持ってしまう。実はパトリックはゲイで、それを父親にカミングアウトしたものの、怒った父親に「矯正施設」にぶち込まれそうになっていたのだった。

――この時点でラズベリー・ライヒのヨミは予想外の方向へ進んでいるといってもいい。しかも、それを知らないグルドンによって、アンドレアスとの同性愛行為を強要されるパトリックを見ていられず、ついに逃亡を企てるクライド。

2人は、「グルドンと結婚したい」というホルガーの手助けによって、アジトから逃亡する。そして途中で職務質問をしてきた警官を縛って逃げ出し、ついには「ボク、オヤジの銀行を強盗するのが夢だったんだ」というパトリックの言葉に同調して、ボニーとクライドのように銀行強盗を繰り返すように。ある意味、グルドンの唱えていた「ブルジョアジーの詐取を阻止せよ」的スローガンを忠実に遂行しているのは、この2人じゃなかろうか。

グルドンの推奨で始まったはずの同性愛関係が、いつしか本物になってしまうヘルムートとホルスト。また、パトリックとのセックスがきっかけだったのか、ハマってしまうアンドレアス。男性メンバー6人中、4人がゲイに転向ですよ? これもある意味で、グルドンの理想は成功したんじゃなかろうか。ま、「同性愛蜂起で共闘せよ」の域にまでは達していないかもしれないけれど。

rr_02.jpg

ラズベリー・ライヒの男性メンバーは、ヨーロッパ各国で活躍中のポルノ男優だそうで、たしかにみなさん、ガタイもよくイケメンでした。映画を見ながら「この人もポルノ男優なのかー…」などと、ちょっと余計なことを考えて落ち着かなかったけど。

メンバーに「革命のため」同性愛を強要したグルドンだけど、同性愛だろうが異性愛だろうが、愛情は政治的・革命的な理想を超えるというメッセージを作品から受け取ったような気がしてならない。だから、銀行強盗を繰り返しながらも愛し合っているクライドとパトリックの様子、ゲイバーで再会したヘルムート&ホルストとアンドレアスの近況を報告しあう様子、中近東のゲリラに身を投じたチェの様子、そして、ホルガーと結婚したグルドンが、まだ赤ん坊の娘に革命について熱弁を振るう様子で締め括られるラストに、「よかった」とほっとしたような気持ちになったのかもしれない。
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Tags: クィア映画 ゲイ 同性愛

Comment 4

2007.11.08
Thu
15:46

多香子 #IaTY7YzE

URL

うわわわ。この映画、すっごく面白そうです。現在、上映中なのですか? だとすれば、是非見たいです~。ヴィルヘルム・ライヒの『性と文化の革命』へのオマージュ(もしくはクリティカルなパロディ?)作品だと思うんですけど、「ラズベリー」にはどんな意味があるのでしょうか。。。そっち系の隠語なんですかね? 目が腐ってるせいか、ドイツ映画に出てくる男優さんたちってなんか全部ゲイに見えてしまう駄目な子です。。。

編集 | 返信 | 
2007.11.09
Fri
01:01

lucinda #-

URL

おおぅ…映画の上映は、すでに終了してしまったのです。レイトショーでしか上映していなかったのですが、乗客動員数はどうだったんだろう…。ただ、わたしが見たのは最終日だったのですが、それでもわりと人が多かったです。場所も場所だったのに。

ラズベリー・ライヒ 公式HP
http://www.sig-inc.co.jp/raspberryreich/

映画公開に合わせて、「性と文化の革命展」というイベントも行われていたようです。こちらはチェックしきれなかったのですが…。うーん、多香子さんには、ぜひ見ていただいて、感想を聞かせてほしい作品なんですけど……うーん、うーん、うーーーん!!

>ヴィルヘルム・ライヒの『性と文化の革命』へのオマージュ(もしくはクリティカルなパロディ?)作品だと思うんですけど、

さすが鋭い! まさに、その「性と文化の革命」は深く関係しているらしく、上映した映画館・UP LINKの説明によると、

「ウィルヘルム・ライヒの性革命理論とヘルベルト・マルクーゼの『エロス的文明』を大胆に解釈し、テロリズムとポルノという異色のアナーキズムを合体させた作品」

ということらしいです。

ラズベリーの意味は不明なんですが、個人的に、ラズベリー≒赤に近い濃いピンク≒左派&ポルノとかエロ ってことかなぁ…と思ったり。あ、でも、ピンクがポルノって認識は、日本だけなんでしたっけ?

>目が腐ってるせいか、ドイツ映画に出てくる男優さんたちってなんか全部ゲイに見えてしまう

……わたしも同じです……やっぱり腐ってるでしょうか……。この映画の男優さんは、みんなポルノ男優さんなので、それなりにガタイも美貌も麗しいのですが、男同士のキスやセックスがホンモノっぽく思えて仕方ありませんでした……多分わたしの妄想だと思います……。

編集 | 返信 | 
2016.02.06
Sat
22:15

zebra #ngCqAwRo

URL

すみません・・・なんですか この作品

lucindaさん お久しぶりです。

なんか ・・・ 暴走しまくりな雰囲気かつ 破綻しか待ってない結末プンプンじゃないですか・・・面白いのかな?

ジャケットにビックリした(゜□゜;) チェ・ゲバラのポスターって・・・

同性愛と革命・・・どういう組み合わせなのか・・・同性愛の権利を勝ち取るために奮闘した ハーベイ・ミルクのほうがわかる気がしました。彼はホントに人が人らしく生きるための戦いだったんでしょ。

 それにひきかえ この登場人物たちは・・・う~ん

登場人物にも ”チェ” っていますね・・・(苦笑い)
そういえば チェがボリビアで処刑されてからもうすぐ 半世紀が経とうとしてます。
(1967年10月9日 銃殺刑)



編集 | 返信 | 
2016.04.23
Sat
16:26

lucinda #-

URL

コメントありがとうございます

>zebraさん
今頃のレスポンスとなってしまってすみません。
ハーベイ・ミルクを引き合いに出すと、ミルクに失礼…な方向の映画だと思いますよ(苦笑)
もうあんまり細かいことは覚えていませんが、“革命”の方向は、同性愛をどうこうということではなかったですし。
好き好きの分かれる映画かなーと思います。

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