大阪恋泥棒/嘘か本音か弱音か

 11,2007 18:23
200611_ghappiness01.jpg

いつもチェックしているブログで紹介されていた、大阪のホストクラブのドキュメンタリーフィルム。「The Great Happiness Space Documentary 2006」。海外で制作され、日本では公開されないらしいけれど、Google Videoで全編(76分)見られます。

ホストクラブのオーナーでもあるホスト・isseiが登場し、従業員であるほかのホストや常連客のコメントを繋げて制作されているのだけど――。最初は、テレビのナントカスペシャルみたいなドキュメンタリー番組のように、彼がいかに人気があり、そして従業員たちから尊敬され、でもちょっぴり苦労話も披露――と展開していくのかと思いきや、どんどんどんどん、インタビューがディープに迫っていくのが面白い。

「常連客によっては、あんまりお金を使うなとか言ったりして、情が入ることもある。それは、ちょっと自分たちの負けですよね」と語る、issei。
「嫌な時もイヤとはいえないので、けっこう、自分ってものが出てないんじゃないかと思うことがある。自分でも自分の性格がわからなくなってくる」と自嘲気味に笑うissei。
「僕のことを好き好きと言うけど、彼女たちはほかのホストクラブでも同じことを言ってるわけ。それは僕もわかってる」と話す、isseiのホストクラブの従業員。
「ホストの言うことは信じてない」と言いきる、常連客の女性。

一番面白かったところは、isseiと、彼の常連客の一人である女性との騙し合い。というか駆け引き。女性は、仮にsさんとしておきましょう。sさんはisseiに入れ込んでいて、決まっていた結婚も、彼に出会ってからやめたという。もちろん、店に行けば一晩30万以上使うこともあるし、今の夢は「isseiのお嫁さんになること」とまで語る。ところがisseiは、sさんのことを「変わってるコ」だと評し、「けっこう計算してる」と言いながら、「このフィルムができたらオレも見るとわかっているから、それなりのことを話してるんですよ」とやや批判的なのだ。

「isseiのためなら死ねるって、彼女、言ってましたよ」とインタビュアーが告げると「そういうこと言うと思った」みたいに苦笑いして「彼女とは深い関係にはなれない」ときっぱりと話す。いいのかよ、いくら海外のフィルムだからってそこまで言い切っちゃって!?――と思うのだが、sさんはsさんで、インタビュアーから「isseiさんのお店以外にもホストクラブには行ってる?」との質問に、「数え切れない」と笑って答える。うーん、この、どこまで本音でどこまでウソなのかわからない感じ、客とホストのしたたかさがにじみ出ているような。

フィルムに登場する常連客の女性は、みんなホステスや風俗の仕事をしている人たちだったのも、「……やっぱり、ホストクラブの顧客がホステスや風俗関係ってのは本当なんだな」と、しみじみ感心してしまった。最後に、isseiが「彼女もほしいと思うけど……でも人間不信になってるところがある。でも将来は、結婚もしたいと思うようになってきた」と、ちょっと疲れたように話すところなんて、なんだか本当にフィクションの世界のようで、できすぎなコメントのような気もするけど、案外、現実はそういうものなのかもね。というか、ホストクラブとか風俗の世界が、もうフィクションみたいなもんだよね。

そしてなんだか、新田祐克さんの「イロコイ」などを読んで、あの独特の雰囲気を確かめたくなってしまったのだった。
GreatHappinessSpace.jpg

isseiの「出勤」の準備&ホストたちの「キャッチ」シーンからスタートし、夜が明けてホストたちがそれぞれ疲れたように家路に着き、isseiもまたベッドに倒れこむところで、フィルムは終わる。

ホストクラブに通いつめている女性たちの、「お金を使うのは惜しいと思わない」「isseiに払う価値があるから、もったいないとは思わない。」「心が満たされる」というコメント、視点を変えればちょっと身に覚えがあるような……あはは……ははは……はは……。
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Tags: ドキュメンタリー ホスト

Comment 2

2007.08.14
Tue
12:16

みち #akJVOkEc

URL

ふうむ。

中村うさぎさんの書かれた『さびしいまる、くるしいまる。』(角川書店)を思い出しました。
著者が「ホストクラブ」に入れあげているときのエッセイです。
中村うさぎさんは、小説のほうは、う~むむむ(苦笑)なときが多いのだけど、エッセイのほうは、破格に面白い方だと思います。それは彼女が、書く対象に対して、常に真摯に体当たりしているから。書き手の情熱が濃厚に入り込んでいるので、面白おかしく読めてしまうのですが、笑うだけではすまない「何か」が読み手に残る気がします。
私、実は、この『さびしい~』を読んで、泣いてしまいました。でも、私の周囲には、このテの本を薦められるような相手が全然いなくて…今回のこの記事を読んで、lucindaさんに、読んでみて!って(あつかましいのですが)、オススメしたくなってしまいました。
あっという間に読めてしまう本だけれど、ハードカバーで買うにはやや高いかな?(文庫には…まだなってないかな?) 私は図書館で借りました(→図書館で借りられないBLにお金をつぎ込むため、日本語の書籍はすべて図書館で借りるというマイルールで暮らしているので・笑)

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2007.08.14
Tue
21:43

lucinda #-

URL

中村うさぎさん、わたしも、某週刊誌の連載を読むほど、好きです。小説は読んだことがないのですが、エッセーは、かなり面白いですよね。

「さびしいまる、くるしいまる。」、知りませんでした。なんだか面白そう! 文庫だったら速攻買うんだけど……うーむ、わたしも、今やBL以外は中古屋で探すことが普通になっているため(<おい)、とりあえず、ブクオフなどを見てます。

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