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北の漁場(愁堂れな)

 01,2007 15:35
BLでマグロ漁業って、どんな感じよ!? と、同人誌「連鎖反応」の鼎談を読んで以来、ちょっと興味津々だった「北の漁場」。名前も超ベタじゃないか!とクラクラしながらも、怖いもの見たさで読んでみた。

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愁堂 れな

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マグロ漁初心者のエンは初めてのアタリに苦戦していたところを、伝説の漁師・秋山に助けられる。その夜二人は飲み屋で再会するが、過去、ヤクザに男の味を教え込まれたエンは、酔った勢いで自分から秋山を誘ってしまう。だが秋山はそんなエンを過去ごと受け入れてくれたのだった。その後、一緒に暮らし始めた二人のもとへ、ある日、家出した秋山の妻子が訪れてくるのだが…。

「マグロ漁船」「漁師」「北」という言葉から、

――主人公が莫大な借金を返済するため、無理やりヤクザにマグロ漁の遠洋漁業船に乗せられ、そしてそこで荒くれた漁師やヤクザに犯される…とかいう設定かしら――

などと、読む前に勝手な予想をしていたのだけど、見事にハズれてしまった。とはいえ、別の意味で「いかにも」な設定だったと思う。たとえば――

●過去に訳ありの受けキャラ。孤独な身の上でもちろん美人
●男前で腕はいいのだが、なぜか孤独で無口な攻めキャラ
●行き着けの、ちょっと侘しい居酒屋がある
●受けが攻めに助けられ、その後偶然に居酒屋で再会
●その日のうちに体の関係を持ってしまう
●キャラたちは侘しい居酒屋で、屈託を抱えて酒をあおる

――めちゃくちゃ演歌の世界そのものって感じ。「北の漁場」はサブちゃんの、そして書き下ろしの「兄弟船」は鳥羽一郎の演歌のタイトルだけど、わたしの頭の中ではその2人に加え、八代亜紀の「舟歌」が鳴り響いていた。きっと「侘しい飲み屋」がそんな連想を起こさせたのよ。

そしてBL的に「いかにも」な設定もキッチリ盛り込まれているのだ。

●主人公の相談役として、オネエ言葉でしゃべるキャラが登場
●攻めには妻子がいたが、子どもは攻めの子どもではなかった
●攻めの実家は、実は大きな水産会社。つまり攻めはボンボン
●ラストはハッピーエンド

演歌とBL、「いかにもな設定」がぶつかりあっているかといえばそういうわけでもなく、案外うまーく溶け合って、「やっぱりソコはそうこなくちゃねぇ~!」などと笑いながら、思った以上に楽しめた。これ、作者の愁堂れなさんは、演歌の世界観にどっぷり浸かりきって、ノリノリで書かれたんじゃないかと思ったくらい。

甘ったれで世間知らずだったがゆえに、悪夢のような過去を経験した受けのエンだけど、亡き父親を思い、がんばってマグロ漁師になろうとする姿はひたむきでカワイイ。ただ個人的には、漁師はあまり向いてない感じがするけどねぇ…。

「海の男はかくあるべし」な雰囲気の攻めの秋山。設定が違えば、きっと任侠モノに登場しているに違いないいい男。というか、「女性は苦手」で実はどっちかというと男の方が好きだったんじゃないですか? と突っ込みたくなるような、エンとのスムーズな関係に、ちょっと微笑するわたしなのだった。

作品全体に、うっすらと人情ものテイストが漂うのだけど、その大きな原因の一つが、エンの行き着けの居酒屋「けんちゃん」のマスター・けんちゃん。けんちゃんってば、オネエ言葉でしゃべる元マグロ漁師なのだが、オカマかどうかは、作品中ではハッキリしない。ただ、

●弟のように可愛がっていた一つ年下の幼なじみがいて
●その幼なじみはけんちゃんを慕って一緒にマグロ漁船に乗り込み
●しかも漁の最中に時化で幼なじみを失って以来、けんちゃんは漁師を廃業した

という過去から察するに、けんちゃんとその彼は強い絆で結ばれていたであろうことが察せられるのだった。ああ、けんちゃんと幼なじみの彼のことが気になる! 同人誌でいいから、二人が主役の作品、出ないかなぁ…。
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Tags: 愁堂れな 山田ユギ ガテン系BL

Comment 3

2007.08.01
Wed
21:06

もと #4pDgvQA2

URL

・・・マグロ漁船、そこまで来たか!って思ったけど、私ももう一本、別のマグロ漁船モノ(そっちは多分雑誌)が出るという話を聞いたので、新たなジャンルに・・・なるにはちょっと範囲が狭いか?
もうこうなったら何でもありだね~、次はなにが来るか楽しみになってきたよ~。
先日読んだ新しかった職業は「西洋占星術師受け」だな。うん。

編集 | 返信 | 
2007.08.02
Thu
00:54

miriam #SFo5/nok

URL

マ、マグロ漁船?!

す、すごい…新たな職業が!(笑)
そしてお約束な展開が入ってるのも確かにアッパレですね…(笑)
オネエ言葉キャラ、最近はすっかりIKK●のイメージですよ、ビジュアルが…

編集 | 返信 | 
2007.08.02
Thu
15:27

lucinda #-

URL

>もとさん
えーっ、別のマグロ漁船モノが…! あと2作品くらい出たら、ジャンル確立といってもいい、かも。アハハ。
西洋占星術師受けかぁ……いろいろ出ますねぇ…。

>miriam先輩
ユギさんのイラストもステキなこの作品。今度お持ちしましょうか?(笑)
オネエなけんちゃんは、絵柄としては、短髪のマッチョな感じでした。でも漁師町ですもんねぇ。都会だったら、ikk●かなぁ…フフフ。

編集 | 返信 | 

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