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今月の表紙買い7/裏切りの夜、恒久の在り処

 22,2007 16:45
前々からファンだったり、知っていたイラストレーターや作家の本も「表紙買い」になり得るか――なんだか言い訳がましい「今月の表紙買い」スタート。

裏切りの夜裏切りの夜
仔犬養 ジン

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捜査課の刑事・ケイゴは、美貌の内務捜査課・ダイアーを落とす賭けに勝ったものの、ダイアーの愛に飢えた本当の姿を知り罪悪感を覚え、次第に惹かれるように。だが賭けを知ったダイアーとの関係は最悪になってしまう。ある日、殺人事件関与の疑いをかけられたケイゴは、ダイアーから取調べを受けることになるが――。

この作品、挿絵は小山宗祐さんということで注目してはいたのだけど、著者の仔犬養ジンさんは初めて読む作家さん。どうやらこの作品が商業誌初めての作品みたい。

裏表紙のあらすじにもちょっと惹かれてはいた。だけど、舞台はサンフランシスコ。せっかくの舞台設定が、ただのイメージになっていて、別にそこがサンフランシスコじゃなくてもいいんじゃない?――てなことになっていたら、やだなぁ…と思っていたのだけど。

仔犬養さんは頑張ったんじゃないでしょうか。彼女自身の、現地で生活していた経験や土地勘も生かされている感じ。雰囲気は、登場人物がたくさん出てくるアメドラのサスペンス風。ケイゴは日系とユダヤ系のミックスだけど、ほかにも北欧系やラテン系、ベルベル人系など、さまざまなルーツを持つキャラが登場するのが面白いし、そういう視点って、ずっと日本に暮らしていると気づきにくいところじゃないかと思う。また、第二次世界大戦の日系部隊や保守派の下院議員、キリスト教から改宗したイスラム教徒などの設定やエピソードも、舞台がサンフランシスコというかアメリカならでは、という感じ。冒頭の、警察官や消防士など、ゲイの公務員対象のパーティーなどもマニアック。てか、実際にそういうパーティー、あるんですかね?

同じ警察官で管理職である父親への屈折した気持ちを抱え、自分に自信を持てないケイゴは、本当は惹かれているダイアーに対して素直に気持ちを打ち明けられない。そしてダイアーもケイゴに惹かれているくせに、裏切られることが怖くて素直に近づけない。妻持ちの昔の男と犬を介して会ったりなんかしてね。ちょっとジレジレするような2人なのだ。

そんな2人の葛藤がしっかり描かれている印象が強いせいなのか、エロは薄め&軽めなイメージ。BLというより、ゲイ小説に片足を突っ込んでいる感じ。乱暴な言い方をすれば、別にエロはなくてもいいかもしれない、この作品。そう、ストーリーの展開や、ケイゴとダイアーの葛藤だけでも、わたしは満足。

文体にちょっと、外国作品を翻訳したようなぎこちなさ感を感じる時があり、背中がモゾモゾすることアリ。何もそこまで外国っぽくしなくても――と読みながら突っ込んでしまったのだが、この作家さんのもともとの持ち味なのかしら。そうそう、小山さんのイラストは、前作の「夜を閉じ込めた館」よりも、筋肉量はアップしていた。うん、わたしはこっちの絵の方が好みですよ! そうそう、本の最後にあった、「リアルならこうなる! SFPDブラザーズ」の、小山さんが編集から話を聞き、最初にイメージしたという、ケイゴとダイアーの絵にフキました。それで進められていたら、もうBLじゃないね。というか、BLの新機軸を打ち出していたね、絶対。

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ドッグトレーナーの悠は、大きな庭を持つ洋館に住み込みで働いている。女主人がなくなって3年目のある日、子息である久住が新しい主人としてやって来た。心に傷を持つふたりは、やがて惹かれあうようになり――。

秀香穂里さんの「艶めく指先」で、いいじゃーん…と思っていたサクラサクヤさんの初コミック。きれいで、そこはかとなく色っぽい絵は期待通りだった。

若くして地位も金もある久住は、BLの攻め様にはありがちな、自信満々でちょっと傲慢な人なのかと思っていたのだが、読み進むにつれて、友人を気遣い悠を大切に思うやさしさが前面に出てきて印象アップ。むしろ、久住の友人で、妻子持ちのくせに男女関係なく遊びまくる雨宮の方が、自信満々なキャラだった。ま、この雨宮も、本当に好きな結城には腰が引けているカワイイところもあるんですけどね。

しかし、一番惹かれたキャラは、やっぱり悠で――義父の性的虐待というトラウマを持ちながら、ドッグトレーナーとして頑張っている健気さに心を打たれた。性的虐待とか死とか、ネタ的に軽々しく扱ってほしくないなぁ…と常々思っているのだけど、この作品には嫌悪感とかわりきれなさを感じなかった。

久住が悠を支えようとし、悠が久住に心を開いていく様子がじんわりといい。悠も、久住の、母親の死にまつわる心の傷を癒すように寄り添っていて、読んだあとは、ほんのり幸せな気持ちに包まれるのだ。久住には、悠を棄てずにずっと大切にしてほしいものです。はい。

なんだかここ2ヵ月、「この表紙絵がいい!」「このあらすじにひかれた!」という、純粋な「表紙買い」が少なめ。そろそろお買い物も落ち着いてきた――というわけではもちろんない。たんに、好きな作家さんの新作が順調に出ているせいで、作家買いが続いているだけなのだ。作家買いにスキマができたら、表紙買いが増えるかしら。
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Tags: 仔犬養ジン 小山宗祐 サクラサクヤ 警検麻ヤ 表紙買い 複数レビュー

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