毛の悩み
先日、妹の夫が姪を風呂に入れる前に「あ、じゃあその前にすね毛をカットしよっと」と言ったのに、一瞬、耳を疑った。
――すね毛をカット……もしかして、それって習慣?――
「あー、なんか毛深いの、イヤみたいなの。時々カットしてるんだよ」と笑いながら答える妹。
「へぇ…。ちなみに、あんたはダンナが毛深いのはイヤなの?」
「別に気にしてないんだけどさ。彼は気にしてるみたいよー」
――そういうものなのねぇ……。
「そうそう、そういえばさー、お兄ちゃんも毛深いの気にしてて、脱毛器買ってたの、知ってる?」
「え、コンちゃんが!? いつよ!?」
「んー、高校ぐらいの時じゃない? けっこう本格的なの買ってたよ」
――知らなかった……。というか、コンちゃん…今頃になって驚かされるエピソードがちこちょこ出てくるのは、どうしたことかしら。
でも思い返してみれば高校生の時、同級生の男子たちも、どうすればすね毛が薄くなるか、どうすれば毛深さを阻止できるかを真剣に話し合っていたっけね。まさか前に座っていたわたしがそれを聞いて笑いを堪えていたとは思わなかっただろうけども。
やおいやBLに登場するメインキャラたちには、あんまり毛の存在が感じられない。というかむしろ、大抵、めちゃくちゃスベスベ・ツルツルな肌をしている。それは、読者の大多数の好みや嗜好に応えている結果だと思うし、「大多数の読者」とはやっぱり、女性の可能性が高いのだろうけど――。現実の男性たちも、そういう女性の好みや嗜好に敏感なんだなぁ…と、妙に感心したのだった。思春期だけでなく、働き盛りの年齢に差し掛かってもね。
近い将来、こざっぱり・こぎれいな中年が増えるかしら。
