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華の闇(榎田尤利)

 01,2007 16:42
美少年が遊郭で体を売る「遊郭もの」、BLではそろそろ、一つのジャンルとして成立してもいいんじゃないかと思うのだけど(あ、もう成立してるんですかね? こういうページを見ると、まだ未成立かなぁ…などと思って……まさか、「ドナドナ」…!?)、わたしは、ちょっと敬遠していた。なぜって――恐らく最大の要因は、絵じゃないかと。「遊郭」が舞台だから、骨っぽい絵柄は似合わない、というのはわかる。でもねぇ、こう、どれもこれも華奢で、どこからどうみても「美少女」なのが、個人的には「……もう少し『男』とわかる絵柄とかあってもいいんじゃないかなぁ…」などという天邪鬼な気持ちにつながっていたのだ。

そんな遊郭ものだと知りながらこの作品を読んだのは、榎田尤利さんの作品だから。そして読み終わって、「榎田さんて、すごいなぁ…」と感心してしまったのだった。

華の闇華の闇
榎田 尤利 蓮川 愛

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仕事相手の西苑寺子爵に連れられて吉原を訪ねた南条は、4年前、自分の前から姿を消した少年・暁芳と再会する。暁芳はなんと、吉原の奇蹟・吉原唯一の男遊女である華嵐となっていた。遊女を憎み嫌う南条だったが、華嵐が見知らぬ男に抱かれると思うと耐えられず、彼の水揚げを決意するのだが――。

何に一番感心したかって、吉原の慣わしをけっこう忠実に再現しているんじゃないかという点。わたし、ものすごく昔に「花魁」に興味を持ち(それは隆慶一郎などの時代小説が原因なんだけど)、いろいろ調べていたことがあるのだが、吉原の遊び方や身請けの仕方、かなり手続きが煩雑なのだ。花魁などの高級遊女が絡むと、面倒くささにもっと拍車がかかり――こういう手続きを楽しめるからこそ、「粋」とか「通」とかいうんだなぁ…と妙に納得したものだ。そんな手続きを、作品中で丁寧に描かれているところに、おおっ!と驚いた。

ストーリーも、明治浪漫な悲恋風味で、ぐいぐいと引っ張る。遊女の母を持ち、腹違いの兄に虐待されていた暁芳と、遊女によって父を失った南条の、愛しているけどままならない関係。吉原に売られる前の、暁芳と南条の関係もしっかり描かれているので、遊女の華嵐との関係がより切ない。

二人は別れて生きていく運命なのかと思いきや――お約束のハッピーエンドなんですけどね。でもそのハッピーエンドに、わりきれなさや無理やり感を感じなかったので、いいのだ。

榎田さんの作品らしく、脇キャラもしっかり描かれているのもいい。西苑寺子爵、事業で成功しているのに独身っていうのはあの時代に許されるのか――と思わないでもないが、ま、暁芳の幸せを見届けたことだし、そのうちどこかのお嬢さんと結婚なさるのかもしれません。「客に惚れたらいけない」と繰り返していた華嵐の姉女郎・志乃の死は哀れだったなぁ――逆に、遊女の変死が謎に終わるところが、ちょっと時代的にありえそうでもあった。

こんなに、吉原のしきたりや慣習がうまく作品に描かれていたのだもの――これ、「BL」というジャンルに縛られなければ、たとえ主人公が男の遊女という設定でも、もっと面白くなったかもしれないと思う。作品中に、湯島の陰間茶屋がちょこっと触れられているけど、榎田さんにこそ、ぜひぜひ、陰間茶屋を舞台にした時代物を書いてほしい。華嵐の体を慣らす南条の手順が、これで読んだものとほぼ同じだったし――と思うのだった。

そしてその時の絵は、もうちょっと「男」とわかる感じが希望。円陣闇丸さんとか、どうでしょう? 奈良千春さんは、「男」の雰囲気が出すぎるかなぁ……でも陰間だし……。
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Tags: 榎田尤利 蓮川愛 歴史/時代BL

Comment - 2

2007.07.02
Mon
23:35

miriam #SFo5/nok

URL

遊郭モノ

遊郭モノってたくさん出てるけど難しいですよね。何故なら雰囲気で書いてる、おいしいとこどりの人が多いから(苦笑)
ついつい「おい、それは違うだろう!」と突っ込みたくなってしまいますね。今まで「これは!」と思った遊郭モノに出会ったことがありません。
lucinda姉様がここまでオススメならぜひ読んでみようと思いますv-254

編集 | 返信 | 
2007.07.03
Tue
00:09

lucinda #-

URL

>雰囲気で書いてる、おいしいとこどりの人が多い
そうなのか……いや、遊郭モノ、この作品しか読んでいないので、なんともいえないんですが、あらすじなどを読んで、今ひとつノれなかったりするんですよ。そのあたりの根っこのところは、そうなのかな…。

なので、他の作品と比べようがないのですが、廓言葉が使われていたり、設定はともかくとして(おいっ!)その背景などは、著者のがんばりが伝わるかなぁ…と。なんなら、今度お貸ししますよー!

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